
保険会社から治療費の打ち切りを言われてしまった・・・
まだ痛みがあるし、病院の先生も通院を続けた方が良いと言っているのに・・・
この記事は、このような状況でお困りの方のために書きました。
こんにちは!弁護士の山形です。
今回は、保険会社から治療費の打ち切りを言われてしまった場合の対応について解説します。
突然、治療費の打ち切りを言われると、どうしたら良いかわからず、困ってしまいますよね。
保険会社から言われるがままに通院を止めてしまう前に、是非、この記事を参考に対応を検討してみてください。
本記事を執筆した弁護士
目次
この記事の結論
- Q1. 保険会社から治療費の打ち切りを言われたら、もう通院を続けられないのか?
- A1. そんなことはない。治療費の打ち切りは、保険会社が治療費を立替支払しなくなるだけの話であり、被害者が通院を続けること自体には全く問題ない。自費で通院を続け、後から交渉や裁判で加害者・保険会社に請求することも可能。ただし、交渉ではまず払われない。裁判では治療の必要性があったといえるかどうかが問題となる。
- Q2. 保険会社が打ち切りを言ってくるタイミングの目安は?
- A2. あくまで目安だが、打撲の場合は1ヶ月程度、むち打ちの場合は3ヶ月から6ヶ月程度経ったところで打ち切りを言われることが多い。ただし、大きな事故でケガが重ければ長期間治療費が支払われ、小さな事故であれば早い段階で打ち切りを言われるなど、個別事情による。「打ち切りの時期=治療終了の時期」ではない点は押さえておくべき。
- Q3. 打ち切り後、通院を続けたい場合の具体的対処法は?
- A3. 以下の手順が実務上の基本。①主治医に通院継続の必要性について意見を確認する(医師が「もう通院の必要はない」と判断している場合、後の裁判で治療費が認められないリスクあり)、②通院を続けるなら健康保険の利用を検討して治療費を抑える、③自己負担で立て替えた治療費は交渉・裁判で加害者・保険会社に請求する(主治医の意見書が立証の鍵)、④自己負担の立替が困難なら人身傷害保険・自賠責保険・労災保険の利用を検討(労災保険は限度額なし)、⑤弁護士に依頼して打ち切りの延長交渉を行う。
- Q4. 打ち切り後の自費治療費を裁判で請求するには何を立証すればよいか?
- A4. 「治療の必要性があったかどうか」が裁判での争点となる。立証のために有効なのは、①主治医の意見書(打ち切り後も治療が必要だったことを医学的見地から記載してもらう)、②通院による症状改善の記録(実際に症状が軽減していった経緯)、③MRI・レントゲン等の画像所見、④通院頻度の合理性を示す記録など。なお、一部の医師には「保険会社が治療費を打ち切ったらそれ以降の通院は認められない」と誤解している場合があるが、これは正しくなく、打ち切り後も通院自体は続けられるため、主治医にこの点を正しく伝えることが重要。
治療費の打ち切りとは
事故にあって通院をすることになった場合、通常、その治療費は相手方の保険会社が病院に直接支払ってくれます(「一括払制度」とも呼ばれます)。被害者が立て替える必要がないため、治療に専念できる仕組みです。
しかし、通院を続けていると、ある時期に保険会社から「そろそろ治療費の支払を終了します」と連絡されることがあります。これが、いわゆる「治療費の打ち切り」です。
治療費の打ち切り時期の目安
打ち切りのタイミングはケースバイケースですが、大きな事故でケガの程度が重ければ、事故から長い期間、治療費が支払われますが、小さな事故の場合には、早い段階で打ち切りを言ってくることがあります。
あくまでも目安ですが、打撲の場合は1ヶ月程度、むち打ちの場合は3ヶ月から6ヶ月程度経ったところで、打ち切りを言われることが多いです。
「治療費の打ち切り」と「症状固定」は違う
打ち切りを言われたときに混同されがちなのが、「治療費の打ち切り=症状固定」という捉え方です。しかし、これら2つは全く別の概念です。
- 治療費の打ち切り:保険会社が治療費の立替支払を終了すること。あくまで示談交渉上の判断。
- 症状固定:これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態。医学的な判断。
保険会社は打ち切りの根拠として「もう症状固定時期でしょう」と主張してくることがありますが、症状固定の判断は本来、医学的見地から主治医が行うものです。保険会社の担当者が一方的に決められるものではありません。
つまり、「打ち切り=治療終了すべき時期」ではなく、「打ち切り=保険会社が治療費支払の打ち止めを主張してきた時期」に過ぎない、と捉えるのが正確です。
治療費の打ち切りを言われた場合の対処法
では、保険会社から打ち切りを言われたら、治療を諦めなければならないのでしょうか?
