渋滞中の車両の間から相手方の車・二輪車が突然出てきて、避けることができなかった。
渋滞する交差点での事故で、被害者の過失が否定された裁判例を知りたい。

この記事は、このような方のために書きました.

こんにちは。静岡の弁護士の山形です。

今回は、渋滞する交差点での事故について、裁判例を見ながら過失割合について解説しています。是非参考にしてみてください。

弁護士 山形祐生(やまがたゆうき)
静岡県弁護士会所属
静岡法律事務所
静岡市葵区馬場町43番地の1
TEL:054-254-3205
静岡県交通事故相談所の顧問弁護士(静岡県知事の委嘱による)。
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新の裁判例等の研究をしている。静岡県外からの相談・依頼も多く、単独で年間に90件程度の交通事故案件を手掛けている(令和4年8月現在)。保険会社との交渉を得意とする。案件としては、過失割合、慰謝料、後遺障害、死亡事故に関するものが多い。
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渋滞車両の間隙を抜けようとした自動車と直進中の単車との事故

まず最初に、渋滞車両の間隙を抜けようとした自動車と直進中の単車との事故の基本的な過失割合について解説します。

いわゆるサンキュー事故といわれる類型の事故です。
渋滞中の車が道を譲ってくれて、譲られた車が慌てて交差点を進行しようとして起こってしまう事故です。

例えば、上記のような交差点での事故が発生した場合、基本的な過失割合は、単車が30%、四輪車が70%です。

渋滞中の交差点での四輪車同士の事故

それでは、裁判例について紹介します。
まずは、交差点での四輪車同士の事故で過失相殺が否定され、被害者の過失が無いと判断された裁判例です。

名古屋地裁・平成23年8月19日判決(交民集44巻4号1086頁)

原告車は、最高速度が時速40㌔㍍に制限されているのに、これに違反し、時速50㌔㍍余りで走行していた。また、反対車線が渋滞していることを認識していたために、進路右側の見通しは非常に悪かったが、進行している南北道路に交差する道路が存在すること自体は認識していた上、左側を注意してみれば交差する道路の存在を認識し得る状態にあったのであり、しかも、交差道路があれば、そこから急に飛び出してくる車両等が出てくる可能性があることは認識していた。上記のような道路状況からすれば、原告としては、反対車線の渋滞により右方の交差道路及びそこから本件交差点に進入してくる車両等の発見が難しいのであるから、交差道路から本件交差点に進入してくる車両との衝突を避けるため、交差道路を見落とさないために十分に前方注視して進行すべきであった。また、少なくとも最高速度である時速40㌔㍍以内の速度で走行するべきであった。しかし、上記認定のとおり、被告車は、別紙見取図②の位置からアクセルを踏んで急いで同③の位置まで進行して、本件事故を発生させたのであるから、被告車は、原告車が本件交差点の直近に迫った時点で、それを見落として突然原告車の前に現れたものということができる。そうであるとすれば、原告が、仮に、同②の位置に停車している被告車を認識したとしても、そのような状況で被告車が停止しているのであるから、当然、被告車は、原告車が通過するまで停止し続けてくれるものと考えて、そのまま進行して本件交差点を通過しようとするのが自然な状況であるといえる。そうすると、原告が左方を注視して交差点の発見をすることまではしなかった点は、本件事故の発生には何の影響も与えなかった(交差点を発見しても、原告は、被告車が停止し続けることを当然期待してそのまま進行したものと考えられる。)というべきである。したがって、本件事故の発生につき原告には、過失相殺をされるほどの過失まではなかったと認めるのが相当である。

事故の状況は以下の図のとおりです。図でいうと、原告が青い車、被告が赤い車です。

裁判所は、原告の制限速度を超える速度違反を認定しました。
一般的には、時速15km以上の速度違反があると「著しい過失」として過失割合が10%不利に修正されますが、今回の原告車の違反は時速10km程度のオーバーだったため、「著しい過失」とは判断されませんでした。

また、事故直前まで停止していた被告車がアクセルを踏んで突然原告車の前に現れたという事情が考慮されて、原告が「被告車は、原告車が通過するまで停止し続けてくれるものと考えて、そのまま進行して本件交差点を通過しようとするのが自然」として、原告の過失が否定されました。

渋滞中のT字路交差点での四輪車同士の事故

次にT字路交差点ので四輪車同士の事故に関する裁判例です。

横浜地裁・平成26年12月2日判決(自保ジャーナル第1941号)

原告は、本件事故現場を通勤等の際に日頃から自動車を運転して通過しており、交差道路から本件道路へ向けて進行してくる車両があることは熟知していたものであり(原告本人)、本件事故の際にも前記認定事実イ(ア)のとおり、本件交差点の原告走行車線の反対車線は、信号待ちの車両が、本件交差点を空けて停止し、被告車は見取図の②の位置に停止していたことが認められ、このような日頃の経験や本件道路の状況及び被告車の停止位置に照らせば、原告は、交差道路から車両が本件道路に進入してくることを予見することが容易であったといえるから、原告にも被告車の動静に注意して走行すべき注意義務を怠った過失を認めることが相当である。
・・・被告の過失の内容・程度等を前提に、本件道路の状況や本件事故態様等を踏まえて比較考量すると、原告に生じた損害から1割の過失相殺をするのが相当である。

