年金受給者が亡くなった場合の逸失利益の計算方法は?
逸失利益を計算するときには、どんな書類を用意したら良いの?

この記事は、このような疑問をお持ちの方のために書きました。

こんにちは!静岡の弁護士の山形です。
今回は、交通事故で亡くなった年金受給者の逸失利益について解説しています。
年金受給者の逸失利益の計算方法や関連する証拠書類などについて分かりやすく解説していますので、参考にしてみてください。

静岡城南法律事務所

弁護士 山形祐生(やまがたゆうき)

静岡県弁護士会所属 登録番号:44537

静岡県交通事故相談所の顧問弁護士(静岡県知事の委嘱による)。
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新の裁判例等の研究をしている。静岡県外からの相談・依頼も多く、単独で年間に100件以上の交通事故案件を手掛けている。保険会社との交渉を得意とする。案件としては、過失割合、慰謝料、後遺障害、死亡事故に関するものが多い。

目次

年金受給者の逸失利益

被害者が亡くなった際に、国民年金や厚生年金等の支給を受けていた場合には、逸失利益として将来の年金分の賠償が認められます。
なお、被害者の方が遺族年金を受給していた場合、遺族年金については逸失利益は認められません。

逸失利益の一般的な計算方法は、以下のとおりですが、年金の場合も同じように基礎収入額に生活費を控除する必要があります。

逸失利益の計算式

年金額×(1ー生活費控除率)×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

そして、年金は、受給者の生活保障の側面があるため、稼働所得よりも高い控除率となることが多く、年金の他に収入が無い場合には、少なくとも50%~60%程度の控除率が認められるケースが多いです。

なお、年金の支給が開始していなくても、受給資格が確定している場合には、年金の逸失利益は認められます。

逸失利益の計算に必要な証拠

年金を受給していた場合

「年金額改定通知書」という1年間の年金額が記載された葉書を用意しましょう。
この通知書は、年金額の改定が行われた年度の6月頃に郵送されています。

もし、紛失してしまった場合には、最寄りの年金事務所で再発行してもらうか、代わりに、年金額歴史回答票を発行してもらってください。

年金受給資格を得ているが未受給の場合

「ねんきん定期便」を用意しましょう。これは、毎年、誕生日前後に郵送されてきます。

逸失利益の計算方法

年金を受給していた場合

計算式としては、先ほど説明したとおり、以下のようになります。

逸失利益の計算式

年金額×(1ー生活費控除率)×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

なお、年金額のうち、「加給年金」については、逸失利益性が否定されているので、控除してください。
一方、振替加算部分については、逸失利益性が肯定されているので、控除する必要はありません。

年金受給資格を得ているが未受給の場合

被害者の方が年金受給資格を得て年金保険料の納付を終えているものの支給開始年齢前に死亡した場合には、以下の計算式で逸失利益を計算します。

予定年金額×(1-生活費控除率)×(平均余命年数に対応するライプニッツ係数-予想される支給開始までの年数に対応するライプニッツ係数)

予定年金額については、これまでの加入実績に応じた年金額として主張することが多いです。
もし、今後60歳まで加入していたと仮定した年金額を主張すると、その間の保険料を損害から控除する必要が出てきますが、中間利息控除を考えると、控除される金額が大きくなってしまうからです。
そのため、年金受給開始年齢までの期間を考慮して、有利な方で計算すると良いでしょう。

なお、60歳以降の働いて得る収入について逸失利益が認められる場合、就労可能年数までの年金逸失利益が全額認められないことがあります。
在職老齢年金の支給停止制度というものがあり、60歳以降に働きながら年金を受給する場合、勤務先から支払われる給料(月給と賞与)の金額によっては、年金の一部または全部が支給停止になるからです。

死亡事故に関する無料相談

いかがでしたか?
今回は年金受給者の逸失利益について解説しました。
年金の逸失利益を計算するときには、通常の稼働収入と異なり、複雑な考え方をすることがあるので、ぜひ参考にしてみてください。
現在、本解説を執筆した山形弁護士による無料相談を実施しておりますので、お気軽にご相談ください。

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弁護士費用

11万円+保険会社等からの回収金額の17.6%(税込)

相談料と着手金は無料です。
弁護士費用は、交渉等が解決した後の完全後払いになります。
※訴訟等の手続に移行する場合や複雑な事案などについては、上記とは異なる料金体系とさせていただくことがありますが、その場合には、ご依頼いただく前にご説明させていただきます。

ところで、「弁護士費用特約」というものをご存じでしょうか?
自動車保険などに付帯している特約のことで、弁護士に依頼する際の弁護士費用を補償してくれます。

弁護士費用特約を使える場合には、補償上限額まで保険会社が弁護士費用を代わりに支払ってくれますので、ほとんどのケースで実質無料で交渉や裁判等を弁護士に依頼できます。

