
相手が車線変更でぶつけてきたのに、保険会社からは「あなたにも3割の過失がある」と言われて納得できない。
車線変更事故で過失割合を10対0(無過失)にするには、何をどう主張し、どんな証拠で立証すればよいのか知りたい。
ドラレコがない場合でも10対0を目指せるのか知りたい。
この記事は、このようなお悩みをお持ちの方のために書きました。
今回は、車線変更事故で過失割合を10対0にするための主張と立証について、当事務所が代理人として担当した実訴訟・交渉の記録から、覆せた事案・覆らなかった事案の判決理由まで踏み込んで解説します。
本記事を執筆した弁護士
目次
この記事の結論
- Q1. 車線変更事故で過失割合を10対0にできるのか?
- A1. 状況によっては可能。10対0にするには「相手の落ち度の大きさ」だけففではなく、「直進していた側に事故を回避する可能性がなかったこと」を証拠に基づいて証明することが重要。当事務所は、保険会社が当初7対3(直進車3割)と提示した事案などで、交渉や裁判で10対0にした事例を複数持つ。ただし裁判所は被害者側の回避可能性を慎重に検討するため、10対0は決して簡単に認められるものではない。
- Q2. ドラレコがないと10対0は無理ですか?
- A2. ハードルは高いが、10対0にできる場合もある。車両の傷の入力方向・接触箇所・実況見分調書・事故後の停止位置から事故態様を再現できる可能性がある。当事務所ではドラレコのない事案でも、直進車の前部が押される追突に類似する損傷から「相手が後方から車線に進入してきた」ことを立証し、直進車側の過失なしで解決した例がある。参考裁判例(大阪地裁H30.6.28)でも、ドラレコのない事案で双方の損傷箇所と事故後の停止位置から「並走状態からの追い抜きざまの車線変更」が認定されている。
- Q3. 相手が「ウインカーを出していた」と主張してきた場合、覆せるか?
- A3. 覆せる場合がある。当事務所は提携する映像解析業者(株式会社東海DC)と連携し、相手車のウインカーに見えた光が法定の橙色でなく点滅周期も不規則であることから、太陽光の反射であって方向指示器ではないと立証した事例がある。また、ウインカーの「点灯したタイミング」まで、ドラレコのタイムコードや映像のコマ送り解析で踏み込めば、合図と車線変更がほぼ同時の「合図の出し遅れ」(道交法53条1項違反)として相手の過失を重く主張できる。
- Q4. 保険会社の7対3提示を覆すには、具体的には何を主張・立証すべきか?
- A4. ①相手の落ち度の立証 — 合図の有無・後方確認の不履行。②被害者側に予見可能性も回避可能性もなかったことの立証 — 相手が並走状態から追い抜きざまに突然進入し、衝突までの時間がごく短かったことを、ドラレコのコマ送り(フレーム単位)解析・コンマ秒単位の時系列分析(=進路変更の前ぶれがなかったこと)・接触箇所・損傷の入力方向・実況見分調書等で示す。この2点が揃えば7対3を10対0に覆せる可能性が出てくる。
結論:10対0は「回避可能性の否定」を立証できるかで決まる
車線変更事故で過失割合を10対0にできるかは、相手の落ち度の大きさだけではなく、「直進していた側に事故を回避する可能性がなかったこと」を証拠で立証できるかで決まります。
ここで、多くの方が誤解している大事なポイントがあります。「相手がウインカーを出していなかった」「後方を確認していなかった」——こうした相手の落ち度は、相手の過失割合を重くする”加算要素”にすぎません。それだけでは、直進車側の過失がゼロになるとは限りません。直進車側の過失を0にするには、「相手の落ち度」とは別に、「直進していた側には予見も回避もできなかった」ことも立証することが重要です。
保険会社が持ち出す「7対3(相手7割・直進車3割)」は、判例タイムズ(別冊判例タイムズ39号)という本の基本の目安にすぎません。車線変更事故の基本割合は同書の【Ⅲ-56】図などに整理されており、「前方にいた車があとから進路変更してくる」「双方に速度差がある」という限られた状況を想定したものです(車線変更事故の基本的過失割合や修正要素の詳細はこちらの記事で解説しています)。
ところが、
