
駐車場内で停止中に車をぶつけられた。
保険会社が主張する過失割合に納得がいかない。
過失割合が10:0になる場合を知りたい。
この記事は、このようなことでお困りの方のために書きました。
本記事では、駐車場内で車同士の事故における基本的過失割合について、解説しています。
また、各類型ごとに、10:0になる場合など、基本的過失割合とおりにならない場合についても解説しています。
保険会社が主張する基本的な過失割合に納得がいかないという方は、是非、参考にしてみてください。
本記事を執筆した弁護士
目次
この記事の結論
- Q1. 駐車場事故で保険会社が主張する「基本的過失割合」は必ずその通りになるのか?
- A1. なるとは限らない。2026年3月30日発刊の別冊判例タイムズ39号(判タ改訂版)の基本的過失割合はあくまで目安であり、具体的状況によって10:0など全く異なる割合になることがよくある。事故類型自体が基準と違う場合はなおさら。
- Q2. 駐車場内の主な事故類型ごとの基本的過失割合は?
- A2. 判タ改訂版(別冊判例タイムズ39号)では駐車場内事故が8類型【Ⅷ-1〜Ⅷ-8】に整理された。①交差部分での出合い頭【Ⅷ-1】=50:50(左方優先・直左右折の別なし)、②通路進行車 vs 駐車区画退出車【Ⅷ-2】=30:70、③駐車区画退出車同士【Ⅷ-3・新設】=50:50、④通路進行車 vs 駐車区画進入車【Ⅷ-4】=80:20(通路進行車が重い)、⑤駐車区画進入車同士【Ⅷ-5・新設】=50:50、⑥駐車区画進入車 vs 駐車区画退出車【Ⅷ-6・新設】=20:80。
- Q3. 基本的過失割合通りにならない代表的なケースは?
- A3. 一方が衝突前に停止していた場合、停止したタイミング(停止時間が長いほど有利)や停止した位置(距離があればあるほど有利)によって0%になり得る。例えば、駐車区画から突然後退してきたBと通路通過中のAの事故で、Aに過失なしと判断された裁判例がある(名古屋高裁 平成26年8月28日判決)。また判タ改訂版自体も、【Ⅷ-4】や【Ⅷ-6】の前提条件(進入動作が客観的に予見し得る状態に至っていたこと等)を満たさない場合は基本基準によらず個別判断すべきとしている。
- Q4. ドラレコがない場合、どう立証するか?
- A4. ①車両の傷痕解析で事故状況を証明、②店舗防犯カメラを保全、③ドラレコSDカードの復元依頼、④実況見分調書の取り寄せ。当事務所は解析業者と提携しており、傷痕解析・事故状況図作成で基本的過失割合を覆した解決事例が多数ある。費用は弁護士費用特約でカバーされることが多い。
保険会社が主張する基本的過失割合と判例タイムズ(2026年改訂版対応)
駐車場内での事故の場合、過失割合についてよく問題となります。
保険会社から「今回の事故の場合、過去の裁判では○対○で決まっている」などと言われたことはないでしょうか。
保険会社がいう「過去の裁判では」というのは、通常、判例タイムズという本を参考にしていることが多いです。
判例タイムズというのは、過去の裁判例等を事故類型ごとに整理して、基本的な過失割合を定めたものです。
2026年3月30日には、判例タイムズの改訂版である「別冊判例タイムズ39号」が発刊され、駐車場内の事故類型は従来の5類型から8類型【Ⅷ-1〜Ⅷ-8】へと大幅に拡充されました。従来、明文の基準がなく実務上の運用で処理されていた「駐車区画から出る車同士」「駐車区画に入る車同士」「入る車 vs 出る車」の3類型が正式に基準化されたのが最大の変更点です。
「別冊判例タイムズ39号」で新たに類型化された事故状況の解説や停止中の事故の過失割合を認定するときの重要な考慮要素については、以下の記事でも詳細に解説していますので、参考にしてみてください。
交渉や裁判では、判例タイムズに記載された基本的な過失割合をベースに話し合いが行われることが多いです。
しかし、これはあくまで基準、つまり目安にすぎません。
そのため、具体的ケースによって、異なる割合になることがありますし、もっと言えば、似てはいるけれど、そもそも事故類型自体が基準のものと違うということで、全く異なる割合になることもよくあります。
そこで、以下では、まずは、駐車場内での車同士の事故について、基本的過失割合を解説したうえで、それと異なる割合になった裁判例の解説記事や解決事例を紹介していますので、参考にしてみてください。
