
交通事故に遭って、生活が苦しいので、とにかく早くお金が必要!
示談交渉が終わるまで待っていられない!
この記事は、このような状況でお困りの方のために書きました。
こんにちは!弁護士の山形です。
今回は、自賠責保険の仮渡金について解説しています。
事故にあって生活が苦しく、とにかく早くお金が必要という方は、ぜひ参考にしてみてください。
本記事を執筆した弁護士
目次
この記事の結論
- Q1. 示談成立までお金がない。自賠責から前払いを受ける方法はあるのか?
- A1. ある。自動車損害賠償保障法17条1項・同法施行令5条に基づく「仮渡金」制度により、被害者は加害者の自賠責保険会社に対して賠償金の一部を前払いとして請求できる。加害者が賠償責任を認めていなくても、また賠償額が確定していなくても、請求が可能なのが特徴。申請書類に不備がなければ1~2週間程度で入金されるため、当座の治療費や生活費に困っている場合に有効な制度。
- Q2. 仮渡金としていくらもらえるのか?
- A2. 自賠法施行令5条により、被害者1名につき症状に応じて以下の4段階で決まっている。 ①死亡の場合=290万円、②重い傷害(脊柱骨折で脊髄損傷、上腕・前腕骨折で合併症あり、大腿・下腿骨折、内臓破裂で腹膜炎併発、14日以上の入院かつ30日以上の治療を要するもの)=40万円、③中程度の傷害(脊柱骨折、上腕・前腕骨折、内臓破裂、入院かつ30日以上の治療、14日以上の入院)=20万円、④11日以上の医師の治療を要する傷害=5万円。
- Q3. 仮渡金は何度でも請求できるのか?
- A3. できない。仮渡金の請求は1回限り。かつて自賠責には治療の進捗に応じて何度も請求できる「内払金」制度があったが、平成20年(2008年)に廃止されている。仮渡金はあくまで最終的な賠償金の一部の前払いであるため、最終的な損害賠償額が受け取った仮渡金より少ない場合には差額を返還する必要がある。また加害者に責任がないと認められる場合は全額返還の対象となる。
- Q4. 仮渡金はどうやって申請するのか?
- A4. 加害者が加入する自賠責保険会社に連絡して申請書類一式を取り寄せ、被害者自身が直接請求する(被害者請求)。加害者が加入する自賠責保険会社が分からない場合は、加害者の任意保険会社に連絡して交通事故証明書を取り寄せれば確認できる。必要書類は、申請書、交通事故証明書、事故発生状況報告書、印鑑登録証明書、入院や治療の見込み日数が分かる診断書等。書類不備があると支払が遅れるため、事前に自賠責保険会社に電話等で確認しながら進めるとよい。請求できるのは被害者のみで、加害者は請求できない。
自賠責保険の仮渡金とは
「仮渡金」とは、加害者から賠償金をまだ受領していない段階で、被害者が加害者の自賠責保険会社に対して賠償金の一部を前払いとして請求できる制度です。自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」)17条1項に規定されており、具体的な金額は自賠法施行令5条で定められています。
申請して不備がなければ1~2週間程度で入金されるのが大きな特徴で、当座の治療費や生活費に困っているときに助かる制度です。
イメージとしては、将来受け取る賠償金の一部を先に支払ってもらう手続です。そのため、最終的な賠償金額が既に受け取った仮渡金よりも少ない場合には、差額を返金する必要があります。また、加害者に責任がないと認められた場合には、全額を返還する必要があります。
仮渡金制度の3つの特徴
特徴①:加害者の責任が確定していなくても請求できる
通常、自賠責保険に本請求(自賠法16条による直接請求)をする場合、加害者に賠償責任があることが前提となります。しかし、仮渡金は加害者の賠償責任の有無が確定していない段階でも請求できるのが大きな特徴です。
実務上、加害者が賠償責任を否定しているケースや、過失割合で争いがあるケースでも、被害者は仮渡金を請求できます。被害者救済を第一の目的とする自賠責保険制度の趣旨に沿った仕組みです。
特徴②:請求できるのは被害者だけ
仮渡金を請求できるのは被害者本人(死亡の場合は遺族)のみで、加害者は請求できません。これは、仮渡金が被害者の当座の生活を支えるための制度だからです。
特徴③:請求は1回限り
仮渡金の請求は1回しかできません。かつて自賠責保険には、治療費や休業損害が発生するたびに何度も請求できる「内払金」制度がありましたが、平成20年(2008年)に廃止されています。現在は、仮渡金を1回だけ請求できるというシンプルな仕組みになっています。
