Mさんは、スーパーの駐車場で交通事故に巻き込まれてしまいました。

Mさんの進行方向に歩行者がいたため停止しました。
すると、加害者がバックをしながら車を駐車区画に停めようとし、その際に、加害者の車体がMさんの車に接触してしまいました。

Mさんは停止していたので、0:100を主張しましたが、保険会社は、Mさんが停止していたことは認めるものの、「Mさんが加害者の進路を邪魔するような位置に車を割り込んできた」などと、40:60の過失割合を主張してきました。

そこで、Mさんは、私のところに相談に来ました。
早速、保険会社と交渉しましたが、先方は、全く譲る気配がありませんので、訴訟提起をする方向で進めることになりました。

通常、物損事故の場合、実況見分調書が作成されませんので、裁判官に正確な事故状況を理解してもらうためには、こちらで、事故状況を分かりやすくプレゼンする必要があります。
私は、早速、事故現場の駐車場に行き、Mさんから詳しい事故状況を聞き取り、Mさんの主張を正確に反映した事故状況図を作成しました。

訴訟では、Mさんは、停止していて、事故の発生を回避することは不可能だったこと、本件は外輪差を誤った加害者の一方的な不注意によって生じた事故であることなどを主張しました。

結局、裁判官には、当方の主張を認められ、裁判官からMさんの過失は、ほぼ無いと考えているとの心証が開示されました。
判決までもらうことも考えられましたが、Mさんとしては、自分の主張が認められて満足していること、裁判を続行して尋問等を行うは大変だということで、5%の過失を容認する形で和解しました。

過失割合が争点となる場合には、裁判官に事故状況を正確に理解してもらうことが重要となります。
また、示談交渉段階では、保険会社は機械的に一般論を主張してくることがありますが、納得出来ない場合には、裁判をすることも検討してみてください。

ちなみに、このケースでは、Mさんが弁護士費用特約に加入していたので、争いとなっていた金額は少額でしたが、弁護士費用を負担することなく、裁判まで行うことができました。

静岡城南法律事務所

弁護士 山形祐生(やまがたゆうき)

静岡県弁護士会所属 登録番号:44537

静岡県交通事故相談所の顧問弁護士(静岡県知事の委嘱による)。
日本交通法学会に所属し、交通事故に関する最新の裁判例等の研究をしている。静岡県外からの相談・依頼も多く、単独で年間に100件以上の交通事故案件を手掛けている。保険会社との交渉を得意とする。案件としては、過失割合、慰謝料、後遺障害、死亡事故に関するものが多い。

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