「病院の先生から、後遺障害は難しいと言われた」
「むちうちで後遺障害が認定されるポイントを知りたい」

 

この記事は、このような状況でお困りの方のために書きました。

 

こんにちは。弁護士の山形です。
この記事では、交通事故で「むちうち」になってしまった方に向けて、後遺障害14級が認定されるための3つのポイントについて解説しています。
これから後遺障害の申請を検討しているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

本記事を執筆した弁護士

静岡城南法律事務所

山形祐生(やまがたゆうき)

静岡県弁護士会所属 登録番号:44537

静岡県交通事故相談所の顧問弁護士(静岡県知事の委嘱による)。
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新の裁判例等の研究をしている。静岡県外からの相談・依頼も多く、一人で年間150件以上の交通事故案件を手掛けている。慰謝料、後遺障害、過失割合に関する交渉・裁判を得意とする。

目次

この記事の結論

Q1. むちうちで後遺障害が認定される等級にはどんなものがあるか?
A1. 12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」と14級9号「局部に神経症状を残すもの」の2つ。12級は障害の存在が他覚的に証明できる場合(MRIなどの画像所見で障害が確認できる場合など)に認められる傾向にあり、14級は障害の存在が医学的に説明可能な場合(被害者の訴える症状が事故内容・治療状況などから説明可能な場合)に認められる傾向にある。MRI等の画像で異常がなくても、14級が認定される可能性は十分にある。
Q2. 後遺障害14級が認定されるためのポイントは何か?
A2. 以下の3つが実務上の重要ポイント。 ①後遺障害診断書の内容:自覚症状(特に「常時ある痛み・疼痛・しびれ」)を漏れなく記載してもらうこと。「こわばり・違和感・張り・凝り・緊張」といった症状では認定されにくい。他覚症状・検査結果の記載も重要。 ②治療の経緯と症状の内容:通院が継続的になされていること(通院期間が極端に短い・通院頻度が1ヶ月1回程度では認定されにくい)。例えば、6ヶ月程度、整形外科のリハビリに週2、3の通院。症状が事故当初から一貫して常時生じていること。 ③事故状況と車両の損傷状況:車両損傷が大きい事故であれば、被害者への衝撃が大きかったことが推認され、認定されやすくなる。
Q3. どのような検査結果が14級認定に有利に働くのか?
A3. むちうち損傷で行われる主な検査には、①徒手筋力テスト(握力等の筋力測定)、②深部腱反射(腱をハンマーで打診し筋収縮を見る)、③病的反射(ホフマン反射・トレムナー反射等、健常者には出現しない反射)、④神経根症状誘発テスト(スパーリングテスト・ジャクソンテスト等)がある。このうち患者の意思と無関係に結果が出る検査(深部腱反射・病的反射など)の方が、患者の協力を前提とする検査よりも客観性が高く、等級認定上の価値が高いと考えられている。意思無関係の検査結果と患者が訴える症状が整合している場合、14級が認められやすい。
Q4. 実際の裁判例では、どのような事情が14級認定の決め手になっているのか?
A4. ①加害者車両の損傷内容から被害者に一定の衝撃があったと考えられること、②被害者が事故当時から長期間(例:8ヶ月間)にわたり一貫して症状を訴えていたこと、③医師が「症状が残存する可能性が高い」と診断していること、などが積極的に評価されている(大阪地判令和2年2月5日、東京地判平成28年5月20日)。これらの裁判例のポイントを踏まえると、事故の衝撃を裏付ける車両写真・修理費用明細の提出、通院当初から一貫して症状を医師に申告すること、後遺障害診断書に医師の予後見解を記載してもらうことが、実務上の対応として重要。

執筆:弁護士 山形祐生(静岡県弁護士会 登録番号44537/日本交通法学会所属/静岡県交通事故相談所 顧問弁護士)/最終更新:2026年4月19日

むちうちで後遺障害14級が認定されるための3つのポイント

むちうちが後遺障害として認められるケースとしては、12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」、14級9号の「局部に神経症状を残すもの」のいずれかが考えられます。

12級の「頑固な神経症状」は、障害の存在が他覚的に証明できる場合に認められる傾向にあります。例えば、MRIなどの画像所見として障害の存在が認められるような場合です。
一方、14級の「神経症状」は、障害の存在が医学的に説明可能な場合に認められる傾向にあります。例えば、被害者の方が訴える症状が、事故内容、治療状況などの事情から説明可能な場合をいいます。