事故の状況は以下の図のとおりです。図でいうと、原告が青い車、被告が赤い車です。

こちらの裁判例では、「原告は、本件事故現場を通勤等の際に日頃から自動車を運転して通過しており、交差道路から本件道路へ向けて進行してくる車両があることは熟知していた」という事情が考慮され、「原告は、交差道路から車両が本件道路に進入してくることを予見することが容易であった」として、原告にも1割の過失が認定されました。

事故状況のみならず、事故現場に関する当事者の認識(初めて通った道か、通勤等で利用している道か)も考慮されて過失割合が認定されている点が参考になります。

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いかがでしたか?
今回は、サンキュー事故の過失割合について解説しました。

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弁護士費用特約を使える場合には、補償上限額まで保険会社が弁護士費用を代わりに支払ってくれますので、ほとんどのケースで実質無料で交渉や裁判等を弁護士に依頼できます。

弁護士費用特約を利用しても、保険料は変わりませんので、可能な場合には利用することをお勧めします。

「弁護士費用特約を使えるか分からない」という場合には、弁護士が代わりに保険会社に確認することもできますので、お気軽にご相談ください。

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Q 静岡以外の地域に住んでいるのですが、静岡以外の地域からの相談・依頼は可能ですか?
A 
静岡県以外の方からのご相談・ご依頼もお受けしております。
   これまで、北海道、青森、福島、福井、東京、群馬、栃木、千葉、神奈川、愛知、長野、岐阜、滋賀、三重、奈良、兵庫、広島、島根にお住まいの方からご依頼・ご相談いただいた実績がありますので(令和4年4月現在)、その他地域にお住まいの方もお気軽にご相談・ご依頼ください。
※現在、大変多くの方々からご依頼いただいており、新規案件の対応が困難なため、大変申し訳ありませんが、静岡県外にお住まいの方からの新規のご相談・ご依頼の受付を停止しております。静岡県外にお住まいの方からの新規のご相談・ご依頼は、令和5年1月頃から受付を再開する予定です。

Q ケガはなく、物損(車の修理費用など)の過失割合だけが問題になっているのですが、相談・依頼することはできますか?
A 物損だけの事故についてもご相談・ご依頼を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

Q 小さな事故で、特に保険会社との間で揉めていないのですが、弁護士に相談しても良いですか?
A もちろん、問題ありません。
   弁護士に依頼することで、小さなケガであっても示談金額が増額される可能性がありますし、保険会社との対応を全てお任せできるというメリットがありますのでお気軽にご相談ください。

Q 他の弁護士に依頼しているのですが、変更して依頼はできますか?
A 現在、依頼している弁護士との契約を解除していただいたうえで、ご依頼いただくことになります。また、弁護士費用特約を利用している場合には、ご自身の保険会社に担当弁護士を変更したい旨を伝えて了承を得てください。現在、依頼している弁護士に変更を申し出づらい場合には、ご相談ください。 

Q 弁護士費用で費用倒れ(赤字)になることはありませんか?
A 
ご相談内容を詳しく伺ったうえで、もし、少しでも費用倒れの可能性がある場合には、必ずご依頼前にご説明させていただきます。万が一、増額した金額よりも弁護士費用が高額となる場合は、増額した金額が弁護士費用の上限となりますので、損をすることはありません。
   なお、弁護士費用特約をご利用の場合は、費用倒れになることはありません。

Q どの段階から費用が発生しますか?
A 相談では一切費用は発生しません。弁護士との間で委任契約書を作成して、正式にご依頼いただいて、弁護士が交渉等の活動を開始した段階から費用が発生致します。

Q 日中は仕事で忙しいので、弁護士事務所に行ったり、電話をしたりすることが難しいのですが・・・
A 夜間や土日祝日に打ち合わせをするこも可能ですし、ご依頼後の弁護士との連絡手段をメールやLINEにすることも可能です。
   なお、裁判をせずに示談交渉で解決する場合、ほとんどのケースで、依頼後に事務所での打ち合わせをすることなく終了しています。

Q 裁判まではしたくないのですが、交渉で示談することは可能ですか?
A 裁判まで行うか、交渉で示談をして終わらせるかは、依頼者の方が決めることになりますので、交渉での解説を希望される場合には、裁判にはなりません。な
      なお、私がこれまで扱ったケースでは、8割ほどが交渉で解決しています。

Q 解決までには、どれくらいの時間が掛かりますか?
A 事案にもよりますが、交渉の場合、治療が終わってから1~2ヶ月程度で示談して終わるケースが多いです。物損のみの場合は、交渉開始から1ヶ月程度のケースが多いです。ただし、後遺障害の申請をしたり、過失割合に争いがあって実況見分調書等を取り寄せる場合には、プラス2、3月程度かかります。
また、裁判の場合は、早くても半年程度は掛かります。私が過去に扱った裁判では、1年~2年で終わるケースが多いです。

Q 弁護士に相談したら必ず依頼しなければいけないのでしょうか?
A もちろん、相談だけで依頼しなくても問題ありません。むしろ、複数の弁護士に会って相談したうえで、最も信頼できる弁護士に依頼することをお勧めします。

弁護士 山形祐生(やまがたゆうき)
静岡県弁護士会所属
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