子どもが交通事故で亡くなり、保険会社と示談交渉をしている。
高額な慰謝料が認定された裁判例について知りたい。

この記事は、このような方のために書きました。

こんにちは。静岡法律事務所の弁護士の山形です。
今回は、交通事故で子どもが亡くなってしまった場合の慰謝料について、裁判例を含め解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

静岡城南法律事務所

弁護士 山形祐生(やまがたゆうき)

静岡県弁護士会所属 登録番号:44537

静岡県交通事故相談所の顧問弁護士(静岡県知事の委嘱による)。
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新の裁判例等の研究をしている。静岡県外からの相談・依頼も多く、単独で年間に100件以上の交通事故案件を手掛けている。保険会社との交渉を得意とする。案件としては、過失割合、慰謝料、後遺障害、死亡事故に関するものが多い。

目次

子どもが亡くなったときの死亡慰謝料の計算基準

交通事故の慰謝料については、3種類の計算基準があります。

①自賠責基準、②任意保険基準、③弁護士基準(裁判基準)の3つです。

①自賠責基準は、加害者が加入する自賠責保険会社から補償が支払われる際に用いられる基準です。
②任意保険基準は、保険会社が独自に定めている基準で、通常、加害者側の保険会社は、どの保険会社が定める基準に従って計算される賠償金額を提案してくることが多いです。
③弁護士基準(裁判基準)は、裁判等を行った場合の過去の裁判例などをベースにした基準です。上記自賠責基準や任意保険基準よりも高額になることが多いです。

以上のとおり、3つの基準の中では、弁護士基準が最も高額となることが多いので、基本的には、被害者としては、弁護士基準に基づいて、保険会社と慰謝料額について交渉すべきです。

そして、弁護士基準での子どもが亡くなった場合の慰謝料は、2000万円~2500万円程度とされています。
※民法711条所定の者とそれに準ずる者の慰謝料も含めた、一応の目安です。

実際の裁判では、上記弁護士基準を参考に、具体的な事情等が考慮されて、慰謝料の金額が決まります。

以下では、具体的な事情等から、高額な慰謝料が認定された裁判例について紹介していきます。

飲酒運転により3歳と1歳の子どもが亡くなった事故

東京地裁・平成15年7月24日判決

加害者は、飲酒運転常習者で当日も飲酒した状態で大型貨物車を運転し、蛇行走行していたという危険極まりない状況でした。
その結果、何の落度のない被害車に追突し、車両は炎上し、後部座席に乗車していた3歳と1歳の女の子が焼死してしまったという悲惨な事故です。

裁判所は、亡くなった子ども本人分2600万円、両親分800万円、計3400万円(2名合計6800万円)ずつの慰謝料を認めました。

横断歩行中の9歳男児が亡くなった事故

名古屋高裁・平成29年9月28日判決

9歳の男子小学生が横断歩道を横断していたところ、時速約50キロメートルで走行してきた加害者の車に衝突されてしまったという事故です。

被害者本人の慰謝料として2400万円を認定したうえで、両親と兄2人の慰謝料について「X及びZ(※両親)は、一方的に被告に過失のある本件事故により、突然、小学生のAを失い、未だそのショックを癒すことができない生活を送っているうえ、本件事故後のY(※加害者)の対応にも、釈然としない思いなどを抱き続けている。V及びW(※兄ら)も、本件事故当時、中学1年と小学5年というこれから思春期にさしかかる時期に、突然弟を失い、両親がショックから立ち直れない中で、気持ちを閉じ込めた生活をするなど、多大な苦痛を被っている。」として、両親について各300万円、兄らについて各150万円を認定しました(合計3300万円)。