駐車場内の事故パターンごとの基本的過失割合と例外
通路を進行する車VS駐車区画に入る車【Ⅷ-4】
基本的過失割合と修正要素
通路を進行する車Aと駐車区画に駐車しようとしている車Bとの衝突事故の場合、判タ改訂版【Ⅷ-4】により、基本的過失割合は、Aが80%、Bが20%となります。
駐車場は、駐車のための施設であり、自動車が通路から駐車区画に駐車しようとすることは、駐車場として当然想定されるものであるため、通路の通行よりも優先され、このような過失割合となります。
修正要素として、例えば、Aが徐行していなかった場合にはA:B=90%:10%となります。
また、Bが著しい過失(急発進等)をした場合にはA:B=70%:30%となり、Bに重過失があればA:B=60%:40%となります。
なお、判タ改訂版【Ⅷ-4】は、この基準が適用される前提として、「駐車区画進入車Bの駐車区画への進入動作が、非常点滅表示灯(ハザードランプ)、方向指示器又は後退灯の点灯や車両の向き等により、当該駐車区画のある程度手前の位置で客観的に予見し得る状態に至っていたこと」を求めています。両車の距離が近接した地点で急に進入動作を開始した場合や、駐車区画から相当程度の距離を進行したところで後退による進入動作を急に開始した場合など、Aにおいて予見が困難であった場合には、基本基準(80:20)ではなく個別的な過失相殺率の検討が必要とされています。
0%:100%など基本的過失割合と異なる割合になるケース
似たような事故でも、通路を進行していたAが衝突前に停止していた場合には、基本的過失割合とおりにならない場合もあります。
例えば、停止したタイミング(長いほどAに有利)や停止した位置(Bとの距離があればAに有利)によっては、Aの過失が0%となることもあります。
また、Aの過失が0%にならないにしても、Aの方が有利な過失割合となることがあります。
保険会社は、Aが停止していたとしても、判例タイムズの基本的過失割合に沿った割合を主張してきますので注意が必要です。
当事務所の解決事例で、依頼者様が通路で停止中に駐車区画に入ろうとしていた車が衝突した事故で、裁判で0%:100%になったケースがありますので、参考にしてみてください。
また、AとBとの車間距離が短い場合(Aが詰めすぎの場合)であっても、以下の当事務所の解決事例のように、Aの過失割合の方が小さくなることがありますので参考にしてみてください。
通路を進行する車VS駐車区画から出る車【Ⅷ-2】
基本的過失割合
通路を進行する車Aと駐車区画から出ようとする車Bとの衝突事故の場合、判タ改訂版【Ⅷ-2】により、基本的過失割合は、Aが30%、Bが70%となります。
駐車区画から出ようとする車については、通行部分への進入する際の注意義務があり、進入しようとする通行部分の安全を確認して、通行部分を進行する車の進行を妨げるおそれがある場合は通行部分への進入を控える義務があります(道路交通法25条の2第1項に準ずる注意義務)。
そのため、通路を進行する車の方が優先され、有利な割合となっています。
修正要素として、例えば、Bに著しい過失があればA:B=20%:80%、Bに重過失があればA:B=10%:90%となります。
また、Aに著しい過失(順路違反や通常の進行速度を明らかに上回る速度での進行等)があればA:B=40%:60%、Aに重過失があればA:B=50%:50%となり得ます。
0%:100%など基本的過失割合と異なる割合になるケース
例えば、通路を進行していた車Aが急ブレーキをしても停止できない距離に近づいた段階で駐車区画から車Bが出てきた場合は、Aの過失が0%と判断される可能性があります。判タ改訂版【Ⅷ-2】の解説でも、こうした場合を「通路進行車の過失の有無自体が問題となるもの」として、基本基準によらず個別的に過失相殺率を検討すべきものとされています。
この類型の事故に関する裁判例として、以下のとおり、突然後退してきたBの100%過失を認定したものがあります。
名古屋高裁・平成26年8月28日判決(確定)
