後遺障害の申請をしたいけど、どういう方法があるのか分からない・・・
事前認定と被害者請求のどっちで行った方が良いのか知りたい。

 

この記事は、このような状況でお困りの方のために書きました。

 

こんにちは!弁護士の山形です。
この記事では、交通事故で後遺障害が残ってしまった方のために、事前認定と被害者請求のポイントについて解説しています。
これから後遺障害の申請を検討している方は是非参考にしてみてください。

本記事を執筆した弁護士

静岡城南法律事務所

山形祐生(やまがたゆうき)

静岡県弁護士会所属 登録番号:44537

静岡県交通事故相談所の顧問弁護士(静岡県知事の委嘱による)。
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新の裁判例等の研究をしている。静岡県外からの相談・依頼も多く、一人で年間150件以上の交通事故案件を手掛けている。慰謝料、後遺障害、過失割合に関する交渉・裁判を得意とする。

目次

この記事の結論

Q1. 後遺障害の申請方法である「事前認定」と「被害者請求」はどう違うのか?
A1. 申請主体と手続の透明性が違う。事前認定は加害者側の任意保険会社が被害者に代わって自賠責に後遺障害の申請をする方法で、被害者は後遺障害診断書を用意すれば、あとは保険会社が必要書類を集めて代わりに申請してくれる。被害者請求は被害者自身が自賠責に後遺障害を申請する方法で、必要書類を自分で集めて提出する必要があるが、手続の透明性が保たれる。
Q2. よく「被害者請求の方が有利」と言われるが、本当にそうなのか?
A2. 単純にそうとは言えない。インターネット上では「事前認定は加害者側の保険会社が行う手続なので不利な結果になる」「被害者請求は有利な資料を提出できるが事前認定はできない」といった説明が多いが、後遺障害診断書の内容や画像所見から明らかな後遺障害があるケースでは、事前認定でも不利な結果になるとは考えにくい。また、事前認定でも、医師の意見書など有利な資料を用意し、一緒に自賠責に提出するよう保険会社に依頼することは実務上可能(交通事故に慣れた弁護士がよく使う方法)。この点は、他サイトの説明と異なるので注意。
Q3. 被害者請求だと診断書の発行手数料は全部自己負担になるのか?
A3. 原則ならない。一部のサイトでは「被害者請求では診断書・レセプトの発行手数料が全て自己負担になる」と説明されていることがあるが、正確には、被害者請求でも必要かつ妥当な発行手数料は自賠責から支払われる(被害者はいったん立て替える必要があるだけ)。ただし、限度額の範囲内である必要がある。病院によって金額は異なるが、それほど高くない場合は大きなデメリットにはならない。なお、事前認定でも後遺障害診断書の作成手数料は、後遺障害が認定されなかった場合は自己負担となる点には注意。
Q4. 結局、どちらの方法を選ぶべきか?
A4. 手続選択よりも「中身」(後遺障害診断書の内容や提出資料の充実)が重要。被害者自身で全てコントロールしたいケースや面倒でも被害者請求で進めたいケースを除き、「まず事前認定で進め、必要があれば医師の意見書など有利な資料も一緒に提出し、不利な結果であれば異議申立てをする」という戦略が合理的な選択肢の一つ。事前認定で不認定となった場合も、認定結果から不利な理由を特定できるため、異議申立ての際に的を絞った反論材料を集められる。最初の申請だけで勝負せず、異議申立てまで視野に入れた全体戦略を立てることが重要。

執筆:弁護士 山形祐生(静岡県弁護士会 登録番号44537/日本交通法学会所属/静岡県交通事故相談所 顧問弁護士)/最終更新:2026年4月19日

事前認定と被害者請求

交通事故で後遺障害が残ってしまった場合、自賠責保険や自賠責共済に対して、後遺障害の申請をして、後遺障害の有無や等級について認定してもらうことができます。

自賠責で後遺障害が認定されれば、加害者側の保険会社からも認定された等級を前提に慰謝料や逸失利益等が支払われることが多いです。
また、裁判を行う場合も、自賠責での有利な認定結果があれば、有利に手続を進めることが可能になります。

そのため、通常は、症状固定となったら保険会社との交渉前に後遺障害の申請をすることになります。


そして、後遺障害の申請方法としては、①事前認定手続②被害者請求の2つがありますので、どちらかを選択して行うことになります。
では、事前認定手続と被害者請求のそれぞれのメリット・デメリットについて見ていきましょう。