そんなことはありません。
打ち切りは、あくまでも、保険会社が治療費を立替支払しなくなるだけで、自費で通院することは全く問題ありません。
また、自費で支払った治療費を後から交渉や裁判で請求することも可能です(ただし、交渉では、保険会社は支払を認めることは少なく、裁判では、治療の必要性があったといえるかどうかが問題となります)。
以下、まだ痛みが残っており治療を続けたいと考えている場合の具体的な対処法を解説します。
対処法1:医師の意見を確認する
まず、病院を受診して、通院を続けることについて医師の意見を確認しましょう。
医師が「もう通院の必要はない」との意見をもっている場合、仮に裁判になった場合、治療の必要性が認められず、治療費の支払が認められないリスクがあります。
そのため、通院継続を主張していくためには、主治医が「通院を続ける必要性がある」と考えてくれているかを確認することが重要です。主治医が必要性を認めている場合は、その趣旨を意見書や診断書として書面化してもらうことが、後の交渉・裁判で極めて有効な証拠となります。
私の考えとしては、ご自身で治療をすることで症状が回復している実感があるのであれば、仮に、治療費が自己負担になっても通院を続けても良いかと思います。健康保険等を利用して自己負担を抑えたうえで、後から裁判で請求する戦略は十分に成り立ちます。
なお、中には、保険会社が治療費を打ち切った場合、それ以降の通院が認められないと勘違いしている医師もいますので、注意してください。この点は主治医に正しく伝える必要があります。
対処法2:通院するなら健康保険の利用を検討
治療費の打ち切り後も通院をするのであれば、健康保険を利用して、治療費を抑えることを検討してみてください。
交通事故の治療に健康保険を使うことは法律上問題ありません。通常、窓口負担は3割となるため、自費(10割負担)と比べて経済的負担を大きく軽減できます。
ただし、医師が健康保険の利用に消極的なこともありますので、そのような場合は、健康保険を利用するか自由診療のまま通院するか、検討が必要です。詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
初めて交通事故に遭った人のための『健康保険のキホン』|静岡の弁護士が解説
対処法3:交渉や裁判で治療費を請求
自分で立て替えて支払った治療費は、交渉や裁判で加害者や保険会社に請求しましょう。
打ち切り後の治療費を請求する場合、裁判では、「治療の必要性があったのかどうか」が主な争点となります。裁判所が治療の必要性を判断する際に考慮する要素としては、
- 主治医の診療録・意見書の内容
- 通院により症状が軽減・改善していった経緯(症状推移記録)
- MRI・レントゲン等の画像所見
- 事故の態様・受傷の程度
- 通院頻度の合理性
などが挙げられます。そのとき、主治医に協力してもらって治療の必要性があったことに関する意見書などを証拠として提出して、治療の必要があったことを立証すると良いでしょう。
対処法4:立て替えが困難なら人身傷害保険・自賠責保険・労災保険の利用も検討
もし、自分で立て替えて支払う治療費を用意できないという場合は、人身傷害保険、自賠責保険、労災保険の利用を検討してみてください。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
- 人身傷害保険:ご自身が加入している任意保険に特約として付いていることが多い保険。過失割合に関係なく、約款基準で治療費・休業損害等が支払われる。ご自身が加入している保険会社に、利用可能かどうか確認してみてください。
- 自賠責保険:加害者の自賠責保険に被害者請求することで、傷害分の損害として最高120万円まで支払を受けられる。自賠責は被害者の過失が7割未満なら過失相殺されないメリットがある。
- 労災保険:勤務中や通勤途中の事故の場合に利用可能。自賠責と異なり限度額がなく、労災保険を利用できる場合には大きなメリットがある。
これらの制度を組み合わせることで、治療費の自己負担を大幅に軽減できるケースが多くあります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
対処法5:弁護士に依頼して延長の交渉をしてもらう
治療費の打ち切りは、保険会社の担当者の判断でされるものですから、「絶対打ち切り!」と決まっているわけではありません。つまり、交渉の余地があります。
そこで、弁護士に依頼して、治療費の打ち切りの延長交渉をしてもらうこともおすすめします。弁護士が間に入ることで、保険会社も「交渉で拒否すれば裁判になるかもしれない」という意識が働き、延長に応じるケースがあります。
当事務所でも、治療費の打ち切りを言われた段階でご相談いただき、交渉により1ヶ月〜2ヶ月の延長を獲得した事例が多数あります。打ち切りに直面した場合、早い段階で弁護士に相談することで選択肢が広がります。
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリットとデメリット|静岡の弁護士が解説
打ち切りを言われたら早めに相談を
