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逸失利益って何?
事故後も給料は減っていないけど、後遺障害の補償はもらえるの?

この記事は、このような疑問をお持ちの方のために書きました。

こんにちは。弁護士の山形です。この記事では、初めて交通事故にあってしまった公務員・会社員の方ために、逸失利益の基本について解説しています。
特に、「後遺障害が認められたけど、給料は減っていない」という方は、参考にしてみてください。

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静岡法律事務所
弁護士 山形祐生(やまがたゆうき)/静岡県弁護士会所属
事務所所在:静岡市葵区馬場町43番地の1

連絡先:054-254-3205
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新判例等を研究している。
静岡県内の事故を中心に多くの依頼を受け、特に、後遺障害、死亡事故、主婦(主夫)の休業損害に関する依頼が多い。
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公務員・会社員の逸失利益

後遺障害が認定されたら逸失利益を請求しよう

交通事故にあってケガをしてしまい、後遺障害が残ってしまうことがあります。
後遺障害があると、事故前と同じように働けず、仕事を休んだり、効率が悪くなったりして、収入が減ってしまうこともあります。
このような場合、後遺障害が無ければ将来的に得られたであろう収入を加害者・保険会社に請求することができます。
この「将来的に得られたであろう収入」のことを「逸失利益」といいます。

減収がない場合の逸失利益

公務員や会社員の場合、交通事故でケガをして、後遺障害を残しながら、その後、復職して、事故前と同様、あるいはそれ以上の収入を得ているということがあります。
つまり、後遺障害は残ったけど、減収がないということです。
このような場合も、逸失利益が認められるのでしょうか?

結論としては、ケースバイケースとなります。

過去の裁判例では、減収がなくても逸失利益が認められたケースもありますし、減収がないからという理由で逸失利益が認められなかったケースもあります。

そこで、過去の裁判例を参考に、どのような事情があれば、逸失利益が認められるのかという点について、解説していきます。

ちなみに、逸失利益は認められなくても、後遺障害慰謝料は認められますので、必ず請求するようにしましょう。

逸失利益の認定で考慮される事情

逸失利益の認定で考慮される事情は、以下の7点です。

逸失利益の認定で考慮される事情
①昇進・昇級等の不利益
②業務への支障
③退職・転職の可能性
④勤務先の規模・存続可能性等
⑤本人の努力
⑥勤務先の配慮等
⑦生活上の支障

それでは、順番に解説しています。

昇進・昇級等の不利益

事故後、昇進・昇級等で不利益が発生した場合、あるいは、降格された場合、逸失利益が認められる方向の事情として考慮されます。

このような場合、減収は無くても、実質的には経済的な不利益が発生しているわけですから、逸失利益が認められやすくなるわけです。

過去の裁判例をみると、例えば、「事故後、勤務先から業務で車を運転することを禁止されたため、営業職に復帰できず、支店長への昇進が困難になった。」、「勤務先が将来の幹部候補と考えていたが、事故による後遺障害のため、その可能性が無くなった」というような事案で、逸失利益が認められています。

業務への支障

減収が無くても、後遺障害により業務に支障が生じている場合には、将来的に減収が発生する可能性が高いといえますから、逸失利益が認められる方向の事情として考慮されます。

過去の裁判例をみると、例えば、「肩関節等に後遺障害を残した建築士について、後遺障害のため製図の能率が3分の1に低下したことや現場で高所に登れなくなった」というような事案で逸失利益が認められています。

退職・転職の可能性

後遺障害により勤務継続が困難になり退職すると収入が途絶えますから、当然に減収が発生することになります。
また、後遺障害があると、再就職の際に不利になったり、条件が悪くなることもあり得ます。
そのため、現在の勤務先での勤務継続が不確実で退職・転職の可能性がある場合には、逸失利益を認める方向の事情として考慮されます。

過去の裁判例をみると、例えば「事故後、派遣会社の期限付契約社員として勤務している」という事案で逸失利益が認められています。

ところで、公務員の方については、民間企業の会社員と比較して、安定して身分保障も手厚いので、定年までは勤務を継続できる可能性が高く、退職・転職の可能性が低いと判断される場合もあります。
しかし、一方で、公務員であっても定年後は、再就職が困難になるとして、逸失利益を認める裁判例もあります。

結局、公務員の方について、逸失利益が認められるか否かは、後遺障害の程度や、この記事で挙げる他の事情も踏まえたケースバイケースということになります。
ただし、私の経験を踏まえた感覚としては、認められたとしても、本来の基準よりも低い金額となる傾向があるように思います。

勤務先の規模・存続可能性等

勤務先の規模・存続可能性も、勤務を継続することができなるかもしれない、という観点から、逸失利益の可否を判断する際の考慮要素となります。

過去の裁判例をみると、例えば「勤務先が父親が経営する同族会社で、経営基盤が盤石とはいえない」「勤務先が従業員の6分の1のリストラを発表している」という事案で逸失利益が認められています。

本人の努力

減収が生じないように、また、勤務先に迷惑を掛けないために、本人が努力をしていることが逸失利益を肯定する方向の事情として考慮されることがあります。
例えば、痛み等の症状に耐えながら勤務を継続している、症状を軽減させ、あるいは悪化を防ぐための努力をしている、業務上のハンディキャップをカバーするための努力をしている、というような場合です。

過去の裁判例をみると、例えば「平日の夜や土日を返上して仕事をしている」「もともと建築会社で宮大工を志していたが、事故後断念して退職し、2級建築士の資格を取得して、積算・設計の仕事をしている」などの事案で逸失利益が認められています。

勤務先の配慮等

後遺障害により業務に支障が生じているにもかかわらず減収が無いのは、勤務先の配慮や温情によるものであるといえる場合には、逸失利益を肯定する方向の事情となります。

過去の裁判例をみると、例えば「勤務先が、営業担当の非被害者に対し、後遺障害のため営業での閏間の運転を禁止した反面、タクシー代を負担している」というような事情が逸失利益を認める方向の事情として考慮されています。

生活上の支障

日常生活に支障が生じている場合、逸失利益を肯定する方向の事情として考慮される場合があります。
もっとも、生活上の支障と仕事上の支障は関係ないという考え方もあるので、この点は、あくまで補助的な要素と考えて良いと思います。

有利な事実を証明する方法

減収がない場合に逸失利益を認められるためには、上記のような肯定する方向で考慮される有利な事実を証明することが大切です。

そのため、例えば、勤務先の上司や人事担当者に協力していただいて、勤務状況等について陳述書を作成したり、証人として裁判所にお越しいただくことが考えられます。
また、実際に勤務先でどんな仕事をしていて、どんな支障が生じているのか分かるように、動画を撮影することも考えられます。

特に決められた方法はないので、後遺障害によって生じている仕事上の支障を裁判官や保険会社に理解してもらえるような証拠を用意するようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、初めて交通事故にあってしまった公務員・会社員の方ために、逸失利益の基本について解説しました。

特に、「後遺障害が認められたけど、給料は減っていない」という方は、参考にしてみてください。

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