幼い子どもが事故にあった場合も過失相殺されてしまうの?
夫の車に乗せてもらっていた場合、夫の運転に過失があると私の損害も減額されちゃうの?
この記事は、このような疑問をお持ちの方のために書きました。
こんにちは!弁護士の山形です。
今回は、被害者側の過失のポイントについて解説します。
被害者本人に落ち度がなくても、事情によっては、損害額が減額されてしまう場合がありますので、確認していきましょう。
目次
被害者側の過失って?
被害者本人に落ち度がない場合であっても、被害者の損害額を減額するのが相当、と判断される場合があります。
いわゆる「被害者側の過失」といわれるものです。
このような考え方があるため、被害者と身分上・生活関係上の一体性がある人の過失は、被害者側の過失として考慮されることになります。
そのため、被害者側の過失が考慮されると、被害者が加害者に損害を請求しても、損害額が減額されることになります。
それでは、どのような場合に、被害者側の過失が認められてしまうのか、具体例を見ていきましょう!
幼児の監督義務
裁判では、事理弁識能力を欠く幼児等のした行為について、監督義務者に過失があった場合には、監督義務者の過失をもって過失相殺される、と考えられています。
簡単にいうと、親が子どもの監督を十分にしていなかった場合には、子どもが事故にあったとしても、損害額が減額されてしまうということです。
そのため、例えば、2歳の子が、親が目を離した隙に道路に突然飛び出して、自動車に衝突してしまったというようなケースでは、親が子どもの監督を怠ったと判断され、子どもの損害額が減額されてしまう可能性があるということです。
一方、例えば、保育士さんなど、親から子どもの監護を委託されていた人について過失があったとしても、被害者側の過失とは判断されません(最高裁昭和42年6月27日判決)。
夫婦、内縁の配偶者
次に、妻が夫が運転する車に乗っていて事故に遭った場合、妻が加害者に損害賠償を請求しても、夫に過失があれば、過失相殺され、損害額が減額されると考えられています。
ただし、夫婦の婚姻関係が既に破綻に瀕しているなど、特段の事情がある場合には、被害者側の過失と認定されない可能性もあります。
過去の裁判例では、同じように内縁の夫婦についても被害者側の過失が認められます。
一方で、職場の同僚や恋人同士については、過去の裁判例では、被害者側の過失が否定されています。
共同暴走行為
ここまで紹介した例は、被害者と身分上・生活関係上の一体性が認められるようなケースでしたが、次に紹介するケースは、身分上・生活関係上の一体性が認められませんが、別の観点から被害者側の過失を肯定した判決です。
最高裁平成20年7月4日判決は、以下のような事案です。
Aさんが運転し、Bさんが同乗するバイクが、Aさんの暴走運転を阻止しようと停止していたパトカーが衝突し、Bさんが亡くなり、Bさんの相続人がパトカーの運行供用者に対して損害賠償請求をしたというものです。
このような事案で、最高裁は、Aさんの過失をBさんの過失として考慮することができると判断しました。
これは、Aさんの運転をAさんとBさんの共同暴走行為の一環とみられることを考慮したものといえます。
そのため、被害者本人と身分上・生活関係上の一体性がないというようなケースでも、被害者側の過失が肯定される場合がありますので、注意が必要です。
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いかがでしたか?
今回は、被害者側の過失のポイントについて解説しました。
紹介した事例のように、被害者本人に過失がなくても、損害額が減額されてしまうことがありますので、今後の参考にしてみてください。
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