
保険会社の提示する示談金額が少ない!
後遺障害で仕事に支障が出ているのに、賠償金が少ない。
この記事は、このような不満をお持ちの方のために書きました。
こんにちは。弁護士の山形です。この記事では、後遺障害12級・14級の場合でも労働能力喪失期間が長期で認められるケースについて解説しています。
後遺障害12級・14級が認められたという方は、保険会社と示談する前に、参考にしてみてください。
本記事を執筆した弁護士
目次
この記事の結論
- Q1. 後遺障害12級・14級で逸失利益を計算するときの「労働能力喪失期間」とは何か?
- A1. 後遺障害の影響で仕事に支障が生じる期間のことで、逸失利益の計算上、この期間が長く認められるほど逸失利益の金額が増える。逸失利益の計算式は「収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」。裁判所や弁護士・保険会社が参考にする「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)では、むち打ち症の場合、12級で10年程度、14級で5年程度に制限する例が多いとされている。
- Q2. むち打ち以外の12級・14級で、長期の労働能力喪失期間が認められる場合はあるのか?
- A2. ある。赤い本(2007年版)で裁判官による過去の裁判例の検討が行われており、以下の3類型で長期の労働能力喪失期間が認められやすい。 ①症状固定後、相当期間が経過しているのに改善の兆候がない場合(例:14級で症状固定から4年経過しても改善の兆候がない場合、5年経過後も症状残存が予想されるため5年制限は不当)。 ②脳挫傷等、脳に傷害を負ったことに伴う神経症状の場合(神経症状の改善が容易でないため、12級で就労可能年限=原則67歳まで認定する例も、14級で5年以上認定する例も多い。脊髄損傷に伴う神経症状、骨折部位の神経症状も同様)。 ③運動・機能障害が認められる場合(自賠責の後遺障害等級に形式的には該当しないが運動・機能障害がある場合、喪失期間を長く認定する例がある)。
- Q3. 具体的にどのような裁判例があるのか?
- A3. 左肩鎖関節脱臼の会社員(症状固定時48歳、後遺障害12級:左肩痛・左肩関節の可動域制限)について、18年間の労働能力喪失期間を認めた裁判例がある。これは就労可能年限(67歳)までを前提としたもので、運動・機能障害を伴う神経症状について長期の喪失期間が認められた代表例。当事務所でも、14級で利き手の強い痛みが残り業務に支障が生じていた50代の方について、労働能力喪失期間10年間を前提とする交渉を行い、逸失利益として約150万円(保険会社提示の約80万円から約70万円増額)を認めさせた解決事例がある。
- Q4. 労働能力喪失期間は年齢によって結論が変わるのか?
- A4. 変わる。一般的な傾向として、高齢者の方が就労可能年限まで認められる可能性が高く、若年者の方が就労可能年限まで認められる可能性は低くなる傾向がある。これは、若年者の場合、将来の症状改善や就労状況の変化の可能性を考慮する運用があるためと考えられる。ただし、この傾向はあくまで一般的なもので、年齢、職業、後遺障害の程度、業務への具体的支障、カルテ上の治癒見通しの記載内容などを総合考慮してケースバイケースで判断される。
後遺障害12級・14級の労働能力喪失期間
交通事故にあって後遺障害が残ってしまった場合、事故前と同じように働けず、収入が減ってしまうことがあります。このような場合、後遺障害が無ければ将来得られたであろう収入を加害者や保険会社に請求することができます。これを「逸失利益」といいます。
逸失利益の金額は、
収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
という計算式で求められます。詳しくは、以下の記事を参考にしてみてください。
初めて交通事故にあった人のための『後遺障害のキホン』|静岡の弁護士が解説
簡単にいうと、労働能力喪失期間、つまり、後遺障害の影響で仕事に支障が生じる期間が長く認められれば、逸失利益の金額が増えるわけです。
裁判所や弁護士・保険会社が参考にする「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)では、むち打ち症の場合の労働能力喪失期間について、「12級で10年程度、14級で5年程度に制限する例が多く見られるが、後遺障害の具体的症状に応じて適宜判断すべきである」と解説されています。
つまり、「12級で10年、14級で5年」はあくまで目安であり、具体的症状によっては長くも短くもなり得るわけです。
そして、むち打ち症以外の原因による神経症状で12級・14級に該当する場合については、長期の労働能力喪失期間を認める裁判例もあります。以下、どのような事情があれば長期の労働能力喪失期間が認められるのか、解説していきます。
後遺障害12級・14級でも長期の労働能力喪失期間が認められる3つの類型
むち打ち症以外の後遺障害12級・14級の場合の労働能力喪失期間については、赤い本(2007年版)の中で裁判官が過去の裁判例を詳しく検討しており、その検討結果を踏まえると以下の3類型に整理できます。
類型①:症状固定後相当期間が経過しているのに改善の兆候がない場合
症状固定から相当な期間が経過したのに、後遺障害の症状が改善する兆候がみられない場合には、労働能力喪失期間の制限はされにくいと考えられます。
例えば、14級の場合、後遺障害が残ったとしても5年も経てば症状が改善するだろう、という見込みのもと、労働能力喪失期間も5年で制限されることが多いです。
しかし、14級で症状固定から4年が経過しても改善の兆候が無いような場合には、5年経過後も症状が残ることが容易に予想されますから、労働能力喪失期間を5年で制限することは不当と考えられるわけです。