本件事故は、A車両がB車両の後方の通路を通過しかかっていたところ、B車両が本件駐車枠から突然後退して来たために発生したものと認められる。したがって、Aに過失はなく、Bは、本件駐車枠から北側通路へ後退により進入する際には、北側通路上の車両等の有無及びその動静を確認すべき注意義務があるのに、漫然と北側通路に後退して進入した過失が認められる。
また、駐車区画から出ようとするBが通路に進入するのに十分な車間距離を空けて、車Aが通路上で停止していたという場合もAの過失が0%と判断される可能性があります。このケースでは、十分な車間距離があったか否かが重要となります。
当事務所の解決事例で、通路で停止していた車の過失が0%で示談した例があります。
駐車区画に入る車VS駐車区画から出る車【Ⅷ-6・新設類型】
基本的過失割合
駐車区画に入ろうとする車Aと駐車区画から出ようとしていた車Bとの衝突事故については、従来、判例タイムズに類型として挙げられておらず、実務上A:B=30%:70%と運用されてきましたが、2026年3月30日発刊の判タ改訂版(別冊判例タイムズ39号)で【Ⅷ-6】として正式に類型化され、基本的過失割合はA:B=20%:80%となりました。出る車(B)の過失が従来の実務運用よりもさらに重くなった点が重要です。
判タ改訂版【Ⅷ-6】は、駐車区画退出車Bが相対的に重い過失を負う理由として、「通路進行車が駐車区画に進入することは駐車場の設置目的に沿った行動であり、駐車区画退出車としても、通路に進入する前の段階では駐車区画内で停止しているのであるから、駐車区画進入車よりも容易に安全を確認し、衝突を回避することができる」と説明しています。
修正要素として、Bに著しい過失(順路違反、退出動作の速度や急激さが著しい場合等)があればA:B=10%:90%、Bに重過失があればA:B=0%:100%となります。
また、Aに著しい過失(切り返し・方向転換の際に衝突まで退出車Bの存在を認識していなかった、急発進した等)があればA:B=30%:70%、Aに重過失があればA:B=40%:60%となります。
なお、判タ改訂版【Ⅷ-6】も【Ⅷ-4】と同様に、駐車区画進入車Aの進入動作が退出車Bから見て客観的に予見し得る状態に至っていたことを前提としています。両車の距離が近接した地点で急に進入動作を開始した場合や、駐車区画から相当程度の距離を進行したところで後退による進入動作を急に開始したため、Bにおいてどの駐車区画に進入しようとしているのか予見することが困難であった場合には、基本基準(20:80)によらず個別的に過失相殺率を検討すべきとされています。
0%:100%など基本的過失割合と異なる過失割合になるケース
どちらか一方が相手方の車に気がついて衝突前に停止した場合には、基本的過失割合とおりにならない場合もあります。
例えば、停止したタイミング(停止時間が長いほど有利)や停止した位置(距離があればあるほど停止した側に有利)によっては、過失が0%となることもあります。
また、完全に過失が0%にならないにしても、有利な過失割合となることはあり得ます。
保険会社は、停止していようがいまいが、20%:80%や30%:70%、50%:50%といった過失割合を主張してくることがありますので注意が必要です。
以下の記事で紹介している裁判例(東京地裁・平成27年1月20日判決)では、「Y車は、XがY車の前進に気付いてX車を停止させたにもかかわらず、前進を続けて停止したX車に接触したのであるから、本件事故の発生についてXに過失があったとは認められない。」として、駐車区画に駐車中に途中で停止した側の過失について0%と判断していますので参考にしてみてください。
駐車区画に進入中に相手方が駐車区画からバックを開始したという事故について、当事務所の解決事例で交渉により0:100となったケースもありますので参考にしてみてください。
駐車区画から出ようとする車同士【Ⅷ-3・新設類型】
基本的過失割合
駐車区画から出ようとする車同士の事故については、従来、判例タイムズに類型として挙げられておらず、実務上50%:50%が基本とされてきましたが、2026年3月30日発刊の判タ改訂版で【Ⅷ-3】として正式に類型化され、基本的過失割合はA:B=50%:50%となりました。各車両の前進・後退は問いません。通路を挟んで反対側同士の駐車区画から同時に退出しようとして衝突したケースなどが典型です。
