相手が車線変更でぶつけてきたのに、保険会社からは「あなたにも3割の過失がある」と言われて納得できない。
並走状態から車線変更をされて、横からぶつけられた。
後ろの死角から車線変更をされてぶつけられた。
車線変更事故で過失割合を10対0(無過失)にするには、何をどう主張し、どんな証拠で立証すればよいのか知りたい。
ドラレコがない場合でも10対0を目指せるのか知りたい。

 

この記事は、このようなお悩みをお持ちの方のために書きました。

本記事を執筆した弁護士

静岡城南法律事務所

德田匡輝(とくだまさてる)

静岡県弁護士会所属 登録番号:64322

静岡県交通事故相談所の顧問弁護士。日本交通法学会所属。弁護士としては珍しく、特に過失割合の問題に強い。駐車場事故、車線変更、交差点での事故など、保険会社が提示する過失割合に納得のいかない被害者からの依頼が多い。最近では、口コミを聞いた静岡県外からの相談・依頼も多い。

目次

この記事の結論

Q1. 車線変更事故の基本的過失割合は?
A1. 車線変更車70:後続直進車30が基本です(別冊判例タイムズ39号)。車線変更車には後方の安全確認義務と合図義務があるため(道路交通法26条の2)、重い過失が認められます。ただしこれは「双方に速度差がある」ことを前提とした目安にすぎません。
Q2. 車線変更事故で過失割合を10対0にできるのか?
A2. 状況によっては可能です。10対0にするには「相手の落ち度の大きさ」だけではなく、「直進していた側に事故を回避する可能性がなかったこと」を証拠に基づいて証明することが重要です。当事務所は、保険会社が当初7対3(直進車3割)と提示した事案などで、交渉や裁判で10対0にした事例を複数持っています。ただし裁判所は被害者側の回避可能性を慎重に検討するため、10対0は決して簡単に認められるものではありません。
Q3. 並走状態から車線変更されて衝突した場合は?
A3. 直進車の過失0%、車線変更車の過失100%になる場合があります。判例タイムズの70:30は「前方にいた車が進路変更する場合」を想定したものであり、真横からの並走状態からの車線変更は対象外です。並走中は直進側には回避可能性がほぼなく、一方的過失が認められ得ます(参考判例:静岡地裁 平成31年3月14日判決、大阪地裁 平成30年6月28日判決)。
Q4. ドラレコがないと10対0は無理ですか?
A4. ハードルは高いですが、10対0にできる場合もあります。車両の傷の入力方向・接触箇所・実況見分調書・事故後の停止位置から事故態様を再現できる可能性があります。当事務所では、ドラレコのない事案でも、損傷状況の解析から事故態様を立証し、直進車側の過失なしで解決した実例があります。
Q5. 相手が「ウインカーを出していた」と主張してきた場合、覆せるか?
A5. 覆せる場合があります。当事務所は提携する映像解析業者(株式会社東海DC)と連携し、相手車のウインカーに見えた光が法定の橙色でなく点滅周期も不規則であることから、太陽光の反射であって方向指示器ではないと立証した事例があります。
Q6. 10対0(自分は無過失)を主張する場合、逆に困ることはある?
A6. あります。あなたが「自分に過失はない(10対0)」と主張している場合、あなたの保険会社は賠償金を支払う立場にならないため、示談交渉を代行できません(示談代行サービスが使えない)。あなた自身が相手の保険会社と直接交渉することになるため、弁護士への依頼を検討すべき場面です。詳しくは本文で解説します。

執筆:弁護士 德田匡輝(静岡県弁護士会 登録番号64322/日本交通法学会所属/静岡県交通事故相談所 顧問弁護士〈静岡県知事の委嘱による〉)/最終更新:2026.07.04

結論:10対0は「回避可能性の否定」を立証できるかで決まる

車線変更事故で過失割合を10対0にできるかは、相手の落ち度の大きさだけではなく、「直進していた側に事故を回避する可能性がなかったこと」を証拠で立証できるかで決まります。

ここで、多くの方が誤解している大事なポイントがあります。「相手がウインカーを出していなかった」「後方を確認していなかった」——こうした相手の落ち度は、相手の過失割合を重くする“加算要素”にすぎません。それだけでは、直進車側の過失がゼロになるとは限りません。直進車側の過失を0にするには、「相手の落ち度」とは別に、「直進していた側には予見も回避もできなかった」ことも立証することが重要です。

保険会社が持ち出す「7対3(相手7割・直進車3割)」は、判例タイムズ(別冊判例タイムズ39号)という本の基本の目安にすぎません。「前方にいた車があとから進路変更してくる」「双方に速度差がある」という限られた状況を想定したものです。

ところが、

  • 真横で並走していた車が突然寄ってきた
  • 後方から追い抜きざまに割り込んできた

こうした状況では、直進車に回避の余地はありません。だから10対0になり得るのです。問題は、「並走だった」「追い抜きざまだった」という事実を、どうやって証明するかです。

なお、はじめに率直にお伝えしておきます。10対0は、簡単に認められるものではありません。裁判所は、直進していた側にも「もう少し速度を落としていれば相手の動きに気づけたはず」といった回避の余地がなかったかを慎重に検討します。だからこそ、感情ではなく証拠で「回避できなかった」を詰めることが要になります。

この記事では、次の順番で解説します。

  1. 保険会社が主張する「7対3」の根拠と修正要素(まず相手の理屈を知る)
  2. 基本の7対3が当てはまらず、10対0になり得る事故状況(並走・追い抜き・死角)
  3. 当事務所が10対0を実現した解決事例の一覧
  4. 10対0を勝ち取る「主張」の組み立て方と、証拠別の立証方法
  5. 10対0と「9対1」を分けたもの——当事務所が0にできなかった事案の敗因分析

