交通事故|並走状態から車線変更でぶつけられた場合の過失割合|静岡の弁護士が解説

隣の車線を並走していた車が突然、車線変更をしてきてぶつけられた。
保険会社から「双方が動いていたので、100:0は無理です。」と言われてしまった。

この記事は、このような状況でお困りの方のために書きました。

こんにちは!静岡の弁護士の山形です。
今回は、隣の車線を並走していた車が突然、車線変更してきてぶつけられた、という事故の過失割合について解説しています。
保険会社と過失割合が争いになっているという方はぜひ参考にしてみてください。

弁護士の顔写真

静岡法律事務所
弁護士 山形祐生(やまがたゆうき)/静岡県弁護士会所属
事務所所在:静岡市葵区馬場町43番地の1

連絡先:054-254-3205
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新判例等を研究している。
静岡県内の事故を中心に多くの依頼を受け、特に、後遺障害、死亡事故、主婦(主夫)の休業損害に関する依頼が多い。
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基本的過失割合は?

交通事故の過失割合については、事故状況ごとに、過去の裁判例等からある程度類型化され、「別冊判例タイムズ38」(東京地裁民事交通訴訟研究会 編)という本で整理されています。

しかし、「隣の車線を並走していた車が車線変更してきて側面衝突した」という事故態様については、上記本に載っていません。

なお、保険会社は、上記本の「進路変更車と後続直進車との事故」の例である【153】図を挙げて30:70の過失割合を主張してくることがありますが、これは、あらかじめ前方にいた車両が進路変更する場合を想定していますので、今回のように並走状態からの車線変更とは状況が異なりますので注意してください。

というわけで、過去の裁判例で似たような事故状況での過失割合について、どのように判断されているのか調査してみました。
なお、紹介した裁判例での過失割合が必ず今回問題となっている事故状況でも妥当するというものではありませんので注意してください。

裁判例

静岡地方裁判所・平成31年3月14日判決

本件は,原告が法定速度を遵守して原告車両を運転して片側2車線直線道路の第1車線を直進走行していたところ,第2車線をほぼ並走して直進走行していた被告の運転に係る被告車両が安全確認を怠ったまま第1車線への車線変更を開始し,既にほぼ真横にいた原告車両に一方的に衝突してきたのであり,車線変更開始から衝突(接触)まで僅か1.5秒にも満たなかったというのであるから,原告からすればおよそ結果回避可能性がなかった事故というべきであり,本件事故発生に対する過失割合は,原告0%,被告100%と認めるのが相当である。

大阪地裁・平成30年6月28日判決

本件事故は,第2車線を走行してきた被告車が,車線変更をするに際し,変更先車線の車両の有無等を注視して進行すべき注意義務を怠り,第1車線をほぼ並走していた原告車に気付かずに,漫然と進行した過失により,被告車の左前部を原告車の右側面前部に接触させたものであるから,もっぱら被告の過失に起因するものである。
これに対し,原告車は,自車線内を走行中に,進路変更をしてきた被告車に接触されたものであるところ,本件事故直前の両車の位置関係は,ほぼ並走状態であったと認められることから,原告において,被告車の進路変更を予見して接触を回避するのは不可能であったと認めるのが相当である。したがって,本件事故発生について原告に過失はない。

大阪地裁・平成25年6月14日判決

本件事故は,原告車と被告車が並走状態のときに,被告車が左に寄ってきたために発生したのであり,また,被告車が原告車の後ろから来たと考えられることからすれば,原告が予め被告車の存在を認識できたとはいえず,原告は,当該接触を回避することはできなかったと考えるのが相当である(ほかに原告の過失を認めるに足りる証拠はない。)。
したがって,原告に過失はなく,過失相殺は認められない。

検討

上記3つの裁判例では、並走状態の被害者は事故を回避することは不可能だったとして、過失が否定されています。

もう少し詳しくみると、静岡地裁の判決では、車線変更開始から衝突までの時間が短い(上記裁判例では1.5秒未満)という事情を被害者側に有利な事情として認定しています。
また、平成25年の大阪地裁の判決では、加害車両が被害者車両の後ろから来たという事情を被害者側に有利な事情として認定しています。

つまり、並走状態からの車線変更という事故態様に加えて、被害者が加害車両との接触を避けることが不可能だったことを裏付けるような事情を主張・立証することが望ましいといえます。

もっとも、平成30年の大阪地裁判決では、上記のような事情は明らかとなっていませんが、過失なしと判断されていますから、少なくとも被害者側の立場としては、並走状態から突然、車線変更されたので、避けようが無かったとして無過失を主張していくべきです。

まとめ

いかがでしたか?
今回は、並走状態から車線変更してきてぶつけられた場合の過失割合について解説しました。
ぜひ、今回紹介した裁判例を材料に保険会社と交渉してみてください。

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