判タ改訂版【Ⅷ-3】は、双方の駐車区画退出車は、法25条の2第1項に準ずる注意義務(通路に進入する際に通路の安全を確認し、進入しようとする通路の安全を確認し、他の駐車区画退出車との衝突を回避できるような速度と方法で通行する注意義務)を負うと解され、双方の注意義務は同等のものと解されるから、基本の過失相殺率を50%としたとしています。
修正要素として、Aに著しい過失があればA:B=60%:40%、Aに重過失があればA:B=70%:30%となります(Bも同様)。「著しい過失」の具体例として、判タ改訂版では、著しい前方・後方不注視のほか、一方が標識や路面標示等で指示される順路(通行方向)に反して通路に進入したことが衝突の危険を高めたといえる場合や、一方が駐車区画から通路に進入する際に一定速度以上の速度で退出動作を行った場合が挙げられています。
0%:100%など基本的過失割合と異なる過失割合になるケース
どちらか一方が相手方の車に気がついて衝突前に停止した場合には、基本的過失割合とおりにならない場合もあります。
例えば、停止したタイミング(停止時間が長いほど有利)や停止した位置(距離があればあるほど停止した側に有利)によっては、過失が0%となることもあります。
また、完全に過失が0%にならないにしても、有利な過失割合となることはあり得ます。
判タ改訂版【Ⅷ-3】も、各車両の過失の有無自体が問題となる態様の事故などについては、本基準によらず、具体的な事実関係に即して個別的に過失相殺率を検討すべきであるとしています。また、双方の退出動作の開始に有意な時間差がある場合も、本基準によらず個別的に過失相殺率を検討すべきとされています。
例えば、以下の記事の中で紹介している裁判例(東京地裁・平成23年7月11日判決)では、裁判所は、被告車が後退を開始する前に、原告車(赤い車)が後退を始め、切り返しのため、約10秒、原告車を停止させていたところ、被告車が原告車に衝突したと認定し、原告側の過失を否定していますので、参考にしてみてください。
駐車区画に入ろうとする車同士【Ⅷ-5・新設類型】
基本的過失割合
駐車区画に入ろうとする車同士の事故についても、従来、判例タイムズに類型として挙げられておらず、実務上50%:50%が基本とされてきましたが、2026年3月30日発刊の判タ改訂版で【Ⅷ-5】として正式に類型化され、基本的過失割合はA:B=50%:50%となりました。
典型的には、通路を挟んで向かい合う駐車区画に、双方の車両がほぼ同時に進入しようとして衝突するケースです。判タ改訂版【Ⅷ-5】は、双方の駐車区画進入車が、通路における他の四輪車の進行を妨げないような速度と方法で進行する注意義務を負うと解し、双方が駐車区画への進入を試みる場合には、求められる注意の程度は等しいものとして基本の過失相殺率を定めています。
修正要素として、Aに著しい過失(衝突までもう一方の駐車区画進入車の存在自体を認識していなかった、急発進した、一定速度以上で進入動作を行った等)があればA:B=60%:40%、Aに重過失があればA:B=70%:30%となります(Bも同様)。
なお、判タ改訂版【Ⅷ-5】も、「本基準は特定の駐車区画への進入動作が客観的に予見することができる状況であったことを前提としているため、急激な進路変更等については、そもそも本基準の適用の前提となる注意義務違反の有無について個別的な検討を要する場合も想定される」と明記しています。進入動作の開始に有意な時間差がある場合や、一方の車両が既に駐車区画への進入を開始しているのに他方の車両が同一ないし隣接した駐車区画に進入しようとして衝突したような事案では、個別判断になり得ます。
0%:100%など基本的過失割合と異なる過失割合になるケース
どちらか一方が相手方の車に気がついて衝突前に停止した場合には、基本的な考え方とおりにならない場合もあります。
例えば、停止したタイミング(停止時間が長いほど有利)や停止した位置(距離があればあるほど停止した側に有利)によっては、過失が0%となることもあります。
また、過失が0%にならないにしても、有利な過失割合となることはあり得ます。
佐世保簡裁・平成22年3月23日判決は、駐車場の空いている駐車区画に進入したA車が駐車した直後に、方向転換のため同じ駐車区画に向かって後退してきたB車が衝突したという事故について以下のとおりA:Bの過失割合について0%:100%と判断しました。