保険会社が主張する「7対3」の正体——判例タイムズの基本的過失割合

車線変更の事故では、保険会社から「今回の事故の場合、過去の裁判では7対3で決まっている」などと言われることがよくあります。

保険会社がいう「過去の裁判では」というのは、通常、判例タイムズ(別冊判例タイムズ39号)という本を参考にしています。判例タイムズというのは、過去の裁判例等を事故類型ごとに整理して、基本的な過失割合を定めたものです。交渉や裁判では、判例タイムズに記載された基本的な過失割合をベースに話し合いが行われることが多いです。

しかし、これはあくまで基準、つまり目安にすぎません

そのため、具体的ケースによっては、修正要素によって異なる割合になることがあります。また、もっと言えば、そもそも事故状況が判例タイムズのケースとは違うということで、基本的過失割合が妥当しないということもよくあります。

具体的には、保険会社は車線変更事故の場合、次に説明する基本的過失割合というものを持ち出して被害者側にも30%の過失を主張してくることが多いです。しかし、後で説明するとおり、並走状態からの車線変更や、加害者が後方の死角からぶつかってきた場合には、被害者の過失が無く、0対100になることもあります。

基本的過失割合(一般道・車vs車)

後方から直進する車Aと、その前方で車線変更をした車Bが衝突した事故の場合、基本的過失割合は、Aが30%、Bが70%となります。

車線変更事故の基本的過失割合(後方直進車A30%:車線変更車B70%)の事故状況図

車両はみだりにその進路を変更してはならず(道路交通法26条の2第1項)、また、車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならないとされている(同条2項)ことから、車線変更をする車Bの方が不利な割合となっています。

ただし、判例タイムズの解説にも記載されていますが、これは、双方の速度に差のあることが前提となります

つまり、Aの速度がBよりも高速であるか、車線変更時にBが減速するか、またはAが加速中であるかのパターンが想定されています。

そのため、後で解説するとおり、上記パターンに当てはまらないケース(並走・追い抜きざま等)では、車線変更の事故であっても上記基本的過失割合のとおりにならない場合があります。

修正要素

上記の基本的過失割合を前提に以下のような事情がある場合には、基本的過失割合が修正されることになります。

修正要素 直進車Aの過失が修正される割合
Aがゼブラゾーンを進行 +10〜20%
Aが時速15km以上の速度違反 +10%
Aが時速30km以上の速度違反 +20%
Aのその他の著しい過失 +10%
Aのその他の重過失 +20%
進路変更禁止場所 -20%
Bのウインカーなし -20%
Aの初心者マーク等 -10%
Bのその他の著しい過失 -10%
Bの重過失 -20%

例えば、Aに時速15kmの速度違反がある場合、Aの過失が10%加算されるので、Aが40%、Bが60%となります。以下、各修正要素について解説します。

ゼブラゾーン進行

ゼブラゾーン(導流帯)を進行する直進車Aと車線変更車Bの事故状況図

ゼブラゾーンの立ち入りについて禁止条項や罰則はなく、単に車の走行を誘導するものに過ぎませんが、運転者の意識としてゼブラゾーンにみだりに進入すべきではないと考えているのが一般的であるため、ゼブラゾーンを進行した後続直進車Aについて10%〜20%の過失が加算されます。

著しい過失と重過失

著しい過失の例としては、脇見運転等著しい前方不注視、著しいハンドル・ブレーキ操作不適切、携帯電話等を通話のために使用したり、画像を注視したりしながら運転すること、酒気帯び運転などが挙げられます。これらの事情がある場合、その運転手の過失が10%加算されます。

重過失は、著しい過失よりも重たい過失がある場合です。例としては、酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転、過労、病気及び薬物の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれがある場合などが挙げられます。これらの事情がある場合、その運転手の過失が20%加算されます。

進路変更禁止場所

車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が進路の変更の禁止を表示する道路標示によって区画されているときは、原則として、その道路標示をこえて進路を変更してはならないとされているため(道路交通法26条の2第3項)、このような進路変更禁止場所での進路変更については、後続直進車Aの過失が20%減算されます。

ウインカーなし

車線変更車Bがウインカーを出さずに車線変更をした場合、後続直進車Aの過失が20%減算されます。

車両の運転者は、同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手・方向指示器(ウインカー)・灯火により合図をし、その行為が終わるまで当該合図を継続しなければなりません(道路交通法53条1項)。また、進路変更の場合には、その3秒前から合図をすることとされています(道路交通法施行令第21条1項)。そのため、ウインカーを出していたとしても3秒よりも短い場合にも修正がされる可能性があります(この「合図の出し遅れ」を実際にドラレコのタイムコードで立証した当事務所の事例を、後半の「証拠別の立証方法」で紹介します)。

初心者マーク等

後続直進車Aがいわゆる初心者マークやシルバーマーク等をつけた自動車である場合、Bの進路変更に際しての注意義務が加重されるため、Aの過失が10%減算されます。

なお、高速道路上での車線変更の事故については、一般道路上での車線変更事故の場合と基本的過失割合や修正要素が異なりますので、以下の記事を参考にしてください。

基本の7対3が当てはまらない場合——10対0になり得る事故状況

まず、事故状況ごとの過失割合の目安を一覧にします(直進車:車線変更車)。

事故状況 過失割合の目安(直進車:車線変更車)
前方の車が車線変更(双方に速度差あり)=判例タイムズの基本 30:70
車線変更車のウインカーなし 10:90
ほぼ同速度で並走中、真横から車線変更された 0:100 になり得る
直進車が追いついて並走になった直後に車線変更された 0:100 になり得る
後方から追い抜きざまに車線変更された 0:100 になり得る
左折・右折レーンで並走中に車線を越えてきた 0:100 になり得る

「になり得る」と書いたのは、これらのケースでは事故状況(並走だった・追い抜きざまだった)を証拠で立証できるかどうかで結論が変わるからです。以下、順に解説します。

並走状態からの車線変更の場合

先に説明しましたとおり、判例タイムズに記載されている車線変更の場合の基本的過失割合は、双方の速度に差のあることが前提となります。

そのため、例えば、AもBも同程度の速度で並走していたところ、Bが車線変更をしてきた場合は、Aの過失が0%、Bの過失が100%になる場合があります。Aとしては死角である横からぶつけられたため、事故を回避することはできなかったというわけです。