したがって、ケガの状態が刻々と変化している段階で慌てて軽い症状のまま請求してしまうと、後から悪化して本来ならもっと高額の仮渡金を請求できた場合でも、追加請求はできません。ある程度、症状の全体像が見えた段階で請求するのが実務上の運用になります。
仮渡金で支払われる金額
仮渡金として支払われる金額は、自賠法施行令5条により、被害者1名につき症状に応じて以下のとおり定められています。
| 症状など | 金額 |
|---|---|
| 1. 死亡された場合 | 290万円 |
| 2. 以下のいずれかの傷害を受けた場合 ○脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの ○上腕または前腕の骨折で合併症を有するもの ○大腿または下腿の骨折 ○内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの ○14日以上病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの |
40万円 |
| 3. 以下のいずれかの傷害を受けた場合(上記2を除く) ○脊柱の骨折 ○上腕または前腕の骨折 ○内臓の破裂 ○病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの ○14日以上病院に入院することを要する傷害 |
20万円 |
| 4. 医師の治療が11日以上要する傷害(上記2、3を除く) | 5万円 |
なお、傷害の仮渡金(40万円や20万円など)を受け取った後に被害者が死亡した場合、死亡による仮渡金290万円を請求できますが、既に受け取った額との差額のみの請求となります(290万円を超える仮渡金を受け取ることはできません)。
仮渡金の申請方法
ステップ1:加害者が加入する自賠責保険会社を確認する
仮渡金の申請は、加害者が加入する自賠責保険会社に対して行います。加害者の自賠責保険会社は、交通事故証明書(自動車安全運転センターで取得可能)に記載されています。
加害者が加入する自賠責保険会社が分からない場合は、加害者が加入する任意保険会社に連絡すれば、交通事故証明書を送ってもらえますので、それで確認できます。
ステップ2:申請書類一式を取り寄せる
自賠責保険会社に電話で連絡すれば、仮渡金申請用の書類一式を送ってもらえます。申請書類には記入方法の案内も同封されていますので、それに従って作成します。
ステップ3:必要書類を揃えて提出する
申請書類のほか、以下の添付書類が必要になります。
- 交通事故証明書
- 事故発生状況報告書
- 印鑑登録証明書
- 診断書(入院や治療の見込み日数が分かるもの。仮渡用の様式がある保険会社が多い)
書類の不備があると支払までに時間がかかってしまいますので、心配な点があれば事前に自賠責保険会社に電話等で確認しながら進めるとよいでしょう。
仮渡金と他の制度の使い分け
被害者が当座の資金を確保する方法は、仮渡金以外にもいくつかあります。事案に応じて使い分けることが重要です。
加害者の任意保険会社による一括対応(一括払制度)
加害者が任意保険に加入しており、保険会社が事故対応を引き受けている場合には、通常、任意保険会社が病院に治療費を直接払ってくれるため、被害者が立替える必要がない場合が多いです。この場合、仮渡金を請求する必要自体が生じないことも多くあります。
一方、加害者が任意保険の使用を拒否している場合、任意保険会社の一括対応は受けられず、自賠責保険に対する仮渡金請求や本請求が重要な資金確保手段になります。加害者が任意保険の使用を拒否している場合の対処については、こちらの記事で詳しく解説しています。
人身傷害保険の活用
被害者自身が人身傷害保険に加入している場合、加害者の意向と関係なく、自分の保険会社から約款に基づいた補償を受けられます。人身傷害保険は過失割合に関係なく使えるため、当座の資金確保の手段として非常に有効です。詳しくは人身傷害保険のポイントをご覧ください。
健康保険・労災保険の利用
交通事故の治療に健康保険を使うことも可能です(健康保険のキホン参照)。勤務中や通勤途中の事故であれば、労災保険も活用できる場合があります。これらの公的制度を併用することで、被害者自身の経済的負担を大きく軽減できます。
仮渡金が必要なケースでは早めに弁護士に相談を
仮渡金は法律上の制度として確立されているため、条件を満たせば確実に支払を受けられる安心感のある手段です。もっとも、そもそも仮渡金に頼らなければならない状況は、加害者側の対応が不誠実であったり、任意保険会社が治療費の支払を拒否していたりする場合が多いと考えられます。
そのような事案では、仮渡金の請求だけで解決することは難しく、並行して加害者の任意保険会社との交渉方針、人身傷害保険の活用、将来的な裁判の見通しなども含めて方針を整理する必要があります。