集団登校中の児童が亡くなった事故

盛岡地裁二戸支部・平成17年3月22日判決

被害者は、兄2人と一緒に集団登校中の小学生です。加害者は、疲労と飲酒で仮睡状態であったにもかかわらず、貨物車の運転を続け、被害者に衝突しました。

裁判所は、裁判所は、被害者と一緒に集団登校時、本件事故に遭遇した兄2人に各150万円の慰謝料を認め、両親、本人分とで3100万円の慰謝料を認めました。

駐車場で2歳男児が轢過され亡くなった事故

福岡地裁・平成27年5月19日判決

スーパー駐車場内の走行スペースにパンを食べながら座り込んでいた2歳男子が、被告普通乗用車に礫過され、死亡したという事故です。

裁判所は、本人分2400万円認め、両親各144万4444円、兄111万1112円の固有慰謝料を認め、合計2,800万円を認定しました。
なお、この事案では、被害者側にも過失があったとして10%の過失相殺がされています。

加害者の無免許運転・ひき逃げで0歳の赤ちゃんが亡くなった事故

神戸地裁・平成20年3月21日判決

0歳男子の被害者は、父親が運転する車の助手席に母親に抱かれて同乗中でした。加害者は、無免許運転で中央線を越えて被害車両に衝突したにもかかわらず、警察に通報することなく、逃亡し、また、車が盗難されたかのような偽装工作をしていたという悪質な事案です。

裁判所は、上記のような事情も考慮して、本人の慰謝料2200万円、両親各300万円(合計2800万円)を認定しました。

交通事故に関する無料相談

子どもが亡くなった事故では、慰謝料のみならず、逸失利益についても大きな争点となることが多いです。
保険会社との交渉などは、死亡事故に慣れた弁護士に依頼して、適正な賠償金を得られるようにしましょう。
現在、本解説を執筆した山形弁護士による無料相談を実施しておりますので、お気軽にご相談ください。

無料相談の方法(全国対応)

メールやLINEで無料相談

事務所にお越しいただくことなく、メールやLINEで無料相談をしていただけます。
メールやLINEでの無料相談を希望される方は、メール相談LINE(いずれも24時間受付)から、自由にご相談内容を送ってください。
弁護士が直接、回答致しますので、お時間をいただく場合があります。

事務所での面談、電話、Zoomによる無料相談

事務所での面談、電話、Zoomによる無料相談を希望される方は、
お電話(054-689-7792)(平日の9時~17時30分受付)
予約ページ(24時間受付)
LINE(24時間受付)から予約をお願い致します。

予約ページ、LINEからご予約いただいた場合には、日程調整のご連絡をさせていただきます。
※ご連絡にお時間をいただく場合があります。

弁護士費用

11万円+保険会社等からの回収金額の17.6%(税込)

相談料と着手金は無料です。
弁護士費用は、交渉等が解決した後の完全後払いになります。
※訴訟等の手続に移行する場合や複雑な事案などについては、上記とは異なる料金体系とさせていただくことがありますが、その場合には、ご依頼いただく前にご説明させていただきます。

ところで、「弁護士費用特約」というものをご存じでしょうか?
自動車保険などに付帯している特約のことで、弁護士に依頼する際の弁護士費用を補償してくれます。

弁護士費用特約を使える場合には、補償上限額まで保険会社が弁護士費用を代わりに支払ってくれますので、ほとんどのケースで実質無料で交渉や裁判等を弁護士に依頼できます。

弁護士費用特約を利用しても、保険料は変わりませんので、可能な場合には利用することをお勧めします。

「弁護士費用特約を使えるか分からない」という場合には、弁護士が代わりに保険会社に確認することもできますので、お気軽にご相談ください。

よくある質問

Q静岡県以外の地域に住んでいるのですが、静岡県以外の地域からの相談・依頼は可能ですか?
A

静岡県以外の方からのご相談・ご依頼もお受けしております。
これまで、北海道、青森、福島、福井、東京、群馬、栃木、千葉、神奈川、愛知、長野、岐阜、滋賀、三重、奈良、兵庫、広島、島根、沖縄にお住まいの方からご依頼・ご相談いただいた実績がありますので(令和4年4月現在)、その他地域にお住まいの方もお気軽にご相談・ご依頼ください。

