示談交渉や裁判に掛かった弁護士費用を保険会社に請求できないの?
遅延損害金って何?

この記事は、このような疑問をお持ちの方のために書きました。

こんにちは!弁護士の山形です。
今回は、示談交渉や裁判に掛かった弁護士費用を保険会社に請求する方法や遅延損害金について解説しています。
「弁護士費用を保険会社に請求したい、少しでも多くの賠償金を支払ってもらいたい」という方は、是非、参考にしてみてください。

目次

弁護士費用を加害者側の保険会社に請求する方法

判決では弁護士費用相当損害金が加算される

交通事故の示談交渉や裁判を弁護士に依頼すると、弁護士費用が掛かりますね?
仮に、裁判で判決となった場合、慰謝料など損害賠償金として認められた金額の1割程度が弁護士費用相当損害金として加算されることになります。

例えば、慰謝料や休業損害などとして1000万円が認められたとします。
その場合、1割の100万円が弁護士費用相当損害金として加算され、全部で1100万円が保険会社から支払われることになります。

これは、加害者が交通事故を起こさなければ、弁護士に依頼する必要はなかったのですから、その弁護士費用も交通事故によって発生した損害と考えるわけです。

ただ、実際に掛かった弁護士費用が認められるわけではなく、あくまで、全体の賠償金額の1割程度が相場となっています。

なお、理屈上は、交渉段階でも弁護士費用相当損害金を保険会社に請求することは可能ですが、ほとんどのケースで、保険会社は支払を拒否します。
そのため、多くの場合、弁護士費用相当損害金を請求するには、裁判まで行う必要があります。

裁判の中で和解する場合も弁護士費用相当損害金が考慮される

裁判となったものの判決までいかずに、途中で和解するケースが多くあります。
そのような場合も後で説明する遅延損害金や弁護士費用相当損害金の一部を加算することがケースがほとんどです。
遅延損害金と合わせて「調整金」という名目で加算されることが多いです。

どの程度、加算されるのかというのは、ケースバイケースです。
例えば、争点になっている後遺障害の等級について当方に有利に考える場合には、少なめにするなど、裁判官の事案に対する見立てなどによって様々です。

弁護士費用特約を利用しているときも請求可能

もし、あなたが弁護士費用特約を利用した場合、弁護士費用の一部又は全部を負担しているわけではないので、相手方の保険会社に弁護士費用相当損害金を請求できないのでは?という疑問もあるかと思います。

しかし、弁護士費用特約から支払われる費用は、これまであなたが支払ってきた保険料の対価として支払われるものに過ぎません。
そのため、弁護士費用特約を利用しても、弁護士費用相当損害金を請求することは可能というのが判例の考え方です。

遅延損害金を保険会社に請求する方法

遅延損害金って何?

遅延損害金というのは、簡単にいうと、損害賠償金が支払われるまでの利息のようなものです。
本来、交通事故を起こしてしまった加害者は、事故発生直後に、あなたに発生した損害を支払う必要があります。
しかし、実際には、損害が支払われるまでにタイムラグがあります。
そのため、損害が支払われるまでの期間に応じて、あなたに発生した損害に一定の利率を掛けた金額を遅延損害金として請求できます。

遅延損害金の計算式

損害賠償金額×3%(※)×事故発生日から賠償金の支払日までの経過日数÷365日

※令和2年4月1日以降に発生した事故について3%です(令和2年12月現在)。それよりも前に発生した事故については、5%で計算します。

具体例で見てみましょう。

例えば、慰謝料等の賠償金の総額100万円と認定され、事故日から365日後に賠償金が支払われることになったとします。
その場合、100万円×3%×365日÷365日=3万円が遅延損害金となります。
そのため、賠償機の総額は103万円となります。

裁判で遅延損害金を請求する

例えば、重い後遺障害が残ってしまったなど、賠償金額が数百万円、数千万円となるようなケースでは、遅延損害金も高額となる可能性があります。

しかし、交渉で保険会社が遅延損害金を認めることはほとんどありません。
弁護士費用相当損害金と同じですね。

そのため、遅延損害金が高額となるようなケース(賠償金額が高額な場合や、事故から日が経っている場合など)では、さっさと裁判を行うことを検討しても良いでしょう。

裁判で和解する場合、弁護士費用相当損害金と同じように調整金として、遅延損害金の金額が考慮されることが多いです。

まとめ

いかがでしたか?
今回は、弁護士費用や遅延損害金を保険会社に請求する方法について解説しました。
保険会社と示談をするか裁判をするか悩まれている方は、裁判では弁護士費用や遅延損害金が認められる可能性があることも考慮して、検討してみてください。

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