初めて交通事故にあった人のための『後遺障害のキホン』|静岡の弁護士が解説

「医師から後遺症が残ると言われた
「後遺障害の申請をしたいけど、どうしたらいいの?」

この記事は、そんな不安や疑問をお持ちの方のために書きました。

こんにちは。弁護士の山形です。
この記事では、初めて交通事故にあってしまった方のために、「後遺障害のキホン」について、わかりやすく説明しています。
「後遺障害の申請を検討している」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

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静岡法律事務所
弁護士 山形祐生(やまがたゆうき)/静岡県弁護士会所属
事務所所在:静岡市葵区馬場町43番地の1

連絡先:054-254-3205
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新判例等を研究している。
静岡県内の事故を中心に多くの依頼を受け、特に、後遺障害、死亡事故、主婦(主夫)の休業損害に関する依頼が多い。
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「後遺障害」って何?

「後遺障害」というのは、ものすごく簡単に言うと、治療をしたけど、完全には治らず、痛みなどの重い症状が残ってしまった状態のことをいいます。

もし、あなたの症状が「後遺障害」として認められると、保険会社から支払われる賠償金の額が大きく増えることになります。
そのため、もし、痛みが残ってしまったという場合は、保険会社との交渉の前に、後遺障害の申請を検討してみることをオススメします。

後遺障害が残った場合に請求できるもの

では、次に、後遺障害が認められた場合に、具体的に、どのようなものを請求できるようになるのか、という点について、説明します。

後遺障害慰謝料

まず、後遺障害が残ってしまったことによる精神的な苦痛に対する慰謝料を請求することができます。
これを「後遺障害慰謝料」といいます。
例えば、後遺障害としては一番程度の軽い14級でも、裁判では、110万円程度の慰謝料が認められるケースが一般的です。
ただし、加害者に故意や重過失、著しく不誠実な態度があるようねケースでは、慰謝料が増額される場合もあります。

逸失利益

後遺障害が残ってしまった場合、事故前と同じように働くことが難しく、収入が減ってしまう場合があります。
そのため、後遺障害が無ければ将来得られたであろう収入を保険会社に請求することができます。
これを「逸失利益」といいます。

後遺障害の内容によって、働けなくなってしまう程度も変わってきますが、その程度のことを「労働能力喪失率」といいます。
例えば、「後遺障害14級の場合は5%」など、一応の目安があります。
これは、事故前の労働能力を100%とした場合、後遺障害(14級)の影響で5%の労働能力が失われてしまった、と考えます。
ただ、これはあくまで目安に過ぎませんので、裁判などでは、被害者の職業、年齢、後遺障害の部位、程度などの様々な事情を考慮して、判断されることになります。

そして、逸失利益の金額は、
「収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」
という計算式で求められます。
ライプニッツ係数というのは、簡単にいうと、将来、発生するはずだった損害(収入の減少)を、先取りして請求できるという利益を調整するための係数です。

以下では、より具体的な計算方法について、説明しています。
ただ、ちょっと複雑なので、今はざっくりした内容だけ知りたいという方は、読み飛ばしていただいてOKです。

逸失利益の詳しい計算方法

逸失利益は、以下の計算式で計算されます。

「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

基礎収入:原則として、事故前の現実の収入のことをいいますが、将来的に現実の収入以上の収入を得られることを証明できれば、その金額を基礎収入とすることができます。

労働能力喪失率
:後遺障害の程度に応じて、一応の目安として14級の5%~3級以上の100%までがあります。

労働能力喪失期間:原則として67歳まで働けるという前提で計算します。ただし、67歳を超えて働いている方については、平均余命の2分の1を労働能力喪失期間とします。
※むち打ち症の場合、12級で10年程度、14級で5年程度に制限される例があります。

ライプニッツ係数:将来の減収分を一括で受け取ることによって発生する中間利息を差し引くための係数です。将来、発生する減収分を先取りすることによる影響を調整するわけです。

(具体例)
症状固定時の年齢が50歳で年収500万円の会社員が後遺障害により労働能力が35%低下した場合(後遺障害9級)

500万円×35%×13.1661(※)=2304万0675円

※50歳から67歳までの就労可能期間17年のライプニッツ係数
ライプニッツ係数は、令和2年4月に発生した事故を想定して年3%で計算

後遺障害の認定を受ける方法

次に、後遺障害の認定を受けるための方法について解説します。

医師に後遺障害診断書を作成してもらう

ある程度の期間、通院を続けると、治療をしても効果があまり出ない状態になります。
このような状態になったことを「症状固定」といいます。
症状固定になったら、整形外科の先生に後遺障害診断書を作成してもらいましょう。