Qケガはなく、物損(車の修理費用など)の過失割合だけが問題になっているのですが、相談・依頼することはできますか?
A

物損だけの事故についてもご相談・ご依頼いただくことは可能ですが、弁護士費用特約のご利用が条件となります。

Q小さな事故で、特に保険会社との間で揉めていないのですが、弁護士に相談しても良いですか?
A

もちろん、問題ありません。
 弁護士に依頼することで、小さなケガであっても示談金額が増額される可能性がありますし、保険会社との対応を全てお任せできるというメリットがありますのでお気軽にご相談ください。

Q他の弁護士に依頼しているのですが、変更して依頼はできますか?
A

現在、依頼している弁護士との契約を解除していただいたうえで、ご依頼いただくことになります。また、弁護士費用特約を利用している場合には、ご自身の保険会社に担当弁護士を変更したい旨を伝えて了承を得てください。現在、依頼している弁護士に変更を申し出づらい場合には、ご相談ください。

Q弁護士費用で費用倒れ(赤字)になることはありませんか?
A

ご相談内容を詳しく伺ったうえで、もし、少しでも費用倒れの可能性がある場合には、必ずご依頼前にご説明させていただきます。万が一、増額した金額よりも弁護士費用が高額となる場合は、増額した金額が弁護士費用の上限となりますので、損をすることはありません。
 なお、弁護士費用特約をご利用の場合は、費用倒れになることはありません。

Qどの段階から費用が発生しますか?
A

相談では一切費用は発生しません。弁護士との間で委任契約書を作成して、正式にご依頼いただいて、弁護士が交渉等の活動を開始した段階から費用が発生致します。
※弁護士費用特約をご利用の場合には、相談料を保険会社にご請求させていただきます。

Q日中は仕事で忙しいので、弁護士事務所に行ったり、電話をしたりすることが難しいのですが・・・
A

夜間や土日祝日に打ち合わせをするこも可能ですし、ご依頼後の弁護士との連絡手段をメールやLINEにすることも可能です。
なお、裁判をせずに示談交渉で解決する場合、ほとんどのケースで、依頼後に事務所での打ち合わせをすることなく終了しています。

Q裁判まではしたくないのですが、交渉で示談することは可能ですか?
A

裁判まで行うか、交渉で示談をして終わらせるかは、依頼者の方が決めることになりますので、交渉での解説を希望される場合には、裁判にはなりません。なお、私がこれまで扱ったケースでは、8割ほどが交渉で解決しています。

Q解決までには、どれくらいの時間が掛かりますか?
A

事案にもよりますが、交渉の場合、治療が終わってから1~2ヶ月程度で示談して終わるケースが多いです。物損のみの場合は、交渉開始から1ヶ月程度のケースが多いです。ただし、後遺障害の申請をしたり、過失割合に争いがあって実況見分調書等を取り寄せる場合には、プラス2、3月程度かかります。
また、裁判の場合は、早くても半年程度は掛かります。私が過去に扱った裁判では、1年~2年で終わるケースが多いです。

Q弁護士に相談したら必ず依頼しなければいけないのでしょうか?
A

もちろん、相談だけで依頼しなくても問題ありません。むしろ、複数の弁護士に会って相談したうえで、最も信頼できる弁護士に依頼することをお勧めします。

静岡城南法律事務所

弁護士 山形祐生(やまがたゆうき)

静岡県弁護士会所属 登録番号:44537

静岡県交通事故相談所の顧問弁護士(静岡県知事の委嘱による)。
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新の裁判例等の研究をしている。静岡県外からの相談・依頼も多く、単独で年間に100件以上の交通事故案件を手掛けている。保険会社との交渉を得意とする。案件としては、過失割合、慰謝料、後遺障害、死亡事故に関するものが多い。

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