
事故直後は痛みがなかったので、物損事故扱いになってしまっているけど、痛みが出てきた・・・
警察や加害者から人身扱いしないように求められている・・・
この記事は、このような状況で困っている方のために書きました。
こんにちは!弁護士の山形です。
今回は、物損事故から人身事故への切替について解説しています。
警察には、物損事故として申告したけど、やっぱり人身事故への切替をしようか迷っている方は、是非、参考にしてみてください。
本記事を執筆した弁護士
目次
この記事の結論
- Q1. 事故直後は痛みがなく物損事故で届け出てしまったが、後日痛みが出てきた。人身事故に切り替えるべきか?
- A1. ケガをしている以上、人身事故への切替が基本。警察上の人身事故届出がないと、①慰謝料や自賠責請求などの「人身損害としての補償」を受けるための立証が難しくなる、②警察による実況見分調書が作成されず事故状況の証明手段が限られる、というデメリットがある。 なお、警察上「物損事故」扱いのままでも、診断書等で人身損害の発生を証明できれば、慰謝料や自賠責の請求自体は可能。人身事故届出は「証明がスムーズになる」という立証面のメリットのため、できればしておいた方がよいという位置付け。
- Q2. 人身事故に切り替える手順は?
- A2. ①病院を受診して医師に診断書を書いてもらう(事故から2〜3日、遅くても1週間以内が目安)、②診断書を持って警察に行き、人身事故への切替を届け出る(こちらも事故から1週間以内が目安)。事故から日が経てば経つほど、医師は事故との因果関係を判断しづらくなり、警察も切替受付を拒否する傾向が強くなる。切替をしたいのであればスピードが命。
- Q3. 警察が人身事故への切替を認めてくれなかった場合はどうすればよいか?
- A3. 「人身事故証明入手不能理由書」を保険会社(相手方任意保険会社、自分の任意保険会社、または自賠責保険会社)から取り寄せ、必要事項を記入して相手方保険会社や自賠責に提出する。警察上の人身事故届出がなくても、保険会社に対して人身損害を主張することは可能。ただし、加害者が人身事故であることを争ってくるような場合には、病院の診断書等で事故と症状の因果関係を丁寧に立証する必要が生じる。
- Q4. 人身事故として届け出たくないと加害者から頼まれている。応じるべきか?
- A4. 安易に応じるべきではない。加害者が人身事故扱いを嫌がるのは、人身事故になると加害者に刑事処分(過失運転致傷罪等)・行政処分(免許の点数加算)が及ぶ可能性があるから。しかし、これは加害者側の事情。被害者側が警察上の人身事故届出をしないと、実況見分調書も作成されないため、過失割合に争いが生じたときに不利になるリスクがある。ただし、相手方保険会社が過失割合や治療費の負担等を争っていないのであれば、応じるのもアリ。
物損事故と人身事故の違い
物損事故というのは、車や物が破損した事故のことです。
人身事故というのは、被害者の方がケガをしたり、亡くなってしまった事故のことをいいます。
ここで注意していただきたいのが、「警察上の事故処理上の区分(物損事故/人身事故)」と、「損害賠償実務上の区分(物損/人身損害)」は別の話だという点です。警察上は物損事故扱いであっても、ケガを負ったという事実があれば、損害賠償実務上は人身損害として扱われるケースもあります。
以下で説明する「人身事故届出の有無」は、あくまで警察上の事故処理の話です。
ケガをしたら人身事故届出が基本
あなたが事故に遭ってケガをしてしまったのであれば、人身事故として警察に届出をすることが基本となります。
警察上の人身事故届出をしないまま物損事故扱いで放置すると、以下のような実務上のデメリットが生じ得るからです。
デメリット1:慰謝料等の人身損害の立証が難しくなる
警察上の人身事故届出があれば、警察発行の交通事故証明書に「人身事故」と明記され、保険会社や自賠責にとって人身損害の発生の一次的な裏付けになります。
一方、物損事故扱いのままでも、診断書・通院記録・医師の意見等によって人身損害の発生を証明できれば、慰謝料や自賠責の請求自体は可能です。ただ、警察上の人身事故届出があるときに比べて、被害者側での立証の負担が重くなります。相手方保険会社や加害者が「本当にその事故でケガをしたのか」を争ってくるような場合には、特に厄介です。
デメリット2:実況見分調書が作成されない
警察上の物損事故の場合、詳細な実況見分は行われず、実況見分調書は作成されません。代わりに簡易な「物件事故報告書」が作成されるのみです。
実況見分調書は、事故当事者の双方立会いのもとで警察が作成する詳細な記録で、事故状況に争いが生じた場合の極めて重要な証拠となります。特に過失割合が争点となる事案では、実況見分調書があるかどうかで結果が大きく変わることもあります。