したがって、MRIなどの画像上は異常がなかったとしても14級が認定されるか可能性が十分あるわけです。

むちうちで後遺障害等級14級が認定されるためのポイントは以下の3つです。

後遺障害14級が認定されるためのポイント

1 後遺障害診断書の内容
2 治療の経緯と症状の内容
3 事故状況と車両の損傷状況

以下、順番に解説していきます。

後遺障害診断書の内容

後遺障害診断書に自覚症状を記載してもらう

交通事故に遭い、治療を続け、症状固定となったら、病院の先生に後遺障害診断書を作成してもらうことになります。
(後遺障害診断書の書式は、こちらからダウンロードできますので、参考にしてみてください。)

症状固定や後遺障害申請の流れについては、以下の記事を参考にしてみてください。

後遺障害診断書には、被害者の方が病院の先生に訴える症状(自覚症状)を記載する欄がありますので、必ず、痛みがある部位については、漏れがないように先生に説明して、後遺障害診断書に記載してもらいましょう。

特に注意すべきポイントとしては、後遺障害として認定され得る神経症状というのは、常時ある「痛み、疼痛、しびれ」です。つまり、「こわばり、違和感、張り、凝り、緊張」といった症状では、後遺障害の認定はされづらいといえます。

他覚症状および検査結果

後遺障害診断書には、「他覚症状および検査結果」を記載する欄もあります。
むちうちの場合、病院の先生が後遺障害診断書を作成する際には、頚部の運動性について検査をすることになりますので、その結果を記載してもらいましょう。

検査方法の例としては、以下のようのものがあります。

むちうち損傷検査の例

①徒手筋力テスト
 例えば、握力などの筋力を測るテストです。神経障害部位によって、筋力低下が認められる部位が異なります。
②深部腱反射
 腱をハンマーで打診したときに生じる筋収縮を見るテストです。
③病的反射
 ホフマン反射(中指を上から下にはじく)、トレナムー反射(中指を下から上にはじく)などの健常者には出現しない反射を見るテストです。
④神経根症状誘発テスト
 スパーリングテスト(頭部を患側に傾斜・後屈して圧迫)、ジャクソンテスト(頭部を後屈して圧迫)などの疼痛、しびれ感の放散などを確認するテストです。

一般的に、患者の意思と無関係に結果の出る検査と患者の応答や協力を前提とする検査とでは、前者の方が客観性が高く、価値が高いと考えられています。例えば、よく行われるスパーリングテストでは、本当は痛みがないのに痛みがあると訴えることができてしまうからです。
そのため、患者が意図的に結果を変えられない検査の結果と患者が訴える症状の内容が整合している場合には、後遺障害14級が認められやすくなります。

後遺障害診断書の記載は、たくさん書いてあれば良いというものでもありませんが、できるだけ具体的な記載をしていただいて、ある程度は内容を充実させたいところです。

治療の経緯と症状の内容

むちうちで後遺障害等級14級が認定されるための2つめポイントは、「治療の経緯と症状の内容」です。

具体的には、治療の経緯、症状の一貫性・常時性という点が大事になりますので、順番に説明していきます。

治療の経緯

むちうちの症状が後遺障害として認定されるためには、治療が継続的になされていることが大切になります。

例えば、通院期間が1週間など極端に短かったり、通院頻度が1ヶ月に1回など少ない場合には、後遺障害の認定がされづらくなります。
通院のペースなどについては、主治医の先生と相談して決めることになりますが、症状固定まで継続的に通院することが大切です。

あくまで私の感覚ですが、もし14級を狙うのであれば、6ヶ月程度の通院と週2,3程度の整形外科でのリハビリの通院が目安になるのではないかと思います。
ただ、多くの場合、保険会社は、6ヶ月を待たずして、治療費の打ち切りを言ってきますので、その場合は健康保険に切り替えるなどして、自費でも通院をした方が後遺障害の認定という観点では良いかと思います(ただし、主治医の先生と十分相談をして治療方針、通院頻度等を決めてください。)。