並走状態からの車線変更事故(直進車Aと車線変更車Bがほぼ真横)の事故状況図

この事故類型に関する裁判例としては、以下のようなものがあります。

静岡地方裁判所・平成31年3月14日判決

本件は、原告が法定速度を遵守して原告車両を運転して片側2車線直線道路の第1車線を直進走行していたところ、第2車線をほぼ並走して直進走行していた被告の運転に係る被告車両が安全確認を怠ったまま第1車線への車線変更を開始し、既にほぼ真横にいた原告車両に一方的に衝突してきたのであり、車線変更開始から衝突(接触)まで僅か1.5秒にも満たなかったというのであるから、原告からすればおよそ結果回避可能性がなかった事故というべきであり、本件事故発生に対する過失割合は、原告0%、被告100%と認めるのが相当である。

この事例では、ドライブレコーダーの映像は無かったようですが、実況見分調書が証拠として提出されており、実況見分調書に記載された当事者双方の説明を元に上記のような事故態様が認定されました。

判決では、①双方車両の位置関係(ほぼ真横を並走していた)、②車線変更から衝突までの時間(1.5秒と短い)という2つの事情が重視され、直進車の過失が否定されています。位置関係だけでなく、車線変更から衝突までの時間も過失割合を決める際に重要な要素となりうるため注意が必要です。

直進車の方が速く、並走になってから車線変更の場合

直進車が追いついて並走状態になったところで車線変更された事故の状況図

次に解説するのは、元々、直進車Aが車線変更車Bの後方を走行していましたが、Aの方が速く、Bに追いついて並走状態となったところで、Bが車線変更をしてきた場合です。Aが一定の速度で走行していて、Bが車線変更のタイミングを伺って減速している場合にこのような事故状況になることがあります。当事務所へのご相談としては、特に多い事故類型です。

この場合も具体的な事故状況によっては、Aの過失が0%、Bの過失が100%になる場合があります。例えば、AがBの真横に追いついた状況や追い越した後に車線変更を開始した場合などは、Aの過失が否定されることがあります。一方で、AがBの後方にいる位置関係でBがウインカーを出していたり、車線変更を開始している場合は基本的過失割合に近くなる傾向にあります。

こちらの事故類型について、当事務所が交渉・裁判で過失割合を覆した実例(富山県・岐阜県の事案)がありますが、どんな証拠でどう立証したのかは、後半の「証拠別の立証方法」で詳しく解説します。

後方から追い抜きながら車線変更してきた場合

次に解説するのは、Bが直進車Aの後方から追い抜きながら車線変更をしてきた場合です。このような場合、通常Aは後方から車線変更してくる車を予期して回避することはできませんので、基本的にはAの過失が0%、Bの過失が100%になることが多いかと思います。

後方から追い抜きながら車線変更してきた場合の事故状況図

ただ、当事務所への相談に来られるケースの多くは、ドライブレコーダーが無く、そもそも相手方が追い抜きながら車線変更をしたことを否定しているというケースが多いです。そのような場合であっても、事故後の車両の位置関係や双方車両の損傷状況などから、事故状況を証明できる場合があります。参考裁判例としては、以下のものがあります。

大阪地裁・平成30年6月28日判決

本件事故は、第2車線を走行してきた被告車が、車線変更をするに際し、変更先車線の車両の有無等を注視して進行すべき注意義務を怠り、第1車線をほぼ並走していた原告車に気付かずに、漫然と進行した過失により、被告車の左前部を原告車の右側面前部に接触させたものであるから、もっぱら被告の過失に起因するものである。これに対し、原告車は、自車線内を走行中に、進路変更をしてきた被告車に接触されたものであるところ、本件事故直前の両車の位置関係は、ほぼ並走状態であったと認められることから、原告において、被告車の進路変更を予見して接触を回避するのは不可能であったと認めるのが相当である。したがって、本件事故発生について原告に過失はない。

同種の事案では、動かぬ物証から事故態様を再現した裁判例もあります。大阪地裁 平成25年6月14日判決は、事故後に被告車が原告車の前で停止していたこと(=被告車の方が速かった)と、双方の損傷箇所(原告車の右前タイヤ付近・被告車の左前ドア付近)から、被告車が原告車を追い抜いて並走状態となったときに接触したという事故状況を認定しています。

ドラレコが無くても、事故後の停止位置と損傷箇所という“動かぬ物証”から事故態様を再現できることを示す好例です。当事務所にも、同じ発想でドラレコのない事案を10対0で解決した実例があります(後述)。

左折・右折時に車線を越えてきた場合

次に解説するのは、2車線以上の左折、右折用車線がある交差点で、一方が車線を越えてはみ出してきた場合です。この場合もAとBの速度が同程度でBが並走状態からAの車線にはみ出してきた場合や、Bが後方から追い抜きながら車線をはみ出してきた場合には、Aの過失が0%、Bの過失が100%になることがあります。当事務所の解決事例の一例としては以下のものがあります。

当事務所が10対0を実現した解決事例の一覧

下表は、当事務所の弁護士が実際に代理人として担当し、車線変更の事故を10対0で解決した事案です。当初の保険会社からの提示はいずれも被害者に過失を求めるものでした。これら以外にも車線変更の事故で10対0になった事例について解決事例で紹介していますので参考にしてください。

決め手となった立証 決着(地域)
ドラレコのタイムコードで合図の出し遅れ+後方無確認を立証 裁判(岐阜)
映像解析業者のコマ送り解析で相手が車線変更の前ぶれを見せていないことを立証 裁判(富山)
前後ドラレコで交差点付近・追い越し目的の急な進路変更・合図なしを明示 交渉(長野)
相手が後方から突然進入=追突に類似し予見・回避が不可能だったと立証 裁判(愛知)