「事前認定」と「被害者請求」のメリット・デメリット

後遺障害診断書を用意できたら、後遺障害等級の申請を行います。
申請の方法としては、「事前認定」と「被害者請求」という2つの方法があります。

「事前認定」は、加害者側の保険会社が被害者の代わりに行う申請方法です。
事前認定のメリットは、医師に書いてもらった後遺障害診断書を保険会社に渡せば、あとは、必要な書類集めから申請までを保険会社が行いますので、手間が掛からないという点にあります。
ただし、加害者側である保険会社があなたに有利な資料や意見を添えて申請することは期待できない、という点がデメリットとなります。

「被害者請求」は、被害者本人や弁護士に依頼して行うことができます。
被害者請求のメリットは、分で申請するわけですから、手続の透明性が高く、申請の際に、こちらに有利な資料を一緒に提出できるという点があります。
デメリットとしては、申請の必要書類が多いので、準備が大変という点があります。
被害者請求を行う際には、例えば、以下のような書類が必要となります。
※事案によっては、必要書類は異なります。

①支払請求書
自賠責保険会社から取り寄せて必要事項を記入します。
②交通事故証明書
保険会社や自動車安全運転センターなどから取り寄せます。
③事故発生状況報告書
自賠責保険会社から書式を取り寄せて、自分で作成します。
④診断書
病院で発行してもらいます。
⑤診療報酬明細書(レセプト)
病院で発行してもらいます。
⑥休業損害証明書
休業損害が発生した場合に、勤務先に作成してもらいます。
⑦印鑑証明
印鑑登録をした各市区町村の役所で取得します。
⑧後遺障害診断書
病院の先生に作成してもらいます。

「事前認定」と「被害者請求」どっちでやるべき?

先ほど説明しましたとおり、被害者請求を自分で行うのは、結構大変なので、弁護士に依頼することをオススメします。

しかし、弁護士に依頼できない事情があり、かつ、自分で準備をすることが苦にならないという方は被害者請求にチャレンジしてみても良いでしょう。

もし、書類集め等が苦手という方は、事前認定でも良いでしょう。
事前認定だからといって必ず不利な結果になるというわけでもないですし、もし、認定結果に納得できない場合には、この後、説明する「異議申立」という手続をすることもできるからです。

認定結果に納得がいかない場合

後遺障害の等級認定を申請しても、必ずしも、納得のいく結果になるとは限りません。
特に、むち打ちなどの場合、痛みがあるのに、後遺障害と認められなかった、というケースはよくあります。
そこで、以下では、認定結果に納得がいかない場合に行うことができる手段について説明します。

異議申立で争う

後遺障害の申請をしたけど、納得のいく結果がでなかったという場合には、再度、申請をすることが可能です。
これを「異議申立」といいます。
異議申立は何度でもできます。
ただし、事前認定や被害者請求の結果を覆すためには、異議の理由を具体的かつ詳細に主張したり、その主張を裏付ける新たな資料(診断書、意見書、画像資料など)を用意する必要があります。
例えば、最初の認定結果とその理由が記載された書面を主治医の先生に見ていただいて、先生の意見を踏まえた新たな主張を加えるという方法が考えられます

裁判で争う

後遺障害の等級について、裁判で争うことも可能です。
事前認定や被害者請求の認定結果は、裁判でも重視される傾向にありますが、それと異なる結果になることもあります。

例えば、私が過去に扱ったケースでは、事前認定で非該当(後遺障害に該当しない)→異議申立をして14級→裁判で11級相当を前提に和解をしたというケースもあります。
このケースのように、異議申立をした後に裁判を行うことも可能ですし、異議申立を飛ばして、いきなり裁判を行うことも可能です。

ちなみに、交渉段階では、保険会社が事前認定や被害者請求の結果よりも有利な等級を前提に、交渉に応じるということは、まず、ありません。

自賠責と裁判所が重視するポイントの違い

事前認定や被害者請求を行った場合、自賠責は、等級の認定について、均一的な取扱をすることが重視します。
そのため、特に、診断書や画像等の客観的な資料を重視した判断する傾向にあります。

一方、裁判の場合、裁判所は、等級の認定だけではなく、具体的な事案の解決を図ることを重視します。
そのため、診断書などの資料だけではなく、被害者の方の訴える内容など他の様々な証拠や事情を考慮して判断する傾向にあります。

まとめ

いかがでしたか?
今回は、後遺障害のキホンについて解説しました。

後遺障害の問題は、特に、専門的な知識が必要となりますので、弁護士に相談してみることをオススメします。これから後遺障害の申請を検討しているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

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