- 真横で並走していた車が突然寄ってきた
- 後方から追い抜きざまに割り込んできた
こうした状況では、直進車に回避の余地はありません。だから10対0になり得るのです。問題は、「並走だった」「追い抜きざまだった」という事実を、どうやって証明するかです。以下で、まず当事務所が10対0を実現した事案の一覧を示し、続いて主張の型と証拠別の立証方法を見ていきます。
なお、はじめに率直にお伝えしておきます。
10対0は、簡単に認められるものではありません。 裁判所は、直進していた側にも「もう少し速度を落としていれば相手の動きに気づけたはず」といった回避の余地がなかったかを慎重に検討します。だからこそ、感情ではなく証拠で「回避できなかった」を詰めることが要になります。
当事務所が10対0を実現した解決事例の一覧
下表は、当事務所の弁護士が実際に代理人として担当し、車線変更の事故を10対0で解決した事案です。当初の保険会社からの提示はいずれも被害者に過失を求めるものでした。これら以外にも車線変更の事故で10対0になった事例について解決事例で紹介していますので参考にしてください。
| 地域 | 決め手となった立証 | 決着の形 |
|---|---|---|
| 岐阜県 | ドラレコのタイムコードで合図の出し遅れ+後方無確認を立証 | 裁判で和解 |
| 富山県 | 映像解析業者のコマ送り解析で相手が車線変更の前ぶれを見せていないことを立証 | 裁判で和解 |
| 長野県 | 前後ドラレコで交差点付近・追い越し目的の急な進路変更・合図なしを明示 | 交渉で示談 |
| 愛知県 | 相手が後方から突然進入=追突に類似し予見・回避が不可能だったと立証 | 裁判で和解 |
各事案で実際にどんな立証が決め手になったのかは、記事を通じて具体的に解説していきます。各事案の詳しい中身は、「主張の組み立て方」と「証拠別の立証方法」の各章で、その立証が主役になる場面に合わせて紹介します(上の表の「決め手となった立証」をタップすると、その事案を解説した箇所に移動できます)。
10対0を勝ち取る「主張」の組み立て方
10対0の主張は「悪いのは相手だ」という感情論ではなく、「予見できず、回避できなかった」という回避可能性の否定で組み立てます。ここでは”考え方”の柱を示し、それを具体的に支える証拠の集め方・読み解き方は、次章「証拠別の立証方法」で扱います。
「予見できず、回避できなかった」を主張の柱に置く
具体的には、次の2点を主張します。
- 相手の車線変更を事前に予見できなかった(死角・並走・追い抜きざまなど)
- 予見できたとしても回避する時間的余裕がなかった(衝突までが一瞬だった)
参考になるのが、以下の裁判例です。
静岡地裁 平成31年3月14日判決
片側2車線の第1車線を法定速度で直進していた車に、第2車線をほぼ並走していた車が安全確認をせずに車線変更し衝突した事案。裁判所は「双方がほぼ真横を並走」「車線変更開始から衝突まで1.5秒未満」だった点を重視し、相手が安全確認を怠ったことに加えて「直進車には結果を回避する可能性がなかった」と認定して、直進車0%(10対0)とした。
ここで読み取るべきは、裁判所が「相手が安全確認を怠った」ことだけでなく、「直進車には結果を回避する可能性がなかった」という両面を認定して初めて、直進車0%(10対0)としている点です。相手の落ち度=加算、回避可能性の否定=0の要件という構造がそのまま表れています。
ここから分かる「主張の型」は明確です。①位置関係(ほぼ真横か)、②車線変更から衝突までの時間(短いか)——この2点を主張・立証できれば、10対0が見えてきます。では、この2点を実際に何で証明していくのか。次章で証拠ごとに見ていきます。
証拠別の立証方法——何で「回避できなかった」を立証するか
10対0の成否は、証拠で事故態様をどこまで再現できるかにかかっています。ドラレコがあればそれが最強の証拠ですが、なくても、車の傷・実況見分調書・停止位置から立証できる場合があります。以下、証拠の種類ごとに、当事務所が実際に決め手とした立証を紹介します。
ドライブレコーダー映像(ある場合)——「ただ提出する」だけでは足りない