各事案で実際にどんな立証が決め手になったのかは、記事を通じて具体的に解説していきます。

10対0を勝ち取る「主張」の組み立て方

10対0の主張は「悪いのは相手だ」という感情論ではなく、「予見できず、回避できなかった」という回避可能性の否定で組み立てます。ここでは“考え方”の柱を示し、それを具体的に支える証拠の集め方・読み解き方は、次章「証拠別の立証方法」で扱います。

「予見できず、回避できなかった」を主張の柱に置く

具体的には、次の2点を主張します。

  • 相手の車線変更を事前に予見できなかった(死角・並走・追い抜きざまなど)
  • 予見できたとしても回避する時間的余裕がなかった(衝突までが一瞬だった)

参考になるのが、先ほど紹介した静岡地裁 平成31年3月14日判決です。この判決で読み取るべきは、裁判所が「相手が安全確認を怠った」ことだけでなく、「直進車には結果を回避する可能性がなかった」という両面を認定して初めて、直進車0%(10対0)としている点です。相手の落ち度=加算、回避可能性の否定=0の要件という構造がそのまま表れています。

ここから分かる「主張の型」は明確です。①位置関係(ほぼ真横か)、②車線変更から衝突までの時間(短いか)——この2点を主張・立証できれば、10対0が見えてきます。では、この2点を実際に何で証明していくのか。次章で証拠ごとに見ていきます。

証拠別の立証方法——何で「回避できなかった」を立証するか

10対0の成否は、証拠で事故態様をどこまで再現できるかにかかっています。ドラレコがあればそれが最強の証拠ですが、なくても、車の傷・実況見分調書・停止位置から立証できる場合があります。以下、証拠の種類ごとに、当事務所が実際に決め手とした立証を紹介します。

ドライブレコーダー映像(ある場合)——「ただ提出する」だけでは足りない

ドラレコは最強の証拠ですが、映像をそのまま出すだけでは不十分なことがあります。相手が映像の解釈を争ってくるからです。「いつ合図したか」「車線変更の前ぶれがあったか」まで踏み込んで読み解くことが、10対0と“あと一歩”を分けます。

タイムコードで「合図の出し遅れ」と「後方無確認」を立証する

ドライブレコーダーに記録されたタイムコード(時刻情報)を細かく読み解くと、「合図を出したかどうか」だけでなく「いつ出したか」というタイミングまで客観的に示せます。

当事務所の実例(岐阜県/裁判上の和解・10対0で解決)

相手は「ウインカーを出していた」と主張し、判例タイムズの基本割合に修正要素を加えて9対1(相手9割・被害者1割)を求めてきました。これに対し当事務所は、被害者車のドラレコ映像のタイムコードを読み解き、相手が方向指示器を点けてから、被害者の車線に入ってくるまで、そして衝突までが、ほとんど間を置かずに連続して起きていたことを示しました。これは“合図を出した”のではなく、合図の出し遅れ(道路交通法53条1項違反)にほかなりません。さらに、相手車が衝突まで速度を一定に保ち、まったく事故回避動作をしていないことから、「相手は被害者車の存在に気づいておらず、後方を一切確認せずに車線変更した」ことも指摘。いずれも相手の過失を重くする事情として、相手が賠償金を全額支払う10対0の和解が成立しました。

ポイント:この事案で効果的だったのは、「合図を出したかどうか」ではなく「いつ出したか」というタイミングにまで踏み込んだ点です。ドラレコのタイムコードを読み解けば、合図と車線変更がほぼ同時だったこと(=出し遅れ)を客観的に示せます。さらに、衝突まで相手の速度が一定で回避動作がないことを同じ映像で押さえ、「合図の出し遅れ」と「後方無確認」という2つの加算事情を一本の映像から同時に立証できたことが決め手になりました。

コマ送り(フレーム単位)解析で「車線変更の前ぶれがなかった」ことを立証する

相手の合図のタイミングや、車線変更の“前ぶれ”の有無をさらに厳密に争うときは、映像解析の専門業者にコマ送り(フレーム単位)で解析を依頼する方法があります。映像に時刻が表示されていなくても、解析業者が映像にタイムコードを付与し、1コマずつ(ドライブレコーダーは1秒間に約30コマ=1コマ約0.03秒)、コンマ数秒単位で「いつ何が起きたか」を特定できます。

当事務所の実例(富山県/裁判上の和解・10対0で和解)

被害者は減速した相手車に追いつき、ほぼ並走となり、次の瞬間、相手が車線変更してきて接触。保険会社は当初、判例タイムズの基本割合をもとに7対3(被害者に3割)を提示してきました。訴訟になると、相手は「ウインカーは出していなかった」と自らの過失自体は認めたものの、「被害者が追い抜こうとしていた」「減速すれば避けられた」として、なお被害者側にも過失があると主張してきました。

そこで当事務所は、提携する映像解析業者にドラレコ映像をコマ送り(フレーム単位)で解析してもらい、時系列の現場見取図を作成しました。映像内の区画線や横断歩道を基準に、相手車の走行位置を1コマずつ追ったところ、並走に至るまでの間、相手車は車体を斜めにしたり車線に寄ったりという“車線変更の前ぶれ”をまったく見せず、自分の車線の中央をまっすぐ走っていたことが分かりました。前ぶれがない以上、被害者が相手の車線変更を予見することは不可能——この立証により、相手の「減速すれば避けられたはず」という主張を抑え、10対0の内容で和解しました。

ポイント:この事案で効果的だったのは、相手が持ち出してきた「被害者にも回避の余地があった」という主張に、“前ぶれの不存在”で正面から反論した点です。相手が「避ける余地があった」と言ってきたとき、「相手が前ぶれを見せなかったから予見できなかった」を映像で示すことが有効です。相手が「避けられたはず」と言ってくるほど、前ぶれゼロをコマ送りで可視化することが効きます。

(解析報告書の一部抜粋)

