
交通違反を起こしてしまい、今後、免許がどうなるのか不安。
意見聴取の手続では、どのようなことが行われるのか知りたい。
免許取消しや免許停止を回避するための争い方を知りたい。
この記事は、このようなことでお困りの方のために書きました。
交通事故を起こしてしまった場合、相手方との賠償金の問題や刑事処分(罰金など)などだけではなく、免許の停止・取消処分についても問題となり得ます。
本記事では、免許の停止・取消処分が問題となった場合の手続の流れ、争い方などについて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
本記事を執筆した弁護士
目次
この記事の結論
- Q1. 免許停止・取消の対象になると通知が来たが、もう処分は確定しているのか?
- A1. 確定していない。累積点数が一定値に達すると「意見の聴取」という手続の対象にはなるが、この段階では処分の対象者になったに過ぎず、処分内容はまだ決まっていない。意見聴取の場で有利な証拠の提出や意見陳述をすることで、処分内容を軽くするよう争うことが可能(道路交通法)。
- Q2. 意見聴取の通知が届いてから、いつ・どこで手続が行われるのか?
- A2. 聴取期日の約2週間前に意見聴取通知書が公安委員会から自宅に届く。通知書には期日・場所・処分事由・過去3年の行政処分歴・累積点数が記載されている。手続は同日に複数対象者について行われ、免許取消対象者と停止対象者で会場や曜日が分けられていることが多い。静岡県の場合、取消対象者は県警本部、停止対象者は運転免許センターで行われる。当日は会場まで自分で運転してはならず、運転免許証を持参する必要がある。
- Q3. 意見聴取の当日は何が行われるのか?
- A3. ①本人確認、②主宰者からの処分理由・点数の説明、③違反事実の確認、④ドライバーからの弁明機会の付与、の順で進む。補佐人がついていない一般の対象者の場合、東京では流れ作業のように一人数分で終わることもあるが、静岡では1人10分以上かけて個別事情を聴取してもらえる傾向(本記事執筆時点での感覚)。処分結果は当日中に通告され、取消・停止となった場合はその日から運転できない。
- Q4. 免許取消・停止を争うにはどうすればよいか?
- A4. 意見聴取の場での口頭弁明だけでは不十分で、事前に有利な証拠と意見書を提出することが重要。具体的な準備手順は、①警察署で申請用紙を取得し運転記録証明書を取り寄せて累積点数・前歴・個別違反内容を正確に把握(交付まで約2週間)、②弁明内容をまとめた意見書と裏付け証拠(家族・勤務先上司の陳述書、写真・動画等)を意見聴取日の前に提出、③日程の都合がつかなければ通知書記載の連絡先に電話して延期を申請(無制限ではない)。弁護士を補佐人に就任させる場合は「補佐人出頭許可申請書」をあらかじめ準備する必要がある。なお、免許取消・停止を扱う弁護士は多くないため、依頼する場合はこの分野を取り扱っている弁護士を探すところから始める必要がある。
累積違反点数によって処分の対象となる
もし、あなたが交通違反を犯した場合、その内容に応じて、点数が決まります。
点数制度は、ドライバーの過去3年間の違反や事故について一定の点数を付けて、その合計点数(累積点数)によって、免許を停止したり、取り消したりする制度です。
「持ち点」ではなく「累積点数」によって対象となる処分が決まります。
累積点数が一定の点数に達した場合、処分を決めるための手続が開始されることになります。
まだ、この段階では、あくまで処分の対象となることが決まっただけで、まだ、処分がされることが決まったわけではありません。
この後、説明する手続によって処分内容を軽くするよう争うことが可能です。
意見の聴取通知書が届く
違反点数によって、免許の取消しや90日以上の停止の対象となった場合、意見の聴取という手続が行われることになります。
この意見の聴取によって、ドライバーには、処分の内容になっている違反や累積点数などについて、有利な証拠を提出したり、意見書を提出したりするなど、弁明をする機会が保証されることになります。
この意見の聴取が行われる前に、「意見の聴取期日」、「意見書の聴取場所」、「処分事由」、「過去3年以内の行政処分歴」、「累積点数」などが記載された意見の聴取通知書が公安委員会から自宅に送られます。
通常、聴取期日の2週間前頃には届くことが多いようです。静岡の場合、以下のようなハガキで届きます。
意見聴取手続の会場
意見聴取の手続は同じ日に複数の対象者について、まとめて行われることになります。
会場や開催曜日について、免許取消し対象者、免許の停止対象者で分けて行われることが多いです。
意見聴取手続当日の雰囲気は、各公安委員会によって異なるというのが私の感覚です。
例えば、本記事の執筆時点(2024年2月)での話ですが、東京の場合は、一度に20名程度の対象者が1つの部屋に集められ、他の対象者が見られる状況で、一人ずつ、前に呼ばれて、主宰者(当日の手続を仕切る人です。)との遣り取りがあります。
主宰者との遣り取りは、弁護士が補佐人に就いていない一般的なケースであれば、数分で終わることもあります。
一方、静岡の場合、取消し対象者は県警本部、停止対象者は運転免許センターで意見聴取の手続が行われますが、最初に対象者全員が1つの部屋に集められて、そこから、順番に一人ずつ呼ばれて、個室や個別のブースで主宰者と遣り取りをすることになります。