ドラレコは最強の証拠ですが、映像をそのまま出すだけでは不十分なことがあります。相手が映像の解釈を争ってくるからです。「いつ合図したか」「車線変更の前ぶれがあったか」まで踏み込んで読み解くことが、10対0と”あと一歩”を分けます。
タイムコードで「合図の出し遅れ」と「後方無確認」を立証する
ドライブレコーダーに記録されたタイムコード(時刻情報)を細かく読み解くと、「合図を出したかどうか」だけでなく「いつ出したか」というタイミングまで客観的に示せます。
当事務所の実例(岐阜県/裁判上の和解・10対0で解決)
相手は「ウインカーを出していた」と主張し、判例タイムズの基本割合に修正要素を加えて9対1(相手9割・被害者1割)を求めてきました。これに対し当事務所は、被害者車のドラレコ映像のタイムコードを読み解き、相手が方向指示器を点けてから、被害者の車線に入ってくるまで、そして衝突までが、ほとんど間を置かずに連続して起きていたことを示しました。これは”合図を出した”のではなく、合図の出し遅れ(道路交通法53条1項違反)にほかなりません。さらに、相手車が衝突まで速度を一定に保ち、まったく事故回避動作をしていないことから、「相手は被害者車の存在に気づいておらず、後方を一切確認せずに車線変更した」ことも指摘。いずれも相手の過失を重くする事情として、相手が賠償金を全額支払う10対0の和解が成立しました。
ポイント:この事案で効果的だったのは、「合図を出したかどうか」ではなく「いつ出したか」というタイミングにまで踏み込んだ点です。ドラレコのタイムコードを読み解けば、合図と車線変更がほぼ同時だったこと(=出し遅れ)を客観的に示せます。さらに、衝突まで相手の速度が一定で回避動作がないことを同じ映像で押さえ、「合図の出し遅れ」と「後方無確認」という2つの加算事情を一本の映像から同時に立証できたことが決め手になりました。
コマ送り(フレーム単位)解析で「車線変更の前ぶれがなかった」ことを立証する
相手の合図のタイミングや、車線変更の”前ぶれ”の有無をさらに厳密に争うときは、映像解析の専門業者にコマ送り(フレーム単位)で解析を依頼する方法があります。映像に時刻が表示されていなくても、解析業者が映像にタイムコードを付与し、1コマずつ(ドライブレコーダーは1秒間に約30コマ=1コマ約0.03秒)、コンマ数秒単位で「いつ何が起きたか」を特定できます。
当事務所の実例(富山県/裁判上の和解・10対0で和解)
被害者は減速した相手車に追いつき、ほぼ並走となり、次の瞬間、相手が車線変更してきて接触。保険会社は当初、判例タイムズの基本割合をもとに7対3(被害者に3割)を提示してきました。訴訟になると、相手は「ウインカーは出していなかった」と自らの過失自体は認めたものの、「被害者が追い抜こうとしていた」「減速すれば避けられた」として、なお被害者側にも過失があると主張してきました。
そこで当事務所は、提携する映像解析業者にドラレコ映像をコマ送り(フレーム単位)で解析してもらい、時系列の現場見取図を作成しました。映像内の区画線や横断歩道を基準に、相手車の走行位置を1コマずつ追ったところ、並走に至るまでの間、相手車は車体を斜めにしたり車線に寄ったりという”車線変更の前ぶれ”をまったく見せず、自分の車線の中央をまっすぐ走っていたことが分かりました。前ぶれがない以上、被害者が相手の車線変更を予見することは不可能——この立証により、相手の「減速すれば避けられたはず」という主張を抑え、10対0の内容で和解しました。
ポイント:この事案で効果的だったのは、相手が持ち出してきた「被害者にも回避の余地があった」という主張に、”前ぶれの不存在”で正面から反論した点です。相手が「避ける余地があった」と言ってきたとき、「相手が前ぶれを見せなかったから予見できなかった」を映像で示すことが有効です。相手が「避けられたはず」と言ってくるほど、前ぶれゼロをコマ送りで可視化することが効きます。
ドラレコの映像に基づく交渉で10対0も
事故態様が映像で誰の目にも明らかなときは、訴訟まで行かず、交渉だけで10対0に決着できることもあります。
当事務所の実例(長野県/前後ドラレコあり・交渉のみで10対0)