また、例えば、治療内容として強い薬を使うようになったり、MRI撮影を行っているということは、痛みが無くならないことを推測させますので、後遺障害が認定される方向に働きます。

症状の一貫性・常時性

むちうちの症状が後遺障害として認定されるためには、症状が一貫していることと、常に生じていることも重視されるポイントとなります。

例えば、首(頚部)に痛みがあるといっても、その痛みが発生したのが事故から1ヶ月経った後から、となると、本当に事故が原因で生じた痛みか疑わしいと思われてしまいます。

また、「雨の日は首が痛い」というような場合も、常に痛みが生じているわけではないので、等級としては認定されづらくなります。

骨折をしている場合、骨折した部位の痛みが強く、捻挫等の痛みを伝えられないこともありますので、少しでも痛みがある場合には、必ず、最初から医師に伝えるようにしましょう。

事故状況と車の損傷状況

むちうちで後遺障害等級14級が認定されるための3つめのポイントは、事故状況と車両の損傷状況です。

ちょっと間接的なアプローチとなりますが、「本当に痛みが残っているんだ」ということを証明するために、痛みが残るほどの大きな事故だったんだということを主張していくわけです。

例えば、車が大破するような大きな事故であれば、被害者の方に大きな衝撃があったことが推認されますので、後遺障害が認定されやすくなります。
一方、ドアミラー同士がこすれた程度の軽い事故の場合は、そこまでの衝撃はないだろう、ということで、後遺障害は認定されづらくなります。

そのため、大きな事故であれば、事故直後の車の写真ですとか、車の修理費用の明細(通常、金額が大きいほど、大きな事故だったと考えられる傾向にあります。)などの資料を後遺障害の申請の際に添付して提出することが考えられます。

後遺障害14級が認められた裁判例のポイント

最後に、むちうちで後遺障害14級が認められた裁判例を紹介し、14級が認定されたポイントについて解説します。

大阪地判令和2年2月5日

「本件事故により、被告車には、後部バンパー及び後部ドアパネルの押込みが生じ、後部パネル及び左クオーターパネルまで波及があり、後部左側のライトカバーの割れ損も生じたのであり、原告車を運転していた原告X1にも一定の衝撃があったと考えられること・・・原告X1は、本件事故の際、少なくともその身体に一定程度の衝撃を受けたと考えられること、本件事故後、約8か月間にわたり、医療機関における治療を受けたにもかかわらず、平成28年5月11日及び同月16日時点で、頸部痛、右肩から右上肢にかけての痛み・しびれ等の症状を訴えており、医師も、上記疼痛につき、その症状が残存する可能性が高いと診断していること」などの事情から14級9号に該当する後遺障害が残存したと判断しました。

【ポイント】
加害者車両の損傷内容から被害者の方に一定の衝撃があったと考えられること、被害者の方が訴える症状が事故当時から8ヶ月間、一貫していたことが評価され、また、医師の「症状が残存する可能性が高い」という診断が評価されています。
事故の衝撃が大きく、車両の変形が激しい場合には、その写真や修理費用の明細などを証拠として提出することが大切です。

東京地判平成28年5月20日

「原告(被害者)は本件事故後一貫して後頸部痛を訴えていたことが認められる。原告を診察していた医師は、後遺障害診断書作成時において、後頸部痛は今後も続くと考えられると診断しており、現に、現在も存続していることが認められる。」などとして、後遺障害14級9号に該当すると判断しました。

【ポイント】
被害者の方が事故当時から一貫して症状を訴えていたことが評価されています。
少しでも痛みがある場合には、必ず、最初から主治医に申告するようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?
今回は、むちうちで後遺障害14級が認定されるための3つのポイントについて解説しました。
画像所見が無い状況で後遺障害が認定されるためには、今回紹介したような、むちうちを裏付ける資料をできるだけ集めることが大切です。
これから後遺障害の申請や裁判をする方は、ぜひ参考にしてみてください。

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Qケガはなく、物損(車の修理費用など)の過失割合だけが問題になっているのですが、相談・依頼することはできますか?
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もちろん、相談だけで依頼しなくても問題ありません。むしろ、複数の弁護士に会って相談したうえで、最も信頼できる弁護士に依頼することをお勧めします。

本記事を執筆した弁護士

静岡城南法律事務所

山形祐生(やまがたゆうき)

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