事前認定のメリット・デメリット

事前認定手続というのは、加害者側の保険会社が被害者であるあなたに代わって自賠責に後遺障害の申請をする方法です。

あなたは後遺障害診断書を用意すれば、後は、保険会社が必要な書類を集めて、代わりに申請して、認定結果は、保険会社を通じて知らされることになります。

事前認定のメリット

事前認定の一番のメリットは、手間が掛からないという点です。
病院で作成してもらった後遺障害診断書を相手方の保険会社に送れば、後は、結果を待っていればOKです。とにかく楽です。
病院から診断書やレセプトなどを発行してもらう際には、手数料が掛かりますが、それは保険会社が負担します。
※後遺障害診断書の作成手数料は、後遺障害が認定されない場合は、自己負担となります。

被害者請求の場合は、病院の診断書やレセプトなどの必要書類を自分で用意する必要があるので、手間が掛かるのですが、それが無いのは、大きなメリットです。

事前認定のデメリット

加害者側の保険会社があなたの代わりに申請することになるので、あなたにとって有利な資料を積極的に提出してくれることは期待できません(※)。
※診断書などの必要書類は、有利不利に関係なく提出されます。

 

また、気持ち的な問題として、いわば敵である加害者側の保険会社に大事な手続を任せることに不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。

被害者請求のメリット・デメリット

被害者請求というのは、被害者自身が自賠責に後遺障害の申請をする方法です。
自分で手続を行いますので、結果も直接あなたに知らされることになります。

被害者請求のメリット

被害者請求は、あなた自身が行うので、手続の透明性が保たれます。
つまり、どんな書類を自賠責に提出したのかが一目瞭然です。

ちなみに、被害者に有利な資料(医師の意見書など)を添付資料として提出することができることを被害者請求のメリットとして記載するサイトもありますが、後で説明するように、事前認定であっても有利な資料を提出することは可能です。

被害者請求のデメリット

被害者請求のデメリットは、簡単に言うと、面倒という点です。

被害者請求を行うための必要書類は多くあり、それを自分で集めるのは大変です。

また、病院に診断書やレセプトを発行してもらうときの手数料を立て替える必要があります。
診断書やレセプトの発行手数料が全て自己負担になってしまうかのような説明をしているサイトもありますが、正確には、被害者請求であっても、これらの発行手数料は、必要かつ妥当なものであれば、自賠責から支払われることになります。ただし、治療費等と合わせて自賠責の限度額の範囲内だる必要があります。
つまり、一旦立て替える必要がある、というだけですので、病院によって金額は異なりますが、それほど高くなければ、デメリットとして考える必要はないでしょう。

結局どっちが良いの?

本当に事前認定は不利なのか?

インターネットのサイトでは、「事前認定は加害者側の保険会社が行う手続なので、被害者請求に比べて不利な結果になってしまう」などと書かれていることがあります。

しかし、例えば、そもそも後遺障害診断書の内容やレントゲンやMRIの画像などから、明かな後遺障害があると認められるようなケースであれば、事前認定だからといって不利な結果になってしまうということは、考えづらいです。

むしろ、私のこれまでの経験や感覚からすると、事前認定か被害者請求かという手続の選択よりも、後遺障害診断書の内容が充実しているなど、「中身」の方が後遺障害等級の認定のためには重要です。

また、もし、事前認定の結果に納得できないのであれば、異議申立をして、認定結果を争えば良いだけです。

そうであれば、依頼者の方の資料集めの手間を考えたら、まずは事前認定で進めて、結果が不利なものであれば、異議申立をする、という方法をオススメします。

ちなみに、事前認定のテクニックとして、医師の意見書など有利な資料を用意して、事前認定の際に一緒に自賠責に提出するように、保険会社に依頼するという方法があります。
私の経験上、このような依頼をして断られたことはありません。
この方法であれば、事前認定であっても、有利な資料を提出することが可能です。

事前認定から異議申立をするときのポイント

もし、事前認定で後遺障害が否定されたとしても、その理由を知ることができますので、異議申立の際には、不利な結果を導いた理由に的を絞って反論のための材料を集めることができます。

また、例えば、14級を狙う異議申立の場合、事前認定の手続中も通院治療をしていたのであれば、そのことも追加で主張すると良いでしょう。本当に痛みがあるから自費で通院治療しているのだ、という理屈です。