当事務所では、交通事故に注力する弁護士が、仮渡金を含む各制度の使い分けや、加害者側との交渉戦略について無料で相談に応じています。弁護士費用特約に加入されている場合は、補償上限額まで保険会社が弁護士費用を負担してくれますので、ほとんどのケースで実質無料で対応可能です。
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弁護士費用
保険会社等からの回収金額の11%+22万円(税込)
相談料と着手金は無料です。
交渉等が解決した後の完全後払いになります。
※訴訟等の手続に移行する場合には追加費用が発生します。
弁護士費用特約を使える場合には、補償上限額まで保険会社が弁護士費用を代わりに支払ってくれますので、ほとんどのケースで実質無料で交渉や裁判等を弁護士に依頼できます。
弁護士費用特約を利用しても、保険料は変わりませんので、可能な場合には利用することをお勧めします。
「弁護士費用特約を使えるか分からない」という場合には、弁護士が代わりに保険会社に確認することもできますので、お気軽にご相談ください。
保険代理店様からのご相談
当事務所では、交通事故被害者の方からだけではなく、保険代理店様からのご相談についても無料で対応しています。
これまでも全国の保険代理店様からご相談いただいた実績があります。
まずは、契約者様の代わりにご相談してみたいという保険代理店様も、LINE、電話、メールでお問い合わせください。
また、現在、当事務所と提携していただける保険代理店様を募集しています(無料)。
詳細はこちらのページをご参照ください。
よくある質問
Q静岡県以外の地域に住んでいるのですが、静岡県以外の地域からの相談・依頼は可能ですか?
静岡県以外の方からのご相談・ご依頼もお受けしております。当事務所へのご相談・ご依頼のうち半分程度が静岡県外の方からのものです。
電話、メール、LINE、zoomなど、ご希望の方法でご相談いただけます。また、ご依頼後も同様の方法で打ち合わせができますので、仮に、裁判になったとしても、事務所にお越しいただく必要はありません。
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Qケガはなく、物損(車の修理費用など)の過失割合だけが問題になっているのですが、相談・依頼することはできますか?
物損だけの事故についてもご相談・ご依頼いただくことは可能です。
Q小さな事故で、特に保険会社との間で揉めていないのですが、弁護士に相談しても良いですか?
もちろん、問題ありません。
弁護士に依頼することで、小さなケガであっても示談金額が増額される可能性がありますし、保険会社との対応を全てお任せできるというメリットがありますのでお気軽にご相談ください。
Q他の弁護士に依頼しているのですが、変更して依頼はできますか?
現在、依頼している弁護士との契約を解除していただいたうえで、ご依頼いただくことになります。また、弁護士費用特約を利用している場合には、ご自身の保険会社に担当弁護士を変更したい旨を伝えて了承を得てください。
Q弁護士費用で費用倒れ(赤字)になることはありませんか?
Qどの段階から費用が発生しますか?
相談では一切費用は発生しません。弁護士との間で委任契約書を作成して、正式にご依頼いただいて、弁護士が交渉等の活動を開始した段階から費用が発生致します。
Q日中は仕事で忙しいので、弁護士事務所に行ったり、電話をしたりすることが難しいのですが・・・
ご依頼後の弁護士との連絡手段をメールやLINEにすることが可能です。
Q裁判まではしたくないのですが、交渉で示談することは可能ですか?
裁判まで行うか、交渉で示談をして終わらせるかは、依頼者の方が決めることになりますので、交渉での解説を希望される場合には、裁判にはなりません。なお、当事務所がこれまで扱ったケースでは、8割ほどが交渉で解決しています。
Q解決までには、どれくらいの時間が掛かりますか?
事案にもよりますが、交渉の場合、交渉開始から1ヶ月程度で示談して終わるケースが多いです。ただし、後遺障害の申請をしたり、過失割合に争いがあって実況見分調書等を取り寄せる場合には、プラス2、3月程度かかります。
また、裁判の場合は、早くても半年程度は掛かります。当事務所が過去に扱った裁判では、平均すると1年~2年で終わるケースが多いです。
Q弁護士に相談したら必ず依頼しなければいけないのでしょうか?
もちろん、相談だけで依頼しなくても問題ありません。むしろ、複数の弁護士に会って相談したうえで、最も信頼できる弁護士に依頼することをお勧めします。