常時不特定多数の車両が出入りしているような本件駐車場においては,・・・駐車場に後に入った車両の運転者が先に入った車両の動静に注意し,先行車両の進行を妨げてはならないという義務が発生するものではなく,一般的には,先行車両と後行車両との間に,直ちに優劣関係が存在するものではないというべきである。
これについてBは,まさにB車両が後退しようとしていた駐車区画又は進路上に,後から割り込んでくる形でA車両が進入してきたので,Aには,B車両が後退することは予測可能な状況にあったから,AにもB車両の進行を妨げた過失があると主張している。・・・A車両がウ点で停車している間は,B車両は,後退のための動作を開始しておらず,・・・停車したままの状態であったと認められる。
そうすると,本件駐車場が常時不特定の車両が出入りする駐車場であること,本件事故当時における本件駐車場の駐車区画のほとんどが空いた状況であったことからすると,Aには,・・・B車両を確認した際,B車両がどの駐車区画に駐車するのか,すなわち,Aが駐車しようとしていた駐車区画にB車両も競合して後退しようとしていたことを予見することは不可能であったというべきである。さらに,Aは,「私が駐車区画に車を止め,ギアをパーキングの位置に入れ,右サイドミラーを見ると,こちらに向かってくる車が見えたので,クラクションを3回ならしました。」と述べているとおり,B車両との衝突を回避するための措置をとったことが認められる。
・・・以上によれば,Aには,B車両の進行を妨げた過失があるとは認められず,本件事故の責任はBにあると認めるのが相当である。
交差部分での出合い頭【Ⅷ-1】
駐車場内の通路の交差部分でAとBが出合い頭に衝突した事故の場合、判タ改訂版【Ⅷ-1】により、基本的過失割合はA:B=50%:50%となります。
これは、直進、右折、左折関係ありません。また、いわゆる「左方優先」も関係ありません。
判タ改訂版【Ⅷ-1】は、駐車場内の通路では駐車区画への進入や駐車区画からの退出のため四輪車が転回や後退など様々な動きをすることが想定されるため、交差部分においては、交差する通路が法の適用される「道路」に当たらず、道交法36条等のような法令上の優先関係及び通行方法に関する義務がない場合であっても、交差部分に入ろうとし、また、交差部分を通行する四輪車は、等しく他の四輪車の通行を予見して安全を確認し、当該交差部分の状況に応じて、他車との衝突を回避することができるような速度と方法で通行する義務を負うと解しており、双方が同等の注意義務違反を負うとして基本的過失割合を50:50としています。
修正要素として、例えば、Aの通路が狭くBが明らかに広い通路を進行していた場合や、B側がT字路の突き当たり路を直進していた(Aが突き当たり路から進入した)場合には、A:B=60%:40%となり得ます。
また、Aが一時停止や通行方向標示等に違反している場合は、A:B=65%〜70%:35%〜30%となり得ます(一時停止・通行方向標示等違反と狭路・明らかに広い通路の修正要素の両方に該当する場合は、一時停止・通行方向標示等違反のみで20%の加算修正とし、一時停止・通行方向標示等違反と丁字路直進の修正要素の両方に該当する場合は、一時停止・通行方向標示等違反のみで15%の加算修正)。
Aに著しい過失(著しい前方不注視、交差部分手前での減速をしなかった場合等)があればA:B=60%:40%、重過失があればA:B=70%:30%となります。
従来の解説で「T字路の右左折vs直進=60:40」としていた類型は、判タ改訂版【Ⅷ-1】の中で「B丁字路直進」という修正要素(+10/-10)として整理されました。T字路の場合、突き当たり路から進入する車(A)は交差する直線道路を通行する車に注意するだけで足りるので、十字路の場合よりも注意がしやすく、直線道路を直進する車(B)としても突き当たり路から進入するAは徐行してくるであろうと期待するのが一般の運転慣行と考えられいてるため、Aの過失が加重される形で処理されます。
車と歩行者の事故(駐車区画内)【Ⅷ-7】
駐車場内の駐車区画(駐車スペース)で車と歩行者が衝突した場合、判タ改訂版【Ⅷ-7】により、基本的過失割合は車:歩行者=90%:10%となります。