被害者が交差点の右折レーンを走行して交差点に差し掛かったところ、相手車が、前方で歩行者の横断を待って停止していた左折車を追い越そうとして、隣のレーンから右折レーン側へ車両の境界線を越えて被さるように進入し、被害者車に接触した事案です。相手は接触に気づきながらそのまま走行し、保険会社は当初、被害者側にも過失があるとして過失相殺を主張してきました。
これに対し当事務所は、被害者車の前後2つのドライブレコーダー映像から、①相手が交差点付近で追い越し目的の急な進路変更をしたこと、②その際に合図(ウインカー)を出していなかったこと、③接触後もそのまま走行したことを、映像で一つひとつ明示しました。映像で事故態様が明確だったため、訴訟をすることなく、交渉のみ・約3か月で、相手側が物損を全額負担する10対0の内容で解決しました。
ポイント:この事案で効果的だったのは、前方の車を追い越そうとした相手が、合図もなく、車線の境界を越えて急に被さってきたという”危険な進路変更そのもの”を、前後2つの映像で誰の目にも明らかな形に整理した点です。ドラレコで事故態様が明確なら、訴訟をせず交渉だけで10対0で解決できることもあります。ただし、ドラレコがあっても保険会社は簡単には10対0を認めるわけではありませんのでご注意ください。
「ウインカーを出していた」という相手の主張を、映像解析で覆す
相手が「ウインカーを出していた」と映像の解釈そのものを争ってくることもあります。その場合も、当事務所では提携する解析業者(株式会社東海DC)に依頼して、光の色(法定の橙色か)や点滅の周期を解析し、それが本当に方向指示器なのか、太陽光の反射等なのかを判定できます。当事務所には、この解析で相手のウインカーを否定した事案があります(詳細は後述の「10対0と『9対1』を分けるもの」で紹介します)。
車両の傷の「入力方向」・接触箇所——ドラレコがなくても事故態様を再現できる
ドラレコがなくても、車体に残った傷の向き・位置、どこがどう接触したかから、衝突時の角度や前後関係を推定できる場合があります。“動かぬ物証”である損傷から、事故態様を再現するのです。
当事務所の実例(愛知県/ドラレコなし・相手の反訴を退けて10対0で和解)
高速道路の料金所を出たあたり(混雑して車列ができていた場所)で、被害者車が直進していたところ、相手車が後方から進入して被害者の前に出て停止し、加害車の前部が被害者車の側面に接触しました。相手はこれを被害者にも落ち度があると主張しただけでなく、反訴(逆に被害者に対して損害賠償を請求)を起こし、被害者にも2割の過失があると真正面から争ってきました。
この事案にはドラレコ映像がありませんでした。そこで当事務所は、①相手が後方から進入して前に出た=相手の方が速かったこと、②そのため被害者からは追突に近い態様(側面に後方から押される損傷)で、相手の動きを予見することも回避することも不可能だったことを、接触の態様・損傷状況から立証しました。
結果、相手の反訴請求は認められず、相手が一方的に賠償金を支払う内容(当方の過失なし)で、和解が成立しました。
この事案で重要なのは、ドラレコがなくても、接触態様と損傷という物証で事故態様は立証できる場合があるということです。
とりわけ効果的だったのは、次の3つを組み合わせて一本の筋を通した点です。
①事故後に相手車が被害者車より前で停止していたこと(=相手の方が速く先行していた)、
②被害者車の損傷が接触点から前方へ向かって印象されていたこと(=後方から追突に近い形で当てられた)、
③相手のカーナビ操作という前方不注視を相手自身が認めていたこと。
さらに当事務所は、相手が「被害者車が死角に入って確認できなかった」と述べていたことを捉え、「ならば事故前の被害者車の位置についての相手の主張は信用できない」と指摘しました。加えて、「仮に相手の言うとおり並走状態からの車線変更だったとしても、並走する車のウインカーや車線への進入を被害者が確認することは不可能だ」という二段構えの主張で、どちらの事故態様であっても被害者に過失がないことを示しました。「相手が後方から(あるいは並走から)突然出てきた」という回避可能性の否定を物証だけで立証できれば、ドラレコがなくても過失相殺を防げるのです。