物損事故のままだと、この実況見分調書が作成されないため、後から過失割合で争いが生じたときに事故状況を立証する手段が限られてしまうリスクがあります。
人身事故届出が必須ではないケース
例えば、相手方保険会社がケガの発生を争っておらず、過失割合についても争いがなく実況見分調書が不要な場合には、上記のようなデメリットが現実化しないので、必ずしも人身事故として届出る必要はありません。
もっとも、「相手方が争ってこないか」は最終的には交渉が進むまで分からない場合もあり、後から争いが生じた際に警察上の人身事故届出をしておけば有利だったというケースもあります。迷ったら人身事故届出を選ぶのが無難です。
加害者が「人身事故にしないでほしい」と頼んでくる理由
事故現場や事故直後に、加害者から「人身事故にはしないでほしい」「示談で済ませたい」と頼まれるケースが少なくありません。この理由を理解しておくことは重要です。
加害者が人身事故扱いを避けたがる主な理由は、人身事故届出がなされると、加害者本人に以下の不利益が及ぶ可能性があるからです。
- 刑事処分:過失運転致傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条)などの刑事責任を問われる可能性がある
- 行政処分:免許の違反点数が加算される。累積で免許停止・取消処分につながる場合がある
これらは加害者側の事情であり、被害者が人身事故届出をしないことは、被害者自身が後の立証負担や実況見分調書の不存在といった不利益を背負うことを意味します。
ケガをしているのであれば、加害者の情に引きずられず、自分の立場を守るために人身事故扱いを選ぶことが基本です。
もっとも、保険会社が過失割合や治療費の支払い等を争っていないのであれば、応じることも検討します。特に、こちら側にも過失があり、かつ、相手方もケガをしているようなケースでは、相手方も人身事故を届け出る可能性があります。
人身事故への切替の流れ
物損事故から人身事故に切り替える場合の流れについて解説します。
ステップ1:診断書を用意する
まず、病院に行って、医師に診断書を書いてもらってください。
事故からできるだけ早い段階、2〜3日、遅くても1週間以内に行くようにしましょう。事故から日が経ってしまうと、医師も事故が原因の痛みかどうか判断できなくなってしまう恐れがあるからです。特にむち打ちなどは事故直後に症状が出ないことも多く、1週間を超えると事故との因果関係を争われるリスクが高まります。
診断書には、傷病名と治療見込み期間が記載されていることが必要です。
ステップ2:警察に届け出る
診断書が用意できたら、警察に提出して、人身事故に切り替えるように届け出ましょう。
届出先は、原則として事故の処理を担当した警察署(当初物損事故として届け出た警察署)です。事前に電話で「人身事故への切替をしたい」と連絡して、担当窓口・必要な持参物(運転免許証、診断書、印鑑等)を確認してから訪問するとスムーズです。
警察は、事故から日が経てば経つほど、切り替えの受付を拒否する傾向にあります。ですから、こちらもできるだけ早く、遅くても事故から1週間以内には、切り替えを届け出るようにしましょう。
切替が受理されると、後日改めて警察による実況見分が実施され、実況見分調書が作成されます。当事者双方の立会いが原則ですが、被害者の体調が悪い場合などは、日程調整に応じてもらえます。
警察が切替を認めない場合
事故から日が経ってしまうと、警察が切替に応じてくれない場合があります。日数が経過していることを理由とするほか、症状と事故との因果関係が医学的に判断困難だと判断された場合も該当します。
そのような場合は、「人身事故証明入手不能理由書」という書類を用意します。この書類は、相手方任意保険会社、自分の任意保険会社、または自賠責保険会社から取り寄せることができます。
必要事項を記入し、人身事故扱いとなっていない理由(警察が受付を拒否した、など)を記載したうえで、相手方保険会社や自賠責保険に提出します。これにより、警察上の人身事故届出がないケースでも、人身損害としての補償を受けられる道が開けます。
警察が人身事故への切替を認めないからといって、保険会社に対して人身損害を主張できないわけではありません。
ただし、加害者が人身事故であることを争ってくるような場合には、こちら側で病院の診断書等を用意して人身事故だと証明する必要が生じます。事故と症状の因果関係、治療経過、通院の継続などを丁寧に立証することで、補償を確保することが可能です。
迷ったら早めに相談を
物損事故と人身事故の切替は、時間との勝負になることが多い論点です。事故直後に痛みがなくても、数日後に症状が出てきた、相手方の対応が悪く実況見分調書を残しておきたい、といった事情がある場合、早めに対応することで被害者側の選択肢が広がります。
