事案の概要
Sさんは、交通事故で膝に重大なけがを負い、手術を受けたうえで長期間の治療とリハビリを続けることになりました。治療後も、膝の痛みだけでなく、長時間の歩行や階段の昇降で強い負担が残り、日常生活に支障が続いていました。
本件でのポイントは、治療が終わった後に残った症状を、後遺障害としてどう評価するかという点でした。
争点
当初の後遺障害認定は14級9号でした。
これは、膝に痛みなどの症状は残っているものの、機能障害までは認められず、「局部に神経症状を残すもの」として評価されたものです。
しかし、Sさんに残っていたのは単なる痛みだけではありませんでした。歩行や階段昇降の負担に加え、膝の不安定さによる支障もあり、実際の状態に照らせば、より高い等級が認められる可能性がありました。
当事務所の対応
そこで当事務所では、当初の認定を前提に示談へ進むのではなく、異議申立を視野に入れて、医学的資料を整理し直したうえで、協力医に意見書の作成を依頼しました。
後遺障害は、診断名が重いだけでは十分ではありません。どの症状を、どの資料で、どの等級要件に結びつけるかが重要です。
本件では、診断書、画像資料、治療経過を丁寧に見直し、膝の痛みだけでなく、関節の動揺性や機能面の支障に着目して主張を組み立てました。必要な医療的検討も踏まえ、膝関節の機能障害として評価されるべき事案であることを明確にして異議申立を行いました。
結果
異議申立の結果、後遺障害等級は14級9号から12級7号へ変更されました。
異議申立後は、可動域制限だけではなく、前十字靭帯や内側側副靭帯の損傷に伴う膝関節の動揺性が重視され、膝の機能障害として評価されました。つまり、痛みが残るというレベルではなく、膝の機能そのものに障害が残っていると認められたということです。
この等級変更により、賠償額は大きく変わりました。
最終的には示談金1000万円で解決に至りました。
この事案のポイント
本件のポイントは、最初の後遺障害認定をそのまま受け入れなかったことです。
交通事故の後遺障害では、最初の認定結果がそのまま最終結論のように見えがちです。ですが、どの症状を中心に評価してもらうか、どの資料を補強するかによって、結果が変わることがあります。
本件でも、当初は「痛みが残る」という14級の評価にとどまっていましたが、異議申立では「膝関節の動揺性による機能障害」という形で評価を組み替え、12級まで引き上げることができました。
同じようなお悩みをお持ちの方へ
交通事故で膝の骨折や靭帯損傷を負った場合、治療が終わっても、痛み、不安定感、歩行時の負担などが残ることがあります。こうした症状は外見から分かりにくく、後遺障害認定で十分に評価されないこともあります。
後遺障害の等級や賠償額は、診断名だけで決まるものではありません。
どの症状を、どの証拠で、どの評価枠組みに乗せるかによって、結論が変わることがあります。
後遺障害の等級に納得できない方、異議申立をすべきか迷っている方は、お早めにご相談ください。
この事件を担当した弁護士
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