修正要素として、隣接する駐車区画で車の乗降をしていた歩行者が事故にあった場合は、車:歩行者=100%:0%になる可能性があります。
また、歩行者が児童・高齢者の場合には車:歩行者=95%:5%、歩行者が幼児・身体障害者等の場合には車:歩行者=100%:0%になる可能性があります。
四輪車に著しい過失・重過失があった場合にはさらに車の過失が加重されます。
車と歩行者の事故(通路上)【Ⅷ-8】
駐車場内の通路で車と歩行者が衝突した場合、判タ改訂版【Ⅷ-8】により、基本的過失割合は車:歩行者=90%:10%となります。
修正要素として、例えば、歩行者の急な飛び出しがあった場合は車:歩行者=80%:20%となる可能性があります。
歩行者用通路標示上での事故の場合は、車:歩行者=110%:-10%(つまり車が全面的に責任を負う)となる可能性があります。
また、歩行者が児童・高齢者の場合には車:歩行者=95%:5%、歩行者が幼児・身体障害者等の場合には車:歩行者=100%:0%になる可能性があります。
四輪車に著しい過失(通常の進行速度を明らかに上回る速度での進行、右左折時や後退時などに進行方向の見通しが悪い場所で徐行しなかった場合等)があれば車:歩行者=100%:0%、重過失があれば車:歩行者=110%:-10%になり得ます。
有利な証拠を集める方法
当事務所へのご相談で断トツで多いのが駐車場内での交通事故の過失割合に関するものです。
他の法律事務所では、ケガなどの被害が小さくなる傾向にある駐車場内の事故について積極的に扱っていないため、被害者の方が色々と調べているうちに当事務所のサイトにたどり着くようです。
ご相談時の状況としては、以下のようなことが多いです。
- ドラレコがあり事故状況に争いはないが、保険会社が基本的過失割合を主張してくる。
- ドラレコが無く、事故状況に争いがある。
ドラレコがある場合は、上の記事でも紹介したように基本的過失割合とおりにならない場合もあるので、それらの裁判例等を挙げて、交渉することによって、有利な割合になるように目指します。
特に、判タ改訂版(別冊判例タイムズ39号)では、【Ⅷ-4】や【Ⅷ-6】において「駐車区画進入車の進入動作が客観的に予見し得る状態に至っていたこと」が基本基準適用の前提とされており、この前提を満たさない場合には個別判断になる余地があると明記されています。ドラレコ映像で相手車両の動きが急だったこと、ハザードや方向指示器の点灯がなかったこと等を立証することで、保険会社の提示する基本的過失割合を覆せる可能性が高まります。
問題はドラレコが残っていない場合です。ドラレコを設置していなかった、上書きしてしまった、事故の衝撃で衝突のときだけデータが残っていない、など事情は様々です。
ドラレコのデータが無い場合に今からでも出来る対策として、以下のようなことが挙げられます。
①事故現場や車の写真を撮影し、車の傷痕を解析して事故状況を証明する。
②店舗の防犯カメラがある場合は保全してもらう。
③ドラレコのSDカードを外して、復元を依頼する。
④ケガをして、実況見分を行っている場合には実況見分調書を取り寄せる。
①車の損傷部分について解析をすることで、ある程度、事故状況を証明できる場合があります。
解析については、専門の業者に依頼することをお勧めします。
弁護士費用特約に加入している場合、その費用は弁護士費用特約でカバーされることが多いです。
当事務所でも解析業者と提携しておりますので、多くの交渉や裁判で有利な事故状況の証明に成功しています。
解析方法について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
②店舗に防犯カメラがある場合は、とにかく早く、店舗にお願いして、防犯カメラ映像のデータを保存してもらいます。
映像データを提供してくれることはほとんどありませんが、弁護士に依頼した後に、弁護士が店舗と交渉したり、弁護士会照会という法的な手続をすることで防犯カメラ映像のデータを提供してもらえることがあります。
③可能性は低いですが、ドラレコを上書き保存してしまったという場合には、復元を業者に依頼することも考えます。
弁護士費用特約に加入している場合には、その費用が出ることもありますので、ダメ元で依頼しても良いかと思います。