治療費の打ち切りを言われた段階は、被害者の方にとって大きな不安を感じる時期です。しかし、この段階で適切に対応するかどうかで、その後の治療継続可否や最終的な賠償金額が大きく変わります。
当事務所では、治療費の打ち切りに関するご相談を無料で受け付けています。弁護士費用特約に加入されている場合は、補償上限額まで保険会社が弁護士費用を負担してくれますので、ほとんどのケースで実質無料で対応可能です。
まだ痛みが残っているのに打ち切りを言われてしまった、主治医との話し合いをどう進めたらよいか分からない、といった状況の方はお気軽にご相談ください。
無料相談の受付を再開しました(全国対応)
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弁護士費用
保険会社等からの回収金額の11%+22万円(税込)
相談料と着手金は無料です。
交渉等が解決した後の完全後払いになります。
※訴訟等の手続に移行する場合には追加費用が発生します。
弁護士費用特約を使える場合には、補償上限額まで保険会社が弁護士費用を代わりに支払ってくれますので、ほとんどのケースで実質無料で交渉や裁判等を弁護士に依頼できます。
弁護士費用特約を利用しても、保険料は変わりませんので、可能な場合には利用することをお勧めします。
「弁護士費用特約を使えるか分からない」という場合には、弁護士が代わりに保険会社に確認することもできますので、お気軽にご相談ください。
保険代理店様からのご相談
当事務所では、交通事故被害者の方からだけではなく、保険代理店様からのご相談についても無料で対応しています。
これまでも全国の保険代理店様からご相談いただいた実績があります。
まずは、契約者様の代わりにご相談してみたいという保険代理店様も、LINE、電話、メールでお問い合わせください。
また、現在、当事務所と提携していただける保険代理店様を募集しています(無料)。
詳細はこちらのページをご参照ください。
よくある質問
Q静岡県以外の地域に住んでいるのですが、静岡県以外の地域からの相談・依頼は可能ですか?
静岡県以外の方からのご相談・ご依頼もお受けしております。当事務所へのご相談・ご依頼のうち半分程度が静岡県外の方からのものです。
電話、メール、LINE、zoomなど、ご希望の方法でご相談いただけます。また、ご依頼後も同様の方法で打ち合わせができますので、仮に、裁判になったとしても、事務所にお越しいただく必要はありません。
これまで、北海道、青森、福島、福井、富山、石川、東京、埼玉、群馬、栃木、千葉、神奈川、山梨、静岡、愛知、長野、岐阜、滋賀、京都、大阪、三重、奈良、兵庫、広島、島根、香川、宮崎、福岡、沖縄にお住まいの方からご相談・ご依頼いただいた実績がありますので(令和6年7月現在)、その他地域にお住まいの方もお気軽にご相談・ご依頼ください。
Qケガはなく、物損(車の修理費用など)の過失割合だけが問題になっているのですが、相談・依頼することはできますか?
物損だけの事故についてもご相談・ご依頼いただくことは可能です。
Q小さな事故で、特に保険会社との間で揉めていないのですが、弁護士に相談しても良いですか?
もちろん、問題ありません。
弁護士に依頼することで、小さなケガであっても示談金額が増額される可能性がありますし、保険会社との対応を全てお任せできるというメリットがありますのでお気軽にご相談ください。
Q他の弁護士に依頼しているのですが、変更して依頼はできますか?
現在、依頼している弁護士との契約を解除していただいたうえで、ご依頼いただくことになります。また、弁護士費用特約を利用している場合には、ご自身の保険会社に担当弁護士を変更したい旨を伝えて了承を得てください。
Q弁護士費用で費用倒れ(赤字)になることはありませんか?
Qどの段階から費用が発生しますか?
相談では一切費用は発生しません。弁護士との間で委任契約書を作成して、正式にご依頼いただいて、弁護士が交渉等の活動を開始した段階から費用が発生致します。
Q日中は仕事で忙しいので、弁護士事務所に行ったり、電話をしたりすることが難しいのですが・・・
ご依頼後の弁護士との連絡手段をメールやLINEにすることが可能です。
Q裁判まではしたくないのですが、交渉で示談することは可能ですか?
裁判まで行うか、交渉で示談をして終わらせるかは、依頼者の方が決めることになりますので、交渉での解説を希望される場合には、裁判にはなりません。なお、当事務所がこれまで扱ったケースでは、8割ほどが交渉で解決しています。
Q解決までには、どれくらいの時間が掛かりますか?
事案にもよりますが、交渉の場合、交渉開始から1ヶ月程度で示談して終わるケースが多いです。ただし、後遺障害の申請をしたり、過失割合に争いがあって実況見分調書等を取り寄せる場合には、プラス2、3月程度かかります。
また、裁判の場合は、早くても半年程度は掛かります。当事務所が過去に扱った裁判では、平均すると1年~2年で終わるケースが多いです。
Q弁護士に相談したら必ず依頼しなければいけないのでしょうか?
もちろん、相談だけで依頼しなくても問題ありません。むしろ、複数の弁護士に会って相談したうえで、最も信頼できる弁護士に依頼することをお勧めします。