(解析報告書の一部抜粋)
一般的には、後方から前方への入力があった場合、損傷面が「薄い」から「濃い」に変化し、加えて、損傷面の付着塗料の面積が広くなります。また、後方から前方への入力があった場合、入力方向である前方に向かって塗料の堆積が形成されます(「物損事故事件における立証から解決まで」髙畠希之著)。
傷痕解析についての詳細は、以下の記事で紹介していますので参考にしてください。
同じくドラレコのない事案で、車両の損傷と停止位置から事故態様が認定された裁判例を挙げます。接触の方向・損傷の状況という”動かぬ物証”で、事故態様は再現できるのです。
参考裁判例:大阪地裁 平成30年6月28日判決
ドラレコなどの客観映像がない事案。しかし裁判所は、事故後に相手車が被害車の前で停止していたこと(=相手の方が速かった)、双方の損傷箇所(被害車の右前タイヤ付近・相手車の左前ドア付近)から、衝突時にほぼ並走状態で、相手が追い抜きざまに車線変更したと認定。直進車の過失をゼロ(10対0)とした。
実況見分調書——人身事故なら必ず活用する
人身事故では、警察が作成する実況見分調書に、当事者双方の説明をもとにした事故状況が記録されます。ドラレコがなくても、これも有力な証拠となることがあります。
前述の静岡地裁H31.3.14判決でも、ドラレコ映像はなく、実況見分調書に記載された双方の説明をもとに「並走状態からの車線変更」が認定されました。物損事故では作成されないため、人身として届け出ているかが後の立証を大きく左右します。
事故直後の現場記録——被害者自身ができる立証準備
弁護士に依頼する前でも、被害者自身ができる最重要の準備があります。事故直後、ケガ人の確認と安全確保を済ませたら、可能な範囲でスマホで撮影しておいてください。
- 両車両の停止位置と位置関係
- 双方の損傷箇所
- 路面の状況(タイヤ痕・道路標示・ゼブラゾーンの有無)
- 目撃者がいれば連絡先
これらは後の交渉・裁判で主張を裏づける材料になります。なお、事故後にどちらの車がどこに停止していたかは、「どちらが先行していたか(=速かったか)」を示す重要な手がかりになります。
10対0と「9対1」を分けるもの——合図を否定できても5%残った実例
「相手が悪い」を立証できても、被害者側に回避の余地が認められれば、10対0とならないことがあります。両者を分けるのは”回避可能性”です。
ここまで10対0で解決した事案を紹介してきましたが、10対0にならなかった事案もお伝えします。むしろこの事案こそ、10対0と「あと一歩」を分ける要点を最もよく表しています。
当事務所の実例(東海DC解析でウインカーを否定 → それでも相手95%・被害者5%の判決)
片側2車線の緩やかなカーブで、被害者が第1車線を直進中、第2車線の相手車が車線変更してきて接触した事案です。相手は「左ウインカーを出していた」と主張。当事務所は東海DCの映像解析で、映っていた光は法定の橙色ではなく、点滅の間隔も不規則で、しかも車体側面のランプは白く光って見えるのに、同時に映るべき後部(リア)のウインカーは一度も点いていなかったことを示し、方向指示器とは認められない(太陽光の反射等)として、相手の合図を否定することに成功しました。
ところが裁判所は、被害者にも5%の過失(相手95%・被害者5%)を認めました。理由は次のとおりです。
- 被害者は相手車とほぼ並走しており、前方を見ていれば相手車の動きに気づけた
- 被害者は事故の直前にクラクションを鳴らしていた=相手車の存在・動きを認識していた
- 相手の車線変更開始から接触まで約2秒あり、被害者が減速していれば接触を避けられたのに減速しなかった
- 接触箇所が相手車の側面の”後ろ”寄りだった=相手の方がわずかに前に出ていた
つまり、「相手が合図を怠った」ことを立証できても、それだけでは0にはならないのです。裁判所が見るのは、相手の落ち度と同時に、「直進していた側に、避けるチャンスが本当になかったか」。被害者が相手の動きに気づき、減速する余裕があったと判断されれば、わずかでも過失が残り、結果は10対0ではなく相手95%・被害者5%になりえるのです。