④実況見分を行っている場合には、実況見分調書を取り寄せることも検討します。
実況見分調書には双方が主張する事故態様が記載されていますので、事故状況を検討する材料になるからです。
弁護士に交渉を依頼した場合は、実況見分調書の取り寄せまで行うことが多いです。
駐車場事故の過失割合について交渉を有利に進める方法
過失割合について、保険会社との交渉を有利に進めるポイントを解説します。
保険会社は、事故状況ごとに、上記のような判タ改訂版(別冊判例タイムズ39号)の基本的過失割合を主張してくることが多いです。
しかし、保険会社が主張する基本的過失割合は、車同士の事故の場合、双方車両が動いていたことを前提とするものです。
ですから、もし、あなたの車が衝突前に停止していた場合には、必ずしも基本的過失割合とおりになるとは限らないことを主張することが大切です。
そして、その主張をするときには、その根拠として、あなたが主張する事故状況と同じような事故状況に関する裁判例を挙げることが重要です。
そういった材料があれば、保険会社の担当者も上司の決済や契約者の納得を得やすいからです。
また、判タ改訂版では、【Ⅷ-4】【Ⅷ-5】【Ⅷ-6】において、基本基準の適用前提として「進入動作が客観的に予見し得る状態に至っていたこと」が明記されています。この前提を満たさない場合には基本基準によらず個別判断となるため、相手車両の動きの予見困難性を主張・立証することが有効な交渉戦略となります。
また、交渉を有利に進めるためには、保険会社との交渉を弁護士に依頼することも効果的です。
それは単に弁護士が交渉に慣れているから、というだけではなく、「裁判をされるかもしれない」というプレッシャーを与えることができるからです。
被害者自身やその保険会社の担当者が交渉している状況では、通常は、いきなり裁判となることは想定されません。
しかし、弁護士が間に入ってくれば話は別です。相手方保険会社や加害者としては、弁護士が入ってきた以上、交渉はまとまらなかった場合には、裁判になる可能性のことを考えなければなりません。
相手方保険会社や加害者本人としては、裁判まではしたくないと考えることが多いです。
駐車場内の事故の場合、被害金額も小さく、わざわざ裁判をするのは費用対効果的にメリットがないからです。
そのため、相手方保険会社や加害者が裁判を避けるために、譲歩してくることも考えられるわけです。
「別冊判例タイムズ39号」で新たに類型化された事故状況の解説や停止中の事故の過失割合を認定するときの重要な考慮要素については、以下の記事でも詳細に解説していますので、参考にしてみてください。
過失割合に関する相談
当事務所は交通事故の中でも特に過失割合の交渉や裁判を得意とします。
過失割合が争点となる案件に力を入れている法律事務所は全国的にも珍しいかと思います。
静岡県にある事務所ですが、お陰様で口コミが広がり、過失割合ついて、静岡県外の方からも多くのご相談・ご依頼をいただいております。
他の弁護士からは保険会社が提示する過失割合で諦めるように言われたというケースでも当事務所に交渉や裁判を御依頼いただいて有利な割合になったケースが多数あります。
当事務所では、専門解析業者(株式会社東海DC )と提携しているため、車の傷痕やドライブレコーダーの映像を解析し事故状況を検証して、過失割合について徹底的に争うことも可能です。
※解析業者への依頼は有料となりますが、弁護士費用特約がある場合には、基本的には弁護士費用特約によって費用が補償されます。
安心してご依頼いただける体制を整えておりますので、過失割合でお悩みの方はぜひ当事務所にご相談ください。
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LINE(24時間受付)から予約をお願い致します。
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保険会社等からの回収金額の11%+22万円(税込)
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よくある質問
Q静岡県以外の地域に住んでいるのですが、静岡県以外の地域からの相談・依頼は可能ですか?