当事務所では、事故直後のご相談を無料で受け付けています。人身事故への切替をすべきかどうかで迷っている方、加害者から示談のプレッシャーを受けている方はお気軽にご相談ください。弁護士費用特約に加入されている場合は、補償上限額まで保険会社が弁護士費用を負担してくれますので、ほとんどのケースで実質無料で対応可能です。
無料相談の受付を再開しました(全国対応)
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弁護士費用
保険会社等からの回収金額の11%+22万円(税込)
相談料と着手金は無料です。
交渉等が解決した後の完全後払いになります。
※訴訟等の手続に移行する場合には追加費用が発生します。
弁護士費用特約を使える場合には、補償上限額まで保険会社が弁護士費用を代わりに支払ってくれますので、ほとんどのケースで実質無料で交渉や裁判等を弁護士に依頼できます。
弁護士費用特約を利用しても、保険料は変わりませんので、可能な場合には利用することをお勧めします。
「弁護士費用特約を使えるか分からない」という場合には、弁護士が代わりに保険会社に確認することもできますので、お気軽にご相談ください。
保険代理店様からのご相談
当事務所では、交通事故被害者の方からだけではなく、保険代理店様からのご相談についても無料で対応しています。
これまでも全国の保険代理店様からご相談いただいた実績があります。
まずは、契約者様の代わりにご相談してみたいという保険代理店様も、LINE、電話、メールでお問い合わせください。
また、現在、当事務所と提携していただける保険代理店様を募集しています(無料)。
詳細はこちらのページをご参照ください。
よくある質問
Q静岡県以外の地域に住んでいるのですが、静岡県以外の地域からの相談・依頼は可能ですか?
静岡県以外の方からのご相談・ご依頼もお受けしております。当事務所へのご相談・ご依頼のうち半分程度が静岡県外の方からのものです。
電話、メール、LINE、zoomなど、ご希望の方法でご相談いただけます。また、ご依頼後も同様の方法で打ち合わせができますので、仮に、裁判になったとしても、事務所にお越しいただく必要はありません。
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Qケガはなく、物損(車の修理費用など)の過失割合だけが問題になっているのですが、相談・依頼することはできますか?
物損だけの事故についてもご相談・ご依頼いただくことは可能です。
Q小さな事故で、特に保険会社との間で揉めていないのですが、弁護士に相談しても良いですか?
もちろん、問題ありません。
弁護士に依頼することで、小さなケガであっても示談金額が増額される可能性がありますし、保険会社との対応を全てお任せできるというメリットがありますのでお気軽にご相談ください。
Q他の弁護士に依頼しているのですが、変更して依頼はできますか?
現在、依頼している弁護士との契約を解除していただいたうえで、ご依頼いただくことになります。また、弁護士費用特約を利用している場合には、ご自身の保険会社に担当弁護士を変更したい旨を伝えて了承を得てください。
Q弁護士費用で費用倒れ(赤字)になることはありませんか?
Qどの段階から費用が発生しますか?
相談では一切費用は発生しません。弁護士との間で委任契約書を作成して、正式にご依頼いただいて、弁護士が交渉等の活動を開始した段階から費用が発生致します。
Q日中は仕事で忙しいので、弁護士事務所に行ったり、電話をしたりすることが難しいのですが・・・
ご依頼後の弁護士との連絡手段をメールやLINEにすることが可能です。
Q裁判まではしたくないのですが、交渉で示談することは可能ですか?
裁判まで行うか、交渉で示談をして終わらせるかは、依頼者の方が決めることになりますので、交渉での解説を希望される場合には、裁判にはなりません。なお、当事務所がこれまで扱ったケースでは、8割ほどが交渉で解決しています。
Q解決までには、どれくらいの時間が掛かりますか?
事案にもよりますが、交渉の場合、交渉開始から1ヶ月程度で示談して終わるケースが多いです。ただし、後遺障害の申請をしたり、過失割合に争いがあって実況見分調書等を取り寄せる場合には、プラス2、3月程度かかります。
また、裁判の場合は、早くても半年程度は掛かります。当事務所が過去に扱った裁判では、平均すると1年~2年で終わるケースが多いです。
Q弁護士に相談したら必ず依頼しなければいけないのでしょうか?
もちろん、相談だけで依頼しなくても問題ありません。むしろ、複数の弁護士に会って相談したうえで、最も信頼できる弁護士に依頼することをお勧めします。



