交通事故に遭って顔に大きな傷痕が残ってしまった。
保険会社から外貌醜状について逸失利益は認められないと言われてしまった。

 

この記事は、このような状況でお困りの方のために書きました。

 

こんにちは!静岡の弁護士の山形です。
今回は、事故で大きな傷痕が残ってしまった場合、つまり「外貌醜状」という後遺障害について解説します。
外貌醜状について労働能力の喪失が認められるためのポイントについても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

本記事を執筆した弁護士

静岡城南法律事務所

山形祐生(やまがたゆうき)

静岡県弁護士会所属 登録番号:44537

静岡県交通事故相談所の顧問弁護士(静岡県知事の委嘱による)。
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新の裁判例等の研究をしている。静岡県外からの相談・依頼も多く、一人で年間150件以上の交通事故案件を手掛けている。慰謝料、後遺障害、過失割合に関する交渉・裁判を得意とする。

目次

後遺障害等級認定

交通事故に遭って、外貌(頭部、顔面部、頸部など日常露出する部分のうち上下肢を除くもの。)や上下肢に醜状痕が残った場合、自賠責では、以下のとおり、その程度によって後遺障害等級が定められています。

外貌について

「外貌に著しい醜状を残すもの」・・・7級
「外貌に相当程度の醜状を残すもの」・・・9級
「外貌に醜状を残すもの」・・・12級

上下肢について

「上肢の露出面にてのひらの大きさの酷いあとを残すもの」・・・14級
「下肢の露出面にてのひらの大きさの酷いあとを残すもの」・・・14級
※「露出面」というのは、上肢はひじ関節以下の部位、下肢はひざ関節以下の部位といわれています。

外貌の「著しい醜状」「相当程度の醜状」「(単なる)醜状」については、労災補償手続の障害認定基準では、以下のように定義されています。

著しい醜状を残すもの

以下のいずれかに該当し、かつ、人目につく程度以上のもの
①以下のいずれかに該当する場合
・頭部にあっては、
 a)てのひら大(指の部分は含まない。以下同じ)以上の瘢痕
   又は
 b)頭蓋骨のてのひら大以上の欠損
・顔面部にあっては、
 a)鶏卵大面以上の瘢痕
   又は
 b)10円銅貨大以上の組織陥没
・頸部にあっては、てのひら大以上の瘢痕

相当程度の醜状

顔面部の長さ5センチメートル以上の線状痕かつ人目につく程度以上のもの

単なる醜状

以下のいずれかに該当し、かつ、人目につく程度以上のもの
・頭部にあっては
 a)鶏卵大面以上の瘢痕
   又は
 b)頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損
・顔面部にあっては、
 a)10円銅貨以上の瘢痕
   又は
 b)長さ3センチメートル以上の線状痕
・頸部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕

いずれの場合も「人目につく程度以上のもの」という条件があります。
これは、つまり、例えば、瘢痕や線状痕があっても、それが髪の毛で隠れている部分については、醜状として取り扱われないということです。

上記以外の部位(鼻や耳など)についても後遺障害にあたる醜状があります。
また、例えば、まぶたや耳、鼻の欠損障害については、これらの欠損障害として定められている等級と外貌の醜状による等級の比較で、どちらか上位の等級が認定されることになります。

醜状障害による労働能力喪失の有無

醜状障害があったとしても、それ自体では身体的な支障が生じるわけではないので、ただちに労働能力の喪失が認められるわけではありません。

そのため、一般的には、概ね、以下のような考え方で労働能力喪失の有無が判断される傾向にあります(「新しい交通賠償論の胎動-創立40周年記念講演を中心としてー」東京三弁護士会交通事故処理委員会)。

①醜状痕の存在のために配置を転換させられたり、職業選択の幅が狭められるなどの形で、労働能力に直接的な影響を及ぼすおそれのある場合には、一定割合の労働の力の喪失を肯定し、逸失利益を認める
②労働能力への直接的な影響は認め難いが、対人関係や対外的な活動に消極的になるなどの形で、間接的に影響を及ぼすおそれが認められる場合には、後遺障害慰謝料の加算事由として考慮する。

①について、過去の裁判例をみると、配置転換や転職、減収といった就業に対する不利益が現実に発生しているか、接客業・営業職など容姿が業務において重要な要素となる職業に就いているか、年齢や性別などの要素が考慮されています。

そのため、上記各事情について、被害者に有利となりえるものについて、具体的に主張・立証していくことが大切となります。
加えて、他者から醜状痕がどのように見えるか、という点についても裁判官にきちんと理解してもらうために、全体写真とアップの写真や様々な角度から撮影した写真なども用意すると良いでしょう。

醜状障害による慰謝料の増額

仮に、実際の減収や将来的な減収のおそれが無いなどの理由で労働能力の喪失が認められなかったとしても、外貌醜状が慰謝料の増額事由として考慮される場合があります。

ですから、減収等が無かったとしても、醜状痕によって仕事やプライベートなどで、どのような不都合があったのか(醜状痕を気にすることで対人関係や対外的な活動に消極的になってしまったことなど)という点について、主張・立証していくことが大切となります。

まとめ

いかがでしたか?
今回は、外貌醜状について解説しました。
外貌醜状は、ただちに労働能力喪失が認められないという点で、他の後遺障害と異なる特殊性があります。
そのため、もし、外貌醜状の後遺障害が残ってしまった場合には、弁護士に相談するなどして適切な損害を賠償してもらえるようすることをオススメします。

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事案にもよりますが、交渉の場合、交渉開始から1ヶ月程度で示談して終わるケースが多いです。ただし、後遺障害の申請をしたり、過失割合に争いがあって実況見分調書等を取り寄せる場合には、プラス2、3月程度かかります。
また、裁判の場合は、早くても半年程度は掛かります。当事務所が過去に扱った裁判では、平均すると1年~2年で終わるケースが多いです。

Q弁護士に相談したら必ず依頼しなければいけないのでしょうか?
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もちろん、相談だけで依頼しなくても問題ありません。むしろ、複数の弁護士に会って相談したうえで、最も信頼できる弁護士に依頼することをお勧めします。

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