そのため、他の対象者と主宰者との遣り取りを見ることはできません。
意見聴取の時間は、短くても10分程度は掛かり、私の個人的な感覚ですが、東京よりも個別具体的な事情を聞いてくれるという印象があります。
意見聴取手続の具体的な内容
意見聴取手続では、概要、以下のようなことが行われます。
- 本人確認
- 主宰者から処分理由や点数についての説明
- 違反事実の確認
- (あれば)ドライバーから事情の説明・弁明
最初に本人確認がされ、その後、処分の理由や点数について簡単な説明があります。
そして、今回、あなたが起こしたとされる違反行為が読み上げられ、違反行為が有ったことに間違いがないか確認されます。
最後に、あなたから違反行為を起こしてしまったことについて、何か事情があれば、それを弁明する機会が与えられます。
補佐人が就いていない一般のドライバーの場合、弁明について何も準備をしていないことも多いでしょう。
東京の場合、先に意見聴取を受けているドライバーの様子を見て、その場で弁明を考える方もいると思います。
なお、もし、特に弁明がなく、処分を受け入れるということであれば、特に何も意見する必要はありません。
処分結果の通告
意見聴取手続が終わった後、処分の結果は当日中に発表されます。
例えば、午前中に聴取を終えて、昼前くらいから順次呼ばれて免許の取消しや停止を通告する処分書が交付されます。
もし、免許が取り消されたり、停止となった場合は、その日から車の運転はできません。
なお、当日は運転免許証を持参して、会場までは自分で車を運転して行ってはいけないとされています。
免許取消し・停止の争い方
道路交通法は、「意見の聴取者やその代理人は、意見の聴取の際に当該事案について意見を述べたり有利な証拠を提出することができる」と定めています。
しかし、多くのドライバーは意見聴取の機会に有利な証拠を提出できることを知りません。
先ほども説明したとおり、例えば東京では、何もなければ、流れ作業のように一人あたり数分で手続は終わってしまいます。
多くのドライバーは、どんなことをするのかよく分からないまま、意見聴取当日を迎え、言われるがままに手続が進行し、気がついたら意見聴取が終わって、結果を言い渡される、という感じでしょう。
そのため、もし、免許取消しや免許停止を争うのであれば、事前に有利な証拠を出したり、意見書を提出するなどの活動が重要となります。
ドライバーに代わってこのような活動をする者のことを「補佐人(ほさにん)」といいます。
補佐人は、公安委員会の許可がなければ就任できませんので、「補佐人出頭許可申請書」をあらかじめ準備する必要があります。
通常、弁護士であれば補佐人就任の許可は問題なく得られます。
交通事故の賠償金の交渉や刑事事件については、多くの弁護士が扱っていますが、残念ながら、現状では、免許取消し・停止について扱っている弁護士は、あまりいません。
そのため、もし、あなたが免許取消しや免許停止を争うことを弁護士に依頼するのであれば、まず、そのような分野を取り扱っている弁護士を探すことから始める必要があります。
意見聴取に向けた準備
もし、あなたが本気で免許取消しや免許停止の処分を争いたいのであれば、以下のように意見聴取に向けた準備をする必要があります。
1 運転記録証明書を取得する
まずは、あなたの累積点数などを把握するために「運転記録証明書」を取得することから意見聴取に向けた準備は始まります。
運転記録証明書には、過去の違反内容と点数、行政処分の前歴、現在の累積点数などが記載されています。
これにより、違反と違反の間にどの程度の期間が空いているか、何キロの速度違反かなどの、個別の事情を正確に把握することができ、今回の点数や処分を予測することができます。
運転記録証明書の交付申請用紙は警察署などにあります。
申請書に必要事項を記載して、手数料を添えて申し込むと2週間くらいで証明書が送られてきます。
仮に、弁護士に依頼する場合であっても運転記録証明書は自分で取り寄せます。
2 意見書、証拠を提出する
先ほども説明しましたとおり、意見聴取の際には当該事案について意見を述べたり有利な証拠を提出することができます。
そのため、あなたの弁明について意見書やそれを裏付ける証拠を提出することになります。
もし、弁護士などの補佐人を依頼する場合には、補佐人にこれらの準備をしてもらうことになります。
意見書や証拠の中身について、特に決まりはありませんので、写真や動画などを提出しても構いません。
例えば、免許取消しや停止になった場合に多大な不利益が生じることを裏付ける証拠として、家族や勤務先の上司の陳述書を提出することも考えられます。
意見書と証拠は意見聴取日の前に提出することが重要です。
当日、提出してもきちんと読んでもらえるか分かりませんし、十分な検討をしてもらえない可能性があるからです。
3 必要があれば延期申請をする
意見聴取日までに十分な準備ができない場合や指定された日の都合が悪い場合には、聴取期日を延期してもらうこともできます。
意見の聴取通知書に記載されている連絡先に電話して、担当者に事情を説明すれば、延期してくれるはずです。
ただし、無制限に延期ができるわけではありませんので注意してください。
新規のご相談
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