ドラレコ映像のコマ送り解析報告書の一部抜粋

ドラレコの映像に基づく交渉で10対0も

事故態様が映像で誰の目にも明らかなときは、訴訟まで行かず、交渉だけで10対0に決着できることもあります。

当事務所の実例(長野県/前後ドラレコあり・交渉のみで10対0)

被害者が交差点の右折レーンを走行して交差点に差し掛かったところ、相手車が、前方で歩行者の横断を待って停止していた左折車を追い越そうとして、隣のレーンから右折レーン側へ車両の境界線を越えて被さるように進入し、被害者車に接触した事案です。相手は接触に気づきながらそのまま走行し、保険会社は当初、被害者側にも過失があるとして過失相殺を主張してきました。

これに対し当事務所は、被害者車の前後2つのドライブレコーダー映像から、①相手が交差点付近で追い越し目的の急な進路変更をしたこと、②その際に合図(ウインカー)を出していなかったこと、③接触後もそのまま走行したことを、映像で一つひとつ明示しました。映像で事故態様が明確だったため、訴訟をすることなく、交渉のみ・約3か月で、相手側が物損を全額負担する10対0の内容で解決しました。

ポイント:この事案で効果的だったのは、前方の車を追い越そうとした相手が、合図もなく、車線の境界を越えて急に被さってきたという“危険な進路変更そのもの”を、前後2つの映像で誰の目にも明らかな形に整理した点です。ドラレコで事故態様が明確なら、訴訟をせず交渉だけで10対0で解決できることもあります。ただし、ドラレコがあっても保険会社は簡単には10対0を認めるわけではありませんのでご注意ください。

「ウインカーを出していた」という相手の主張を、映像解析で覆す

相手が「ウインカーを出していた」と映像の解釈そのものを争ってくることもあります。その場合も、当事務所では提携する解析業者(株式会社東海DC)に依頼して、光の色(法定の橙色か)や点滅の周期を解析し、それが本当に方向指示器なのか、太陽光の反射等なのかを判定できます。当事務所には、この解析で相手のウインカーを否定した事案があります(詳細は後述の「10対0と『9対1』を分けるもの」で紹介します)。

車両の傷の「入力方向」・接触箇所——ドラレコがなくても事故態様を再現できる

ドラレコがなくても、車体に残った傷の向き・位置、どこがどう接触したかから、衝突時の角度や前後関係を推定できる場合があります。“動かぬ物証”である損傷から、事故態様を再現するのです。

当事務所の実例(愛知県/ドラレコなし・相手の反訴を退けて10対0で和解)

高速道路の料金所を出たあたり(混雑して車列ができていた場所)で、被害者車が直進していたところ、相手車が後方から進入して被害者の前に出て停止し、加害車の前部が被害者車の側面に接触しました。相手はこれを被害者にも落ち度があると主張しただけでなく、反訴(逆に被害者に対して損害賠償を請求)を起こし、被害者にも2割の過失があると真正面から争ってきました。

この事案にはドラレコ映像がありませんでした。そこで当事務所は、①相手が後方から進入して前に出た=相手の方が速かったこと、②そのため被害者からは追突に近い態様(側面に後方から押される損傷)で、相手の動きを予見することも回避することも不可能だったことを、接触の態様・損傷状況から立証しました。結果、相手の反訴請求は認められず、相手が一方的に賠償金を支払う内容(当方の過失なし)で、和解が成立しました。

この事案で重要なのは、ドラレコがなくても、接触態様と損傷という物証で事故態様は立証できる場合があるということです。とりわけ効果的だったのは、次の3つを組み合わせて一本の筋を通した点です。①事故後に相手車が被害者車より前で停止していたこと(=相手の方が速く先行していた)、②被害者車の損傷が接触点から前方へ向かって印象されていたこと(=後方から追突に近い形で当てられた)、③相手のカーナビ操作という前方不注視を相手自身が認めていたこと。

さらに当事務所は、相手が「被害者車が死角に入って確認できなかった」と述べていたことを捉え、「ならば事故前の被害者車の位置についての相手の主張は信用できない」と指摘しました。加えて、「仮に相手の言うとおり並走状態からの車線変更だったとしても、並走する車のウインカーや車線への進入を被害者が確認することは不可能だ」という二段構えの主張で、どちらの事故態様であっても被害者に過失がないことを示しました。「相手が後方から(あるいは並走から)突然出てきた」という回避可能性の否定を物証だけで立証できれば、ドラレコがなくても過失相殺を防げるのです。

(解析報告書の一部抜粋)

車両側面の傷の入力方向(後方から前方)を示す解析報告書の一部抜粋

一般的には、後方から前方への入力があった場合、損傷面が「薄い」から「濃い」に変化し、加えて、損傷面の付着塗料の面積が広くなります。また、後方から前方への入力があった場合、入力方向である前方に向かって塗料の堆積が形成されます(「物損事故事件における立証から解決まで」髙畠希之著)。

傷痕解析についての詳細は、以下の記事で紹介していますので参考にしてください。

なお、前半で紹介した大阪地裁 平成25年6月14日判決も、ドラレコのない事案で、事故後の停止位置と双方の損傷箇所から「並走状態からの車線変更」を認定したものでした。裁判所も同じ発想で事故態様を再現しているのです。

実況見分調書——人身事故なら必ず活用する

人身事故では、警察が作成する実況見分調書に、当事者双方の説明をもとにした事故状況が記録されます。ドラレコがなくても、これも有力な証拠となることがあります。前述の静岡地裁 平成31年3月14日判決でも、ドラレコ映像はなく、実況見分調書に記載された双方の説明をもとに「並走状態からの車線変更」が認定されました。物損事故では作成されないため、人身として届け出ているかが後の立証を大きく左右します。