いずれにせよ、事前認定や被害者請求の1回の手続で後遺障害の認定を狙う、というよりも、異議申立までやるつもりで、全体の戦略を考えた方が良いでしょう。

重要なのは手続選択ではなく「中身」

私の場合、依頼者の方には、被害者請求と事前認定のメリット・デメリットを説明させていただいて「面倒でも被害者請求をしたい」ということであれば、被害者請求で進めます。

 

一方、特にこだわりがないのであれば、保険会社に資料集めをさせて事前認定を行い(その際に、必要があれば依頼者の方に有利な資料を一緒に提出するようにします。)、もし、納得のできない結果であれば異議申立をするようにしています。

ただ、繰り返しになりますが、重要なのは、事前認定か被害者請求かという手続選択ではなく、後遺障害診断書の内容などの「中身」ですので、この点は、忘れないようにしてください!

まとめ

いかがでしたか?
今回は、事前認定と被害者請求のメリット・デメリットについて解説しました。
これから、後遺障害の申請を検討している方は是非参考にしてみてください。

後遺障害については、以下の記事も参考にしてみてください。


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よくある質問

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A

静岡県以外の方からのご相談・ご依頼もお受けしております。当事務所へのご相談・ご依頼のうち半分程度が静岡県外の方からのものです。

電話、メール、LINE、zoomなど、ご希望の方法でご相談いただけます。また、ご依頼後も同様の方法で打ち合わせができますので、仮に、裁判になったとしても、事務所にお越しいただく必要はありません。

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Qケガはなく、物損(車の修理費用など)の過失割合だけが問題になっているのですが、相談・依頼することはできますか?
A

物損だけの事故についてもご相談・ご依頼いただくことは可能です。

Q小さな事故で、特に保険会社との間で揉めていないのですが、弁護士に相談しても良いですか?
A

もちろん、問題ありません。
 弁護士に依頼することで、小さなケガであっても示談金額が増額される可能性がありますし、保険会社との対応を全てお任せできるというメリットがありますのでお気軽にご相談ください。

Q他の弁護士に依頼しているのですが、変更して依頼はできますか?
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現在、依頼している弁護士との契約を解除していただいたうえで、ご依頼いただくことになります。また、弁護士費用特約を利用している場合には、ご自身の保険会社に担当弁護士を変更したい旨を伝えて了承を得てください。

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ご相談内容を詳しく伺ったうえで、もし、少しでも費用倒れの可能性がある場合には、必ずご依頼前にご説明させていただきます。万が一、増額した金額よりも弁護士費用が高額となる場合は、増額した金額が弁護士費用の上限となりますので、損をすることはありません。
 なお、弁護士費用特約をご利用の場合は、費用倒れになることはありません。

Qどの段階から費用が発生しますか?
A

相談では一切費用は発生しません。弁護士との間で委任契約書を作成して、正式にご依頼いただいて、弁護士が交渉等の活動を開始した段階から費用が発生致します。

Q日中は仕事で忙しいので、弁護士事務所に行ったり、電話をしたりすることが難しいのですが・・・
A

ご依頼後の弁護士との連絡手段をメールやLINEにすることが可能です。

Q裁判まではしたくないのですが、交渉で示談することは可能ですか?
A

裁判まで行うか、交渉で示談をして終わらせるかは、依頼者の方が決めることになりますので、交渉での解説を希望される場合には、裁判にはなりません。なお、当事務所がこれまで扱ったケースでは、8割ほどが交渉で解決しています。

Q解決までには、どれくらいの時間が掛かりますか?
A

事案にもよりますが、交渉の場合、交渉開始から1ヶ月程度で示談して終わるケースが多いです。ただし、後遺障害の申請をしたり、過失割合に争いがあって実況見分調書等を取り寄せる場合には、プラス2、3月程度かかります。
また、裁判の場合は、早くても半年程度は掛かります。当事務所が過去に扱った裁判では、平均すると1年~2年で終わるケースが多いです。

Q弁護士に相談したら必ず依頼しなければいけないのでしょうか?
A

もちろん、相談だけで依頼しなくても問題ありません。むしろ、複数の弁護士に会って相談したうえで、最も信頼できる弁護士に依頼することをお勧めします。

本記事を執筆した弁護士

静岡城南法律事務所

山形祐生(やまがたゆうき)

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