高速道路で路側帯に停車していたところ、追突された。
高速道路で走行車線にはみ出して停車していたため、過失割合で揉めている。

この記事は、このような方のために書きました。

こんにちは。弁護士の山形です。
今回は、高速道路の路側帯などで停止していた車に追突・衝突してしまった場合の事故に関する過失割合について、裁判例を解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

弁護士 山形祐生(やまがたゆうき)
静岡県弁護士会所属
静岡法律事務所
静岡市葵区馬場町43番地の1
TEL:054-254-3205
静岡県交通事故相談所の顧問弁護士(静岡県知事の委嘱による)。
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新の裁判例等の研究をしている。静岡県外からの相談・依頼も多く、現在までに300件以上の交通事故案件を手掛けてきた(2022年1月時点)。保険会社との交渉を得意とする。案件としては、過失割合、慰謝料、後遺障害、死亡事故に関するものが多い。
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高速道路上の路側帯に停車していた車に追突した車に95%の過失を認定した裁判例

大阪地裁・平成15年2月21日判決

 被告Y2は,本件道路を走行するに当たって,本件事故当時激しい降雨のため前方の見通しが悪かったのであるから,安全な速度で走行した上,前方を注視し,進路の安全を確認しながら進行すべき注意義務があったにもかかわらず,これを怠り,被告車両運転席の上部に取り付けられたカーラジオのチャンネルを操作することに気を取られ,前方を注視せず,制限速度を時速約40km超過する時速約90kmで漫然と進行した過失により,進路前方道路左端に停車中の原告車両に全く気付かないまま,その右後部に被告車両の左前部を衝突させたものであって,被告Y2の過失の程度は著しいと言うべきである。取り分け,被告Y2が前方注視を怠っていなければ,原告車両は,走行車線に約0・9mはみ出しているにすぎなかったのであるから,僅かな回避措置によって,被告車両は,原告車両を回避することができたにもかかわらず,衝突まで,全く原告車両に気付かず,原告車両を大破させるといった結果を招いた被告Y2の責任は重大である。
 他方,原告X1としても,高速道路上は,原則として駐停車禁止であり(道交法75条の8),故障その他の理由により本線車道等において運転することができなくなった時は,速やかに本件車道等以外の場所に移動するため必要な措置を講じなければならない(道交法75条の11第2項)ところ,・・・本件現場付近が拡張工事のために,退避できる路側帯が存在しなかったためとはいえ,夜間降雨で見通しの悪い高速道路の走行車線上に約0・9mはみ出す形態で停車しており,ハザードランプは点灯していたものの,停止表示器材の設置(道交法75条の11第1項)を怠っていたという過失が認められる。
 以上のような,被告と原告誓の過失の内容・程度を比較考慮すれば,原告X1の障害に関する原告らの損害につき,5%の過失相殺をするのが相当である。

高速道路に停車中の原告の普通乗用車に被告が運転する普通貨物自動車が追突してしまったっという事故です。

裁判所は、次のような事情を指摘して、停車中の原告にも5%の過失を認定しました。
・夜間降雨で見通しの悪い高速道路の走行車線上に約0・9mはみ出す形態で停車していた。
・ハザードランプは点灯していたものの,停止表示器材の設置を怠っていた。

では、走行車線にはみ出さないで停車していた場合は、過失割合はどうなったのでしょうか。
次の裁判例が参考になります。

高速道路の路側帯内に停車していた車の過失を否定し、追突車の100%の過失を認定した裁判例

名古屋地裁・平成4年6月26日判決

 高速道路においては、自動車は故障その他の理由により駐停車のやむを得ない事情のない限り、路側帯といえども原則として駐停車を禁止されており、また、やむを得ず駐停車する場合には停止表示を行う義務を有するところ、前認定の事実によると、訴外甲野太郎は、被害車を路側帯内に停車しながら停止表示の措置を講じていないけれども、他方、加害車を運転していた訴外乙山次郎は、全く前方注視を怠って、本来は車両の通行が禁止されている路側帯に進入して走行したものであり、しかも被害車の存在を追突するまで全く気付かなかったものであることを考えると、訴外甲野太郎が停止表示の措置を講じていたとしても、本件事故が回避されたかは極めて疑問であり、これらの諸事情を考え併せると、本件事故は、結局、訴外乙山次郎の一方的過失によって起きたものとみるを相当とし、被告の過失相殺の主張はこれを採用しない。