静岡県以外の方からのご相談・ご依頼もお受けしております。当事務所へのご相談・ご依頼のうち半分程度が静岡県外の方からのものです。
電話、メール、LINE、zoomなど、ご希望の方法でご相談いただけます。また、ご依頼後も同様の方法で打ち合わせができますので、仮に、裁判になったとしても、事務所にお越しいただく必要はありません。
これまで、北海道、青森、福島、福井、富山、石川、東京、埼玉、群馬、栃木、千葉、神奈川、山梨、静岡、愛知、長野、岐阜、滋賀、京都、大阪、三重、奈良、兵庫、広島、島根、香川、宮崎、福岡、沖縄にお住まいの方からご相談・ご依頼いただいた実績がありますので(令和6年7月現在)、その他地域にお住まいの方もお気軽にご相談・ご依頼ください。
Qケガはなく、物損(車の修理費用など)の過失割合だけが問題になっているのですが、相談・依頼することはできますか?
物損だけの事故についてもご相談・ご依頼いただくことは可能です。
Q小さな事故で、特に保険会社との間で揉めていないのですが、弁護士に相談しても良いですか?
もちろん、問題ありません。
弁護士に依頼することで、小さなケガであっても示談金額が増額される可能性がありますし、保険会社との対応を全てお任せできるというメリットがありますのでお気軽にご相談ください。
Q弁護士費用で費用倒れ(赤字)になることはありませんか?
ご相談内容を詳しく伺ったうえで、もし、少しでも費用倒れの可能性がある場合には、必ずご依頼前にご説明させていただきます。万が一、増額した金額よりも弁護士費用が高額となる場合は、増額した金額が弁護士費用の上限となりますので、損をすることはありません。
なお、弁護士費用特約をご利用の場合は、費用倒れになることはありません。
Qどの段階から費用が発生しますか?
相談では一切費用は発生しません。弁護士との間で委任契約書を作成して、正式にご依頼いただいて、弁護士が交渉等の活動を開始した段階から費用が発生致します。
Q日中は仕事で忙しいので、弁護士事務所に行ったり、電話をしたりすることが難しいのですが・・・
ご依頼後の弁護士との連絡手段をメールやLINEにすることが可能です。
Q裁判まではしたくないのですが、交渉で示談することは可能ですか?
裁判まで行うか、交渉で示談をして終わらせるかは、依頼者の方が決めることになりますので、交渉での解説を希望される場合には、裁判にはなりません。なお、当事務所では、8割ほどが交渉で解決しています。
Q解決までには、どれくらいの時間が掛かりますか?
事案にもよりますが、交渉の場合、交渉開始から1ヶ月程度で示談して終わるケースが多いです。ただし、後遺障害の申請をしたり、過失割合に争いがあって実況見分調書等を取り寄せる場合には、プラス2、3月程度かかります。
また、裁判の場合は、早くても半年程度は掛かります。当事務所が過去に扱った裁判では、平均すると1年~2年で終わるケースが多いです。
Q弁護士に相談したら必ず依頼しなければいけないのでしょうか?
もちろん、相談だけで依頼しなくても問題ありません。むしろ、複数の弁護士に会って相談したうえで、最も信頼できる弁護士に依頼することをお勧めします。
Q他の弁護士に依頼しているのですが、変更して依頼はできますか?
現在、依頼している弁護士との契約を解除していただいたうえで、ご依頼いただくことになります。また、弁護士費用特約を利用している場合には、ご自身の保険会社に担当弁護士を変更したい旨を伝えて了承を得てください。
