とりわけ示唆的なのは、被害者が事故の直前にクラクションを鳴らしていたことが、ここでは被害者に不利に働いた点です。クラクションは「危険を避けようとした」行動ですが、裁判所はこれを「被害者が相手車の存在・動きを認識していた」証拠ととらえ、「気づいていたなら減速して避けられたはず」という評価につなげました。同じ事実が、見方によって有利にも不利にもなるのです。
この事案の教訓は明確です。10対0を勝ち取る鍵は「相手が悪い」の立証だけでなく、「自分には避けようがなかった」(予見も回避もできなかった)の立証にある。だからこそ、衝突までの時間・両車の位置関係・接触箇所・速度といった事故態様の細部を、ドラレコや映像解析・車両の傷で客観的に固めることが、0%まで詰めるための決定的な作業になります。
まとめ:車線変更事故で10対0を勝ち取る3つの要点
車線変更事故で過失割合を10対0にするための要点は、次の3つに集約されます。
- 主張の柱は「回避可能性の否定」。相手の合図の有無・後方無確認は加算要素にとどまる。直進車側に「予見も回避もできなかった」ことを立証することが重要です。
- ドラレコがなくても立証できる場合がある。車両の傷の入力方向・接触箇所・実況見分調書・事故後の停止位置から事故態様を再現できる場合があります。当事務所では高速道路上のドラレコのない事案でも、相手の反訴を退けて過失相殺なしで解決した実例があります。
- 10対0と9対1を分けるのは「事故態様の細部」。衝突までの時間・両車の位置関係・接触箇所・減速の有無を、ドラレコ・映像解析(コマ送り)・損傷状況で客観的に詰め切れるかが勝負です。
保険会社の最初の提示(7対3など)に納得がいかないときは、感情ではなく証拠で「避けられなかった」を詰めていくことが要です。「この事故は10対0になるのか」を知りたい段階で、お早めにご相談ください。
過失割合を得意とする事務所です
当事務所は交通事故の中でも特に過失割合の交渉や裁判を得意とします。
過失割合が争点となる案件に力を入れている法律事務所は全国的にも珍しいかと思います。
静岡県にある事務所ですが、お陰様で口コミが広がり、過失割合ついて、静岡県外の方からも多くのご相談・ご依頼をいただいております。
他の弁護士からは保険会社が提示する過失割合で諦めるように言われたというケースでも当事務所に交渉や裁判を御依頼いただいて有利な割合になったケースが多数あります。
当事務所では、専門解析業者(株式会社東海DC )と提携しているため、車の傷痕やドライブレコーダーの映像を解析し事故状況を検証して、過失割合について徹底的に争うことも可能です。
※解析業者への依頼は有料となりますが、弁護士費用特約がある場合には、基本的には弁護士費用特約によって費用が補償されます。
安心してご依頼いただける体制を整えておりますので、過失割合でお悩みの方はぜひ当事務所にご相談ください。
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弁護士費用
保険会社等からの回収金額の11%+22万円(税込)
相談料と着手金は無料です。
交渉等が解決した後の完全後払いになります。
※訴訟等の手続に移行する場合は追加費用が発生します。
弁護士費用特約を使える場合には、保険会社が弁護士費用を代わりに支払ってくれますので、ほとんどのケースで実質無料で交渉や裁判等を弁護士に依頼できます。
弁護士費用特約を利用しても、保険料は変わりませんので、可能な場合には利用することをお勧めします。
「弁護士費用特約を使えるか分からない」という場合には、弁護士が代わりに保険会社に確認することもできますので、お気軽にご相談ください。
保険代理店様からのご相談
当事務所では、交通事故被害者の方からだけではなく、保険代理店様からのご相談についても無料で対応しています。
これまでも全国の保険代理店様からご相談いただいた実績があります。
まずは、契約者様の代わりにご相談してみたいという保険代理店様も、LINE、電話、メールでお問い合わせください。
よくある質問
Q静岡県以外の地域に住んでいるのですが、静岡県以外の地域からの相談・依頼は可能ですか?