このような主張を裁判でしていく場合には、症状固定後の通院記録、カルテの記載内容、症状経過報告書などが重要な証拠となります。特にカルテに「症状は今後も残存する可能性が高い」という趣旨の医師の見解が記載されていると有利です。
類型②:脳挫傷等、脳に傷害を負ったことに伴う神経症状の場合
脳挫傷など、脳に傷害を負ったことに伴う神経症状の場合には、神経症状の改善が容易ではないと考えられますので、労働能力喪失期間の制限が慎重に判断されます。
裁判例でも、12級の場合には、就労可能年限(原則67歳)まで長期で認めている例も多くあり、14級の場合でも5年以上を認めている例が多くあります。
同じような考え方で、脊髄損傷に伴う神経症状、骨折部位に生じた神経症状についても、喪失期間を限定しない例があります。脳・脊髄・骨折部位の神経症状は、医学的に改善が見込みにくい性質のものと考えられているためです。
類型③:運動・機能障害が認められる場合
自賠責の後遺障害等級に(形式的には)該当しないために神経症状として判断されているものの、運動・機能障害が認められる場合には、喪失期間を長く認めるケースもあります。
例えば、左肩鎖関節脱臼の傷害を負った会社員(症状固定時48歳)について、後遺障害12級(左肩痛、左肩関節の可動域制限)について、18年間の労働能力喪失期間が認められました。これは就労可能年限の67歳までを前提としたもので、運動・機能障害を伴う神経症状について長期の喪失期間が認められた代表例です。
具体的な喪失期間の例と考慮要素
労働能力喪失期間を制限するのが相当でない場合、具体的な喪失期間は、年齢、職業、後遺障害の程度に応じてケースバイケースということになりますが、一般的には、高齢者の場合には就労可能年限まで認められる可能性が高く、逆に若年者であればあるほど就労可能年限まで認められる可能性は低くなる傾向があります。
裁判実務で労働能力喪失期間の長短を判断する際の主な考慮要素としては、以下のような事情があります。
- 症状固定から判決時までの期間と症状の推移
- 事故前後の収入の変化の有無
- 後遺障害の部位・性質(脳・脊髄・骨折部位など改善が困難な部位か)
- 運動・機能障害の有無と程度
- 事故前後の具体的な業務内容の変化
- 将来の昇給・昇進・転職に与える影響
- カルテ上の治癒見通しに関する医師の見解
- 被害者の年齢と就労可能年限までの残存期間
これらの要素を総合考慮して、個別の事案ごとに労働能力喪失期間が判断されることになります。
保険会社提示の喪失期間は交渉・裁判で争える
保険会社は、交渉段階では、赤い本の目安(12級で10年、14級で5年)を形式的に当てはめて逸失利益を計算して提示してくることが多いです。しかし、上記3類型に該当するような事情があれば、5年・10年の目安を超える労働能力喪失期間を主張して争う余地があります。
当事務所でも、14級で利き手の強い痛みが残り業務に支障が生じていた50代の方について、労働能力喪失期間10年間を前提とする交渉を行い、逸失利益として約150万円(保険会社当初提示の約80万円から約70万円増額)を認めさせた解決事例があります(解決事例はこちら)。
後遺障害12級・14級が認められた方で、保険会社から提示された逸失利益に納得がいかない方、むち打ち以外の神経症状で長期の労働能力喪失期間を主張したい方は、ぜひ一度ご相談ください。弁護士費用特約に加入されている場合は、補償上限額まで保険会社が弁護士費用を負担してくれますので、ほとんどのケースで実質無料で対応可能です。
むち打ち14級の労働能力喪失期間に関するより詳細な裁判例の分析については、以下の記事も参考にしてみてください。
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Q静岡県以外の地域に住んでいるのですが、静岡県以外の地域からの相談・依頼は可能ですか?
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Qケガはなく、物損(車の修理費用など)の過失割合だけが問題になっているのですが、相談・依頼することはできますか?
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Q小さな事故で、特に保険会社との間で揉めていないのですが、弁護士に相談しても良いですか?
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Q弁護士費用で費用倒れ(赤字)になることはありませんか?
Qどの段階から費用が発生しますか?
相談では一切費用は発生しません。弁護士との間で委任契約書を作成して、正式にご依頼いただいて、弁護士が交渉等の活動を開始した段階から費用が発生致します。
Q日中は仕事で忙しいので、弁護士事務所に行ったり、電話をしたりすることが難しいのですが・・・
ご依頼後の弁護士との連絡手段をメールやLINEにすることが可能です。
Q裁判まではしたくないのですが、交渉で示談することは可能ですか?
裁判まで行うか、交渉で示談をして終わらせるかは、依頼者の方が決めることになりますので、交渉での解説を希望される場合には、裁判にはなりません。なお、当事務所がこれまで扱ったケースでは、8割ほどが交渉で解決しています。
Q解決までには、どれくらいの時間が掛かりますか?
事案にもよりますが、交渉の場合、交渉開始から1ヶ月程度で示談して終わるケースが多いです。ただし、後遺障害の申請をしたり、過失割合に争いがあって実況見分調書等を取り寄せる場合には、プラス2、3月程度かかります。
また、裁判の場合は、早くても半年程度は掛かります。当事務所が過去に扱った裁判では、平均すると1年~2年で終わるケースが多いです。
Q弁護士に相談したら必ず依頼しなければいけないのでしょうか?
もちろん、相談だけで依頼しなくても問題ありません。むしろ、複数の弁護士に会って相談したうえで、最も信頼できる弁護士に依頼することをお勧めします。





