自分は悪くないのに自分の保険を使うのは納得がいかない!
車両保険や特約のメリット・デメリットを知りたい。

この記事は、このような方のために書きました。

こんにちは!弁護士の山形です。
今回は、車両保険のポイントや車両保険に付随する特約のメリット・デメリットなどについて解説しています。
交通事故で車が破損してしまった、という方は、ぜひ参考にしてみてください。

静岡城南法律事務所

弁護士 山形祐生(やまがたゆうき)

静岡県弁護士会所属 登録番号:44537

静岡県交通事故相談所の顧問弁護士(静岡県知事の委嘱による)。
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新の裁判例等の研究をしている。静岡県外からの相談・依頼も多く、単独で年間に100件以上の交通事故案件を手掛けている。保険会社との交渉を得意とする。案件としては、過失割合、慰謝料、後遺障害、死亡事故に関するものが多い。

目次

事故に遭ったら使える保険をチェック!

交通事故に遭ってしまったら、必ず、自分や家族が加入している保険の証券を確認したり、保険会社に問い合わせたりして、どんな保険を使えるのかチェックしましょう!

例えば、以前、私が担当したケースですが、レンタカー代が争いになっていた案件で、私が相談を受けて保険証券をチェックしたら、レンタカー特約を使えることが判明し、結局、特約からレンタカー代が支払われてすぐに解決できた(保険料の増加がありません。)ということもありました。

保険会社が積極的にあなたが使える保険を案内してくれるとは限りませんので、保険証券などを確認して自分から積極的に調べることが必要です。

今回は、車が破損してしまった場合に使える保険のうち、①車両保険、②新車特約、③車両全損時諸費用特約、④代車・レンタカー特約について、順番に解説します。

車両保険のポイント

車両保険の補償内容

それでは、車両保険の内容について解説していきます。

車両保険は、車の所有者などを被保険者とする保険で、交通事故などにより車が破損した場合に、車の損害が保険金として支払われます。

過失割合にかかわらず、車の損害額が支払われますので、あなたの過失割合が大きい場合には、車両保険の利用を検討しても良いでしょう。

また、加害者が保険に加入していなくて、かつ、修理費用等を支払うだけの資力がないようなケースでも車両保険の利用を検討してみてください。

車両保険の注意点

車両保険を利用すると、翌年以降の保険料がアップしてしまいます。
そのため、車両保険をつかった場合に得られる保険金額と翌年以降の保険料の増加額を比べて、車両保険を使う方が得になるかどうか慎重に判断する必要があります。

あなたが加入している保険会社に相談すれば、計算してくれますので、車両保険を利用する前に、確認するようにしましょう。

新車特約(車両新価特約)のポイント

新車特約(車両新価特約)の補償内容

新車特約は、事故で車が破損した場合に、新たに車を購入するための費用を補償する特約です。

車両保険では、破損した車の時価額が上限の補償となってしまいますが、車両保険に加えて新車特約を利用すると、車を購入したときの価格が補償されることになります。

具体例で説明します。
例えば、あなたが300万円で新車を購入し、その3年後に事故にあったとします。
事故にあったときの車の時価が200万円と判断される場合、車両保険で200万円、新車特約で100万円が保険金としてあなたに支払われることになります。

この特約があれば、特に車をローンで購入していたような場合も、全額完済が可能となるので安心ですね。

新車特約の利用条件

それでは、新車特約は、どのようなケースで使えるのでしょうか?

一般的には、以下のような条件のどれかを満たす場合に新車特約の利用が可能です。

1 車が全損となり走行不能となった場合
2 車が破損して修理費が車両保険の保険金の上限を上回った場合
3 車が破損して修理費が新車購入時価格の50%以上になった場合(※)
※車の構造部分の損傷があったことを条件とする場合もあります。

詳しい利用条件については、保険会社によって異なりますので、必ず、ご自身が加入している保険会社に確認してください。

保険料のアップに注意

新車特約も利用すると、翌年以降の保険料がアップしてしまいます。
そのため、利用前に、あなたが加入している保険会社に相談するなどして、利用した方が得となるか、確認するようにしましょう。

車両全損時諸費用特約のポイント

車両全損時諸費用特約というのは、車が大破して車の時価額よりも修理費用の方が高くなってしまい、廃車・買換をすることになった場合に必要な諸費用をカバーしてくれる保険です。
ちなみに、事故に限らず、車が盗難されてしまった場合にも利用可能です。

保険金としては、車が全損となった場合に、予め設定している保険金額(車両協定額)の10%が支払われることになります。
具体的には、だいたい20万円くらいのことが多いです。
これは、実際に掛かった費用ではなく、一律で上記金額が払われることになります。

代車・レンタカー特約

事故で車が破損してしまった場合、修理や買換までの期間、代車が必要となりますね。
しかし、実際に掛かった代車費用が全て認められるとは限りませんので注意が必要です。
被害者としては、当然、掛かった費用を支払ってもらいたいと思うのは当然なのですが、あなたが思っている以上に厳しい対応をされることがあります。


そんなときでも、あなたが代車・レンタカー特約に加入していれば、相手方保険会社から支払われない代車費用などについても、一部または全部が支払われることになります。

この保険は、利用しても保険料の値上がりはありませんので、もし、交渉で代車費用がネックになっている場合は、ご自身の保険会社に確認してみてください。

まとめ

いかがでしたか?
今回は、車が破損してしまった場合に利用を検討すべき保険について解説しました。
相手方の保険会社から十分な補償が支払われない場合には、利用を検討してみてください。

静岡城南法律事務所

弁護士 山形祐生(やまがたゆうき)

静岡県弁護士会所属 登録番号:44537

静岡県交通事故相談所の顧問弁護士(静岡県知事の委嘱による)。
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新の裁判例等の研究をしている。静岡県外からの相談・依頼も多く、単独で年間に100件以上の交通事故案件を手掛けている。保険会社との交渉を得意とする。案件としては、過失割合、慰謝料、後遺障害、死亡事故に関するものが多い。

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