実況見分調書の取り寄せ方や見取図の読み方、不利な記載があるときの対処については、実況見分調書の取り寄せ方と読み方の記事で詳しく解説しています。

事故直後の現場記録——被害者自身ができる立証準備

弁護士に依頼する前でも、被害者自身ができる最重要の準備があります。事故直後、ケガ人の確認と安全確保を済ませたら、可能な範囲でスマホで撮影しておいてください。

  • 両車両の停止位置と位置関係
  • 双方の損傷箇所
  • 路面の状況(タイヤ痕・道路標示・ゼブラゾーンの有無)
  • 目撃者がいれば連絡先

これらは後の交渉・裁判で主張を裏づける材料になります。なお、事故後にどちらの車がどこに停止していたかは、「どちらが先行していたか(=速かったか)」を示す重要な手がかりになります。

10対0と「9対1」を分けるもの——合図を否定できても5%残った実例

「相手が悪い」を立証できても、被害者側に回避の余地が認められれば、10対0とならないことがあります。両者を分けるのは“回避可能性”です。ここまで10対0で解決した事案を紹介してきましたが、10対0にならなかった事案もお伝えします。むしろこの事案こそ、10対0と「あと一歩」を分ける要点を最もよく表しています。

当事務所の実例(東海DC解析でウインカーを否定 → それでも相手95%・被害者5%の判決)

片側2車線の緩やかなカーブで、被害者が第1車線を直進中、第2車線の相手車が車線変更してきて接触した事案です。相手は「左ウインカーを出していた」と主張。当事務所は東海DCの映像解析で、映っていた光は法定の橙色ではなく、点滅の間隔も不規則で、しかも車体側面のランプは白く光って見えるのに、同時に映るべき後部(リア)のウインカーは一度も点いていなかったことを示し、方向指示器とは認められない(太陽光の反射等)として、相手の合図を否定することに成功しました。

ところが裁判所は、被害者にも5%の過失(相手95%・被害者5%)を認めました。理由は次のとおりです。

  • 被害者は相手車とほぼ並走しており、前方を見ていれば相手車の動きに気づけた
  • 被害者は事故の直前にクラクションを鳴らしていた=相手車の存在・動きを認識していた
  • 相手の車線変更開始から接触まで約2秒あり、被害者が減速していれば接触を避けられたのに減速しなかった
  • 接触箇所が相手車の側面の“後ろ”寄りだった=相手の方がわずかに前に出ていた

つまり、「相手が合図を怠った」ことを立証できても、それだけでは0にはならないのです。裁判所が見るのは、相手の落ち度と同時に、「直進していた側に、避けるチャンスが本当になかったか」。被害者が相手の動きに気づき、減速する余裕があったと判断されれば、わずかでも過失が残り、結果は10対0ではなく相手95%・被害者5%になりえるのです。

とりわけ示唆的なのは、被害者が事故の直前にクラクションを鳴らしていたことが、ここでは被害者に不利に働いた点です。クラクションは「危険を避けようとした」行動ですが、裁判所はこれを「被害者が相手車の存在・動きを認識していた」証拠ととらえ、「気づいていたなら減速して避けられたはず」という評価につなげました。同じ事実が、見方によって有利にも不利にもなるのです。

この事案の教訓は明確です。10対0を勝ち取る鍵は「相手が悪い」の立証だけでなく、「自分には避けようがなかった」(予見も回避もできなかった)の立証にある。だからこそ、衝突までの時間・両車の位置関係・接触箇所・速度といった事故態様の細部を、ドラレコや映像解析・車両の傷で客観的に固めることが、0%まで詰めるための決定的な作業になります。

10対0を主張する場合の注意点——あなたの保険会社は示談交渉を代行できない

実は、「自分に過失はない(10対0だ)」と主張して交渉する場合には、あらかじめ知っておくべき問題がひとつあります。

通常の事故では、あなたが加入している任意保険会社の担当者が、相手側との示談交渉を代わりに行ってくれます(示談代行サービス)。しかし、あなたが10対0(過失ゼロ=無過失)を主張している場合には、あなたの保険会社は示談交渉を代行できません。

これは、弁護士法72条(非弁行為の禁止)が関係しています。あなたに過失があれば、あなたの保険会社は相手への賠償金を保険金として支払う義務を負うため、示談交渉を「自社の法律事務」として代行できます。ところが過失ゼロの場合、あなたの保険会社には相手へ支払う義務が生じません。すると、あなたに代わって示談交渉を行うことは「他人の法律事務の代行」にあたり、弁護士法72条が禁止する非弁行為に該当すると解されているため、行うことができないのです。

その結果、10対0(無過失)を主張する被害者は、交渉のプロである相手側の保険会社と、自分ひとりで直接交渉することになります。相手の保険会社が「あなたにも過失がある」と主張してくる場面で、証拠に基づいて10対0を守り切るのは、被害者本人には大きな負担です。

このような場合こそ、弁護士に交渉を依頼するメリットが大きい場面です。弁護士費用特約が使える場合には、ほとんどのケースで実質負担なく依頼できます。

車とバイクの車線変更事故の過失割合

次に解説するのは車とバイクの車線変更による事故に関するものです。車線変更をしたのが車かバイクかによって基本的過失割合が変わってきます。

車が車線変更した場合の基本的過失割合

後方から直進するバイクAと車線変更した車Bの事故(基本的過失割合20対80)の状況図

後方から直進するバイクAと、その前方で車線変更をした車Bが衝突した事故の場合、基本的過失割合は、バイクAが20%、車Bが80%となります。ただし、車同士の事故の場合と同様に、これは双方の速度に差のあることが前提となります。そのため、上記パターンに当てはまらないケースでは、車線変更の事故であっても上記基本的過失割合のとおりにならない場合があります。当事務所の解決事例の一例としては以下のものがあります。バイクの過失が0%になりました。

修正要素

修正要素 直進バイクAの過失が修正される割合
進路変更禁止場所 -20%
Bのウインカーなし -20%
Bの著しい過失 -5%
Bの重過失 -10%
Aの時速15km以上の速度違反 +5%
Aの時速30km以上の速度違反 +15%
Aのその他の著しい過失 +5%
Aのその他の重過失 +10%