弁護士費用特約を利用しても、保険料は変わりませんので、可能な場合には利用することをお勧めします。

「弁護士費用特約を使えるか分からない」という場合には、弁護士が代わりに保険会社に確認することもできますので、お気軽にご相談ください。

よくある質問

Q静岡県以外の地域に住んでいるのですが、静岡県以外の地域からの相談・依頼は可能ですか?
A

静岡県以外の方からのご相談・ご依頼もお受けしております。
これまで、北海道、青森、福島、福井、東京、群馬、栃木、千葉、神奈川、愛知、長野、岐阜、滋賀、三重、奈良、兵庫、広島、島根、沖縄にお住まいの方からご依頼・ご相談いただいた実績がありますので(令和4年4月現在)、その他地域にお住まいの方もお気軽にご相談・ご依頼ください。

Qケガはなく、物損(車の修理費用など)の過失割合だけが問題になっているのですが、相談・依頼することはできますか?
A

物損だけの事故についてもご相談・ご依頼いただくことは可能ですが、弁護士費用特約のご利用が条件となります。

Q小さな事故で、特に保険会社との間で揉めていないのですが、弁護士に相談しても良いですか?
A

もちろん、問題ありません。
 弁護士に依頼することで、小さなケガであっても示談金額が増額される可能性がありますし、保険会社との対応を全てお任せできるというメリットがありますのでお気軽にご相談ください。

Q他の弁護士に依頼しているのですが、変更して依頼はできますか?
A

現在、依頼している弁護士との契約を解除していただいたうえで、ご依頼いただくことになります。また、弁護士費用特約を利用している場合には、ご自身の保険会社に担当弁護士を変更したい旨を伝えて了承を得てください。現在、依頼している弁護士に変更を申し出づらい場合には、ご相談ください。

Q弁護士費用で費用倒れ(赤字)になることはありませんか?
A

ご相談内容を詳しく伺ったうえで、もし、少しでも費用倒れの可能性がある場合には、必ずご依頼前にご説明させていただきます。万が一、増額した金額よりも弁護士費用が高額となる場合は、増額した金額が弁護士費用の上限となりますので、損をすることはありません。
 なお、弁護士費用特約をご利用の場合は、費用倒れになることはありません。

Qどの段階から費用が発生しますか?
A

相談では一切費用は発生しません。弁護士との間で委任契約書を作成して、正式にご依頼いただいて、弁護士が交渉等の活動を開始した段階から費用が発生致します。
※弁護士費用特約をご利用の場合には、相談料を保険会社にご請求させていただきます。

Q日中は仕事で忙しいので、弁護士事務所に行ったり、電話をしたりすることが難しいのですが・・・
A

夜間や土日祝日に打ち合わせをするこも可能ですし、ご依頼後の弁護士との連絡手段をメールやLINEにすることも可能です。
なお、裁判をせずに示談交渉で解決する場合、ほとんどのケースで、依頼後に事務所での打ち合わせをすることなく終了しています。

Q裁判まではしたくないのですが、交渉で示談することは可能ですか?
A

裁判まで行うか、交渉で示談をして終わらせるかは、依頼者の方が決めることになりますので、交渉での解説を希望される場合には、裁判にはなりません。なお、私がこれまで扱ったケースでは、8割ほどが交渉で解決しています。

Q解決までには、どれくらいの時間が掛かりますか?
A

事案にもよりますが、交渉の場合、治療が終わってから1~2ヶ月程度で示談して終わるケースが多いです。物損のみの場合は、交渉開始から1ヶ月程度のケースが多いです。ただし、後遺障害の申請をしたり、過失割合に争いがあって実況見分調書等を取り寄せる場合には、プラス2、3月程度かかります。
また、裁判の場合は、早くても半年程度は掛かります。私が過去に扱った裁判では、1年~2年で終わるケースが多いです。

Q弁護士に相談したら必ず依頼しなければいけないのでしょうか?
A

もちろん、相談だけで依頼しなくても問題ありません。むしろ、複数の弁護士に会って相談したうえで、最も信頼できる弁護士に依頼することをお勧めします。

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弁護士 山形祐生(やまがたゆうき)

静岡県弁護士会所属 登録番号:44537

静岡県交通事故相談所の顧問弁護士(静岡県知事の委嘱による)。
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新の裁判例等の研究をしている。静岡県外からの相談・依頼も多く、単独で年間に100件以上の交通事故案件を手掛けている。保険会社との交渉を得意とする。案件としては、過失割合、慰謝料、後遺障害、死亡事故に関するものが多い。

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