自賠法3条と民法709条のどちらに基づいて損害賠償請求するべきか知りたい。

 

この記事は、このような方のための書きました。

 

こんにちは!静岡の弁護士の山形です。
今回は、「自賠法3条と民法709条の使い分け」について解説します。
はっきり言って、難しい話になっていますが、もし、今後、弁護士に依頼せず自分で訴訟提起をする予定という方は、ぜひ参考にしてみてください。

本記事を執筆した弁護士

静岡城南法律事務所

山形祐生(やまがたゆうき)

静岡県弁護士会所属 登録番号:44537

静岡県交通事故相談所の顧問弁護士(静岡県知事の委嘱による)。
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新の裁判例等の研究をしている。静岡県外からの相談・依頼も多く、一人で年間150件以上の交通事故案件を手掛けている。慰謝料、後遺障害、過失割合に関する交渉・裁判を得意とする。

目次

この記事の結論

Q1. 交通事故の損害賠償請求で「自賠法3条」と「民法709条」はどう違うのか?
A1. 請求相手と立証責任が違う。民法709条は加害者本人に対する請求で、被害者側が加害者の過失を立証する必要がある。自賠法3条は運行供用者(車の所有者など)に対する請求で、被害者側で過失を立証する必要がなく、加害者側が無過失を立証しない限り責任を負う(立証責任の転換)。
Q2. 自賠法3条は物損にも使えるのか?
A2. 使えない。自賠法3条は人損限定、物損のみの事故では民法709条しか使えない。人身損害については両方使えるので、被害者に有利な自賠法3条を選ぶのが通常。
Q3. 自賠法3条を使うメリットが大きいのはどんなケースか?
A3. ①加害者本人が無保険かつ無資力で運行供用者が別にいる場合(損害の回収先を増やせる)、②過失が0%か100%かで争われているケース(例:信号赤青の争い)。②では民法709条だと被害者が相手の赤信号進入を立証しなければならないが、自賠法3条なら逆に加害者側が青信号進入を立証する責任を負うため、被害者に有利。
Q4. 自賠法3条で加害者が免責されるのはどんな場合か?
A4. ①運転者が注意を怠らなかったこと、②被害者または第三者に故意・過失があったこと、③自動車に構造上の欠陥・機能障害がなかったこと、の3要件すべてを加害者側が立証した場合のみ。実務上、この三要件すべての立証は極めて困難なため、被害者に非常に有利な制度となっている。

執筆:弁護士 山形祐生(静岡県弁護士会 登録番号44537/日本交通法学会所属/静岡県交通事故相談所 顧問弁護士)/最終更新:2026年4月19日

自賠法3条に基づく損害賠償請求権

交通事故の被害者は、加害者(=運転者)に対して民法709条に基づく損害賠償請求をすることができます。

また、加害自動車の運行供用者(例えば自動車の所有者など)に対しては、自賠法3条に基づいて損害賠償請求することができます。

そのため、交通事故の被害者は、民法709条と自賠法3条の両方又はいずれか一方に基づいて損害賠償請求をすることになります。

民法709条と自賠法3条の違い

請求の相手方

民法709条の請求の相手方は、加害者本人です。
自賠法3条の請求の相手方は、運行供用者です。

物的損害請求の可否

民法709条では、物損についても請求することができます。
自賠法3条で請求できるのは人損に限られますので、物損について請求することはできません。
つまり、物損のみの事故の場合は、民法709条しか使えません。

相手方の過失の立証の必要性

民法709条の場合、相手方の過失について立証する必要がありますが、自賠法3条の場合は、被害者側で運行供用者の故意・過失を立証する必要はありません。
つまり、運行供用者側で自賠法3条但書が定める免責事由の全てを立証できない限り、賠償責任を負うということになります。

自賠法3条を使った方が良いケース

加害者本人が無保険かつ無資力で車両保有者が別にいる場合

例えば加害者本人が保険に加入しておらず、お金を持っていないようなケースでは、損害の回収先を増やすため自賠法3条も使った方が良いでしょう。

また、同じように、加害者本人が故意に事故を起こしたため故意免責となって保険が適用されないというケースでも自賠法3条に基づいて運行供用者への損害賠償請求を検討するべきです。

過失が0%か100%のいずれかで争いになる場合

先ほども説明しましたとおり、自賠法3条の場合は、被害者側で運行供用者の故意・過失を立証する必要はありません。

そのため、例えば、交差点の事故で被害者側の信号が赤か青か争いになっているケース、つまり、被害者の過失が100%か0%かで争いになっているような場合、民法709条では、被害者側が加害者が赤色で交差点に進入してきたことを証明しなければなりません。

しかし、自賠法3条であれば、逆に加害者側が自分に過失がなかったこと、つまり、青信号で交差点に進入したことを証明しなければなりませんから、被害者としては、自賠法3条に基づいて損害賠償請求した方が良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか?
今回は、自賠法3条と民法709条の使い分けについて解説しました。
ちょっと難しい話でしたが、自賠法3条をうまく使いこなすことで、加害者が無資力の場合でも車両保有者から賠償金を回収できるかもしれませんので、ぜひ参考にしてみてください。

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