進路変更禁止場所

車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が進路の変更の禁止を表示する道路標示によって区画されているときは、原則として、その道路標示をこえて進路を変更してはならないとされているため(道路交通法26条の2第3項)、このような進路変更禁止場所での進路変更については、直進バイクAの過失が20%減算されます。

ウインカーなし

車線変更車Bがウインカーを出さずに車線変更をした場合、直進バイクAの過失が20%減算されます。

著しい過失と重過失

著しい過失(脇見運転等著しい前方不注視、著しいハンドル・ブレーキ操作不適切、携帯電話等を使用しながらの運転、酒気帯び運転など)がある場合、その運転手の過失が5%加算されます。重過失(酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転など)がある場合は10%加算されます。

バイクが車線変更した場合の基本的過失割合

車線変更したバイクAと後方から直進する車Bの事故(基本的過失割合60対40)の状況図

後方から直進する車Bと、その前方で車線変更をしたバイクAが衝突した事故の場合、基本的過失割合は、Aが60%、Bが40%となります。

修正要素

修正要素 進路変更バイクAの過失が修正される割合
進路変更禁止場所 +15%
Aのウインカーなし +15%
Bが初心者マーク等 +10%
Aの著しい過失 +5%
Aの重過失 +10%
Bの時速15km以上の速度違反 -10%
Bの時速30km以上の速度違反 -20%
Bのその他の著しい過失 -10%
Bのその他の重過失 -20%

進路変更禁止場所

進路変更禁止場所での進路変更については、車線変更したバイクAの過失が15%加算されます(道路交通法26条の2第3項)。

ウインカーなし

車線変更するバイクAがウインカーを出さずに車線変更をした場合、Aの過失が15%加算されます。

初心者マーク等

後続直進車Bがいわゆる初心者マークやシルバーマーク等をつけた自動車である場合、Aの進路変更に際しての注意義務が加重されるため、Aの過失が10%加算されます。

著しい過失と重過失

著しい過失がある場合はその運転手の過失が5%加算され、重過失がある場合は10%加算されます。

まとめ:車線変更事故で10対0を勝ち取る3つの要点

車線変更事故の過失割合について、本記事の要点は次の3つに集約されます。

  1. 保険会社の「7対3」は目安にすぎない。判例タイムズの基本割合は「双方に速度差がある」場合の想定であり、並走状態からの車線変更や後方からの追い抜きざまの割り込みでは、10対0(直進車の過失0%)になり得ます。
  2. 主張の柱は「回避可能性の否定」。相手の合図の有無・後方無確認は加算要素にとどまります。直進車側に「予見も回避もできなかった」ことを立証することが重要です。ドラレコがなくても、車両の傷の入力方向・接触箇所・実況見分調書・事故後の停止位置から事故態様を再現できる場合があります。
  3. 10対0と9対1を分けるのは「事故態様の細部」。衝突までの時間・両車の位置関係・接触箇所・減速の有無を、ドラレコ・映像解析(コマ送り)・損傷状況で客観的に詰め切れるかが勝負です。

保険会社の最初の提示(7対3など)に納得がいかないときは、感情ではなく証拠で「避けられなかった」を詰めていくことが要です。「この事故は10対0になるのか」を知りたい段階で、お早めにご相談ください。

この記事に関するよくある質問

Q. 車線変更事故の過失割合は必ず7対3(70対30)ですか?
A. いいえ。7対3は判例タイムズが定める「基本の目安」であり、「前方にいた車が進路変更し、双方に速度差がある」状況を想定したものです。並走状態からの車線変更や、後方から追い抜きざまの割り込みでは、10対0(直進車の過失0%)になり得ます。ウインカーの有無などの修正要素でも割合は変わります。

Q. 「並走」とはどのような状態をいいますか?
A. 隣り合う車線を、ほぼ同じ速度で、ほぼ真横の位置関係で走行している状態です。並走状態からの車線変更は、直進車から見ると死角からの進入となり回避がほぼ不可能なため、判例タイムズの基本割合(7対3)の前提を欠き、直進車の過失が0%と判断された裁判例があります(静岡地裁平成31年3月14日判決など)。

Q. ドライブレコーダーがなくても10対0にできますか?
A. ハードルは上がりますが、可能な場合があります。車両の傷の入力方向・接触箇所・事故後の停止位置・実況見分調書(人身事故の場合)から事故態様を再現できることがあり、当事務所にはドラレコのない事案で相手の反訴を退け、過失相殺なし(当方過失0)で解決した実例があります。

Q. 保険会社に「9対1が限界」と言われました。妥協すべきですか?
A. 9対1と10対0の差は、賠償額の1割にとどまりません。あなたに1割の過失が付くと、相手の損害の1割をあなた(またはあなたの保険)が負担することにもなります。9対1と10対0を分けるのは「あなたに回避の余地があったか」の立証です。衝突までの時間や位置関係を証拠で詰められるかどうかで結論が変わり得るため、妥協する前に一度弁護士に証拠の評価を相談することをお勧めします。

Q. 10対0(無過失)を主張すると、自分の保険会社が交渉してくれないと聞きました。本当ですか?
A. 本当です。あなたが10対0(過失ゼロ)を主張している場合、あなたの保険会社は交渉の当事者にならないため、示談交渉を代行できません(弁護士法72条)。相手側の保険会社と自分で直接交渉することになるため、弁護士費用特約の利用を含め、弁護士への依頼を検討することをお勧めします。