こちらも、高速道路で停車していた車に追突してしまったという事故です。

先ほど紹介した大阪地裁の裁判例と異なり、停止車は、路側帯内に収まるように停車していました。

このような事情も考慮されたためか、停止車は、停止表示の措置を講じていませんでしたが、裁判所は、以下のような事情を認定したうえで、停止車が「停止表示の措置を講じていたとしても、本件事故が回避されたかは極めて疑問」とし、加害者の100%過失を認定しています。

・加害者は、全く前方注視を怠って、本来は車両の通行が禁止されている路側帯に進入して走行した

・加害者は、被害車の存在を追突するまで全く気付かなかった

この2つの裁判例を検討すると、停止表示の措置を講じたか否かという事情よりも路側帯内に収まっていたか否かという事情の方が重視されているように思えます。

加えて、加害者の前方不注視の程度(どのタイミングで停止車の存在に気がついたか)という事情も重要です。

高速道路の路側帯からはみ出して停止する寸前の車に30%の過失を認定した裁判例

福岡地裁・平成11年10月25日判決

 原告の従業員である戊田は、原告車を運転中、前方に減速走行中の被告車を発見しており、発見時における被告車との車間距離や原告車の速度を前提とすれば、前方を注視しつつ減速して車線変更等の措置を採ることにより本件事故を回避できたにもかかわらず、車線変更の機会を窺いつつも、前方を十分注視しないまま制限速度を時速約20㌔㍍超過した時速約100㌔㍍の速度で原告車を運転したことにより、本件事故を発生させたことが認められる。
 被告と原告側の過失割合については、既に認定した被告及び戊田の過失の態様及び程度をはじめ、本件事故の発生に関する双方の諸事情を総合考慮して判断すべきところ、後続車の運転手戊田が前方に被告車を発見したにもかかわらず、前方不注視及び速度超過により被告車に追突した点は最も重く考慮すべきであるが、本件事故現場が高速道路であることに鑑みれば、何ら正当な理由もないのに走行車線にはみ出す形で被告車を路側帯に停止させようとした被告乙山の過失も決して軽微とはいえない。そして、被告車の走行車線にはみ出した程度、本件事故の発生時刻、被告車の点灯状況等を併せ考慮すれば、原告側の過失は7割と認めるのが相当である。

被告は、高速道路で運転していたところ、第三者のあおり運転を受けて危険を感じ、路側帯に停車しようとして減速し、停止寸前のところで、原告車に追突されてしまったという事故です。

被告は、車体を斜めにして後部が走行車線にはみ出す形で停車しようとしていました。

裁判所は、原告の速度違反(約20kmオーバー)、前方不注視があることを前提に、以下のような事情も考慮して、追突された被告にも3割の過失を認定しました。

・被告車が走行車線にはみ出した程度
・本件事故の発生時刻(午前3時57分ころ)
・被告車が警告灯を点灯していなかった

高速道路の路肩からはみ出し停止中の車に50%の過失を認定した裁判例

横浜地裁・平成23年5月27日判決

 本件事故時は,夜間であったが,本件事故現場付近は,照明があって明るく,見通しもよく,また,交通量も少なかった上,第1車線は,原告車両を除いても残る車線の幅が2.8メートルあったから,被告車両は第1車線の中で本件事故を避けることができたものである。そうすると,被告Dが前方をよく注視して運転していれば,本件事故は,容易に避けられたものと認められる。
 他方,原告車両は,駐停車が禁止される高速道路上において,第1車線に0.8メートルほどはみ出して停まっており,しかも,停まった原因は,直接的には,原告Aの体調不良であるが,それには,原告Aが飲酒,酩酊していたことによる影響があったものと認められる。飲酒運転が許されないことは,いうまでもない。
 以上によると,過失割合は,原告A50%,被告D50%と認めることが相当である。

こちらも先ほどの2つの裁判例と同じく、停止車に追突したという事故に関するものです。

はみ出していた程度としては、先ほどの大阪地裁の判例と同じ程度ですが、こちらは、停止車に50%もの過失を認定しています。

その理由は、停止していた理由にあります。
というのも、停止車の運転手は、飲酒運転により酩酊状態となって体調不良から停車させていたというのです。

つまり、停車に至った事情についても、過失割合の認定要素として重視されているわけです。

高速道路の路側帯に停止していて追突された事故に関する無料相談

いかがでしたか。
今回は、高速道路での路側帯に停止していた車に追突した場合の過失割合が問題になった裁判例について解説しました。
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弁護士 山形祐生(やまがたゆうき)
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