静岡県以外の方からのご相談・ご依頼もお受けしております。当事務所へのご相談・ご依頼のうち半分程度が静岡県外の方からのものです。
電話、メール、LINE、zoomなど、ご希望の方法でご相談いただけます。また、ご依頼後も同様の方法で打ち合わせができますので、仮に、裁判になったとしても、事務所にお越しいただく必要はありません。
これまで、北海道、青森、福島、福井、富山、石川、東京、埼玉、群馬、栃木、千葉、神奈川、山梨、静岡、愛知、長野、岐阜、滋賀、京都、大阪、三重、奈良、兵庫、広島、島根、香川、宮崎、福岡、沖縄にお住まいの方からご相談・ご依頼いただいた実績がありますので(令和6年7月現在)、その他地域にお住まいの方もお気軽にご相談・ご依頼ください。
Qケガはなく、物損(車の修理費用など)の過失割合だけが問題になっているのですが、相談・依頼することはできますか?
物損だけの事故についてもご相談・ご依頼いただくことは可能です。
Q小さな事故で、特に保険会社との間で揉めていないのですが、弁護士に相談しても良いですか?
もちろん、問題ありません。
弁護士に依頼することで、小さなケガであっても示談金額が増額される可能性がありますし、保険会社との対応を全てお任せできるというメリットがありますのでお気軽にご相談ください。
Q弁護士費用で費用倒れ(赤字)になることはありませんか?
ご相談内容を詳しく伺ったうえで、もし、少しでも費用倒れの可能性がある場合には、必ずご依頼前にご説明させていただきます。万が一、増額した金額よりも弁護士費用が高額となる場合は、増額した金額が弁護士費用の上限となりますので、損をすることはありません。
なお、弁護士費用特約をご利用の場合は、費用倒れになることはありません。
Qどの段階から費用が発生しますか?
相談では一切費用は発生しません。弁護士との間で委任契約書を作成して、正式にご依頼いただいて、弁護士が交渉等の活動を開始した段階から費用が発生致します。
Q日中は仕事で忙しいので、弁護士事務所に行ったり、電話をしたりすることが難しいのですが・・・
ご依頼後の弁護士との連絡手段をメールやLINEにすることが可能です。
Q裁判まではしたくないのですが、交渉で示談することは可能ですか?
裁判まで行うか、交渉で示談をして終わらせるかは、依頼者の方が決めることになりますので、交渉での解説を希望される場合には、裁判にはなりません。なお、当事務所では、8割ほどが交渉で解決しています。
Q解決までには、どれくらいの時間が掛かりますか?
事案にもよりますが、交渉の場合、交渉開始から1ヶ月程度で示談して終わるケースが多いです。ただし、後遺障害の申請をしたり、過失割合に争いがあって実況見分調書等を取り寄せる場合には、プラス2、3月程度かかります。
また、裁判の場合は、早くても半年程度は掛かります。当事務所が過去に扱った裁判では、平均すると1年~2年で終わるケースが多いです。
Q弁護士に相談したら必ず依頼しなければいけないのでしょうか?
もちろん、相談だけで依頼しなくても問題ありません。むしろ、複数の弁護士に会って相談したうえで、最も信頼できる弁護士に依頼することをお勧めします。
Q他の弁護士に依頼しているのですが、変更して依頼はできますか?
現在、依頼している弁護士との契約を解除していただいたうえで、ご依頼いただくことになります。また、弁護士費用特約を利用している場合には、ご自身の保険会社に担当弁護士を変更したい旨を伝えて了承を得てください。