過失割合を得意とする事務所です

当事務所は交通事故の中でも特に過失割合の交渉や裁判を得意とします。
過失割合が争点となる案件に力を入れている法律事務所は全国的にも珍しいかと思います。

静岡県にある事務所ですが、お陰様で口コミが広がり、過失割合について、静岡県外の方からも多くのご相談・ご依頼をいただいております。

他の弁護士からは保険会社が提示する過失割合で諦めるように言われたというケースでも当事務所に交渉や裁判をご依頼いただいて有利な割合になったケースが多数あります。

当事務所では、専門解析業者(株式会社東海DC )と提携しているため、車の傷痕やドライブレコーダーの映像を解析し事故状況を検証して、過失割合について徹底的に争うことも可能です。
※解析業者への依頼は有料となりますが、弁護士費用特約がある場合には、基本的には弁護士費用特約によって費用が補償されます。

安心してご依頼いただける体制を整えておりますので、過失割合でお悩みの方はぜひ当事務所にご相談ください。

 (検証結果のサンプル)

無料相談のご案内|24時間受付(全国対応)

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相談料と着手金は無料です。

交渉等が解決した後の完全後払いになります。
※訴訟等の手続に移行する場合は追加費用が発生します。

弁護士費用特約を使える場合には、保険会社が弁護士費用を代わりに支払ってくれますので、ほとんどのケースで実質無料で交渉や裁判等を弁護士に依頼できます。

弁護士費用特約を利用しても、保険料は変わりませんので、可能な場合には利用することをお勧めします。

「弁護士費用特約を使えるか分からない」という場合には、弁護士が代わりに保険会社に確認することもできますので、お気軽にご相談ください。

保険代理店様からのご相談

当事務所では、交通事故被害者の方からだけではなく、保険代理店様からのご相談についても無料で対応しています。
これまでも全国の保険代理店様からご相談いただいた実績があります。
まずは、契約者様の代わりにご相談してみたいという保険代理店様も、LINE電話メールでお問い合わせください。

よくある質問

Q静岡県以外の地域に住んでいるのですが、静岡県以外の地域からの相談・依頼は可能ですか?
A

静岡県以外の方からのご相談・ご依頼もお受けしております。当事務所へのご相談・ご依頼のうち半分程度が静岡県外の方からのものです。

電話、メール、LINE、zoomなど、ご希望の方法でご相談いただけます。また、ご依頼後も同様の方法で打ち合わせができますので、仮に、裁判になったとしても、事務所にお越しいただく必要はありません。

これまで、北海道、青森、福島、福井、富山、石川、東京、埼玉、群馬、栃木、千葉、神奈川、山梨、静岡、愛知、長野、岐阜、滋賀、京都、大阪、三重、奈良、兵庫、広島、島根、香川、宮崎、福岡、沖縄にお住まいの方からご相談・ご依頼いただいた実績がありますので(令和6年7月現在)、その他地域にお住まいの方もお気軽にご相談・ご依頼ください。

Qケガはなく、物損(車の修理費用など)の過失割合だけが問題になっているのですが、相談・依頼することはできますか?
A

弁護士費用特約に加入されていれば、物損だけの事故についてもご相談・ご依頼いただくことは可能です。

※弁護士費用特約に加入されていない場合、お怪我のない方のご相談・ご依頼をお断りさせていただいておりますのでご了承ください。

Q小さな事故で、特に保険会社との間で揉めていないのですが、弁護士に相談しても良いですか?
A

もちろん、問題ありません。
 弁護士に依頼することで、小さなケガであっても示談金額が増額される可能性がありますし、保険会社との対応を全てお任せできるというメリットがありますのでお気軽にご相談ください。

Q弁護士費用で費用倒れ(赤字)になることはありませんか?
A

ご相談内容を詳しく伺ったうえで、もし、少しでも費用倒れの可能性がある場合には、必ずご依頼前にご説明させていただきます。万が一、増額した金額よりも弁護士費用が高額となる場合は、増額した金額が弁護士費用の上限となりますので、損をすることはありません。
 なお、弁護士費用特約をご利用の場合は、費用倒れになることはありません。

Qどの段階から費用が発生しますか?
A

相談では一切費用は発生しません。弁護士との間で委任契約書を作成して、正式にご依頼いただいて、弁護士が交渉等の活動を開始した段階から費用が発生致します。

Q日中は仕事で忙しいので、弁護士事務所に行ったり、電話をしたりすることが難しいのですが・・・
A

ご依頼後の弁護士との連絡手段をメールやLINEにすることが可能です。

Q裁判まではしたくないのですが、交渉で示談することは可能ですか?
A

裁判まで行うか、交渉で示談をして終わらせるかは、依頼者の方が決めることになりますので、交渉での解説を希望される場合には、裁判にはなりません。なお、当事務所では、8割ほどが交渉で解決しています。

Q解決までには、どれくらいの時間が掛かりますか?
A

事案にもよりますが、交渉の場合、交渉開始から1ヶ月程度で示談して終わるケースが多いです。ただし、後遺障害の申請をしたり、過失割合に争いがあって実況見分調書等を取り寄せる場合には、プラス2、3月程度かかります。
また、裁判の場合は、早くても半年程度は掛かります。当事務所が過去に扱った裁判では、平均すると1年~2年で終わるケースが多いです。

Q弁護士に相談したら必ず依頼しなければいけないのでしょうか?
A

もちろん、相談だけで依頼しなくても問題ありません。むしろ、複数の弁護士に会って相談したうえで、最も信頼できる弁護士に依頼することをお勧めします。

Q他の弁護士に依頼しているのですが、変更して依頼はできますか?
A

現在、依頼している弁護士との契約を解除していただいたうえで、ご依頼いただくことになります。また、弁護士費用特約を利用している場合には、ご自身の保険会社に担当弁護士を変更したい旨を伝えて了承を得てください。

本記事を執筆した弁護士

静岡城南法律事務所

德田匡輝(とくだまさてる)

静岡県弁護士会所属 登録番号:64322

静岡県交通事故相談所の顧問弁護士。日本交通法学会所属。弁護士としては珍しく、特に過失割合の問題に強い。駐車場事故、車線変更、交差点での事故など、保険会社が提示する過失割合に納得のいかない被害者からの依頼が多い。最近では、口コミを聞いた静岡県外からの相談・